関連記事
ドローン開発のAirKamuyが切り拓く、防衛×スタートアップの道


航空産業は、長年にわたり大型メーカーと既存のサプライチェーンを中心に発展してきたが、近年は技術革新や社会的要請を背景に、新たなプレイヤーの参入が見られるようになっている。特に脱炭素化への対応や都市型モビリティの構想、無人航空機の高度化などを契機に、航空機の設計・製造・運航のあり方そのものを見直す動きが広がりつつある。
電動推進技術、軽量素材、先進的な設計シミュレーション、デジタル開発環境に加え、運航データの解析や空の交通を支えるソフトウェア基盤の進展によって、航空分野への参入の形も多様化している。
開発対象も、小型航空機や電動航空機、無人航空機(UAV)といった機体そのものにとどまらない。運航支援、空の交通プラットフォーム、災害対応、航空計測・解析といった周辺領域でも、新しい技術やサービスが生まれ始めている。航空産業の構造が短期間で大きく変わるわけではないものの、特定領域に特化した技術やサービスによって新たな価値を提供する動きが広がっている。
本記事では、航空機開発を含む次世代航空領域で、機体・運航・データ活用の各側面から新しい価値創出に挑むスタートアップを紹介する。

企業HP:https://www.nabla-mobility.com/?lang=ja
機械学習などのデジタル技術で航空運航の意思決定を高度化し、運航効率・レジリエンス・環境負荷の改善を目指す企業だ。パイロット向け「Weave」は、機体番号や重量、乱気流、出発時点の風・気温予報などを踏まえて巡航中の高度・速度の推奨を提示する軽量EFBアプリで、燃料削減を狙う。運航管制向け「Operational Forecaster」は、過去データと天候・交通制約などの外部要因を解析し、出発前に遅延リスクと要因、ネットワークへの波及を予測して早期判断を支援する。性能エンジニア向け「OBST」は、NOTAMやAIP関連データを抽出・構造化して手作業を削減し、解釈の一貫性や更新追跡(AIRACサイクル等)をしやすくする。
2025年5月には、シリーズAラウンドで、環境エネルギー投資、インキュベイトファンド、伊藤忠テクノロジーベンチャーズなどを引受先とした、第三者割当増資による総額約4億円の資金調達を実施した。あわせて、NEDOが推進する「GX分野のディープテック・スタートアップに対する実用化研究開発・量産化実証支援事業」の、STS(Seed-stage Technology-based Startups)フェーズに採択され、最大4億円の助成を受けると発表した。
物流、捜索、監視などに活用可能な固定翼VTOL(垂直離着陸機)機「AirKamuy Σ-1」の開発・販売などを行う企業。 固定翼VTOL機は、マルチコプターのような垂直離着陸および固定翼機のような高速巡航が可能な、飛行機とマルチコプターを合わせた機体。AirKamuy Σ-1は、空中で展開・格納できる翼により、省スペースでの離着陸と運搬を行う。マルチコプタードローンと同様の運用性で、長時間・長距離飛行を可能にするという。 ほかにも、段ボールを主な材料とし製造コストを抑えた固定翼無人機「AirKamuy 150」も開発。さらに、ドローンの受託開発事業も行っている。
2025年4月には、ANOBAKA、スパークル、STATION Aiを引受先とした第三者割当増資、および名古屋銀行、日本政策金融公庫からの融資を合わせ、プレシードラウンドで1億円の資金調達を実施した。
企業HP:https://skydrive2020.com/
「空飛ぶクルマ」と称される電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発を主軸に、ドローン関連事業や災害支援なども手がける企業。同社の「空飛ぶクルマ(SKYDRIVE)」は、都市や地域の移動を“空”へ広げる次世代エアモビリティとして開発されている電動機体だ。バッテリー駆動で、12基のモーター・ローターで飛行し、機体はCFRPなどの複合材やアルミ合金を用いる設計。電飾付きドローンを夜空に飛ばすショーの企画・運営や高所作業における物質運搬サービスも展開する。
2025年8月には、インドネシア最大級のヘリコプター運航会社であり、遊覧サービス、貨物輸送、医療搬送を行うPT Whitesky Aviationと、インドネシアでの空飛ぶクルマの事業化に向けた検討を行うことを目的に、業務提携契約を締結したと発表した。本提携で、SKYDRIVEを活用し、スカルノハッタ国際空港に隣接するWhitesky所有のチェンカレン ヘリポートを起点としたエアタクシーや、インドネシアの主要産業である鉱業分野でのユースケース開拓を行う。
企業HP:https://airx.co.jp/
空の交通デジタルプラットフォームを開発するテクノロジーカンパニー。ヘリコプターやエアモビリティを活用し、「移動」や「体験」の選択肢を空へ広げる事業を展開している。ヘリ遊覧予約サービス「AirX Skyview」と、ヘリのチャーター手配サービス「AirX Charter」を提供。Skyviewは東京や京都など各地の観光名所を空から楽しめる遊覧を、Charterはビジネス・観光移動や空撮などの用途を担う。渋滞解消や移動時間短縮に加え、交通インフラが不十分な地域や災害時の移動手段としての活用も見据えている。
2025年3月には、シリーズBラウンドで、ブルーインキュベーションをはじめとした11社を引受先とした第三者割当増資により、合計12.5億円の資金調達を実施した。
長距離無人航空機の研究および開発を行う企業。広域災害を想定した長距離無人航空機(UAV)と、取得データの収集・解析・共有までを一体で扱う災害対応技術を開発する。主力機体として、滑走路不要で被災地など限られたスペースから運用でき、航続距離1000kmを目標に広域災害調査や洋上監視を担う「Terra Dolphin VTOL」を開発し、2025年9月時点で国外で累計100時間の飛行試験を完遂している。さらに、無人機・有人機を含む多様な航空プラットフォームで写真計測とLiDAR計測を同時に行い、広域・高速な三次元空間情報の取得と共有を高度化する航空計測・解析基盤「Terra Geo Scan System」も開発。大規模災害初動期の被害把握を想定し、名古屋港での実証にも活用していく。
2024年12月には、シリーズBラウンドでリバネス、山田商会ホールディングをはじめとした、中小企業や個人投資家を引受先とした資金調達を実施した。

スタートアップの資金調達情報を漏れなくキャッチアップしたい方へ。
1週間分の資金調達情報を毎週お届けします。
※登録することでプライバシーポリシーに同意したものとします
※配信はいつでも停止できます