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ヘンリー、中小病院向けクラウド電子カルテで10億円調達──400床規模病院への拡大目指す


病院向けクラウド型電子カルテを開発・提供する株式会社ヘンリーは、シリーズCラウンドで総額30億円を調達した。累計調達額は約57億円となる。今回のラウンドでは、Angel Bridge、グロービス・キャピタル・パートナーズ、ゆうちょアセットマネジメントを共同リード投資家とし、Coral Capital、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ(JIC VGI)、鈴与、Mpathyが出資した。
ヘンリーは、電子カルテ・オーダリング・レセコンを一体化した病院向けクラウドネイティブ型基幹システム「Henry」を提供するスタートアップだ。「持続可能な医療体制の構築」を掲げ、病院経営に必要なシステムと業務支援サービスを展開している。
日本では高齢化に伴う医療需要の増加と医療従事者不足が進行している。厚生労働省によると、2023年時点で、病院の約3割には電子カルテが導入されておらず、医療DXの遅れが課題となっている。改正医療法(2025年12月成立)では、2030年末までに電子カルテ普及率約100%を目指す方針が示され、クラウド型への移行を後押しする動きが進む。
病院向け電子カルテ市場では、大手ベンダーによるオンプレミス型システムが長年主流だった。病院ごとの個別カスタマイズや独自規格によるベンダーロックインが、保守・更新コストの増大やセキュリティ対応の難しさにつながる点が指摘されている。ヘンリーは、クラウドネイティブ型で同市場に参入した新規事業者として事業を拡大している。
同社によると、「Henry」は2023年2月の提供開始以降、全国の病院で導入が進む。導入事例では、病床稼働率が60%から100%へ改善したケースや、収益が最大30%増加したケースがあるという。全職員の残業時間を70〜80%削減したほか、大阪府内で病院医師の宿直免除を実現した事例もあるとしている。
ヘンリーは基幹システム提供に加え、診療報酬算定を支援する医事BPOや、AIを活用したワークフロー構築、病院経営コンサルティングなども展開する。料金体系には成果連動型モデルを採用し、病院経営の改善と自社収益を連動させる仕組みを構築している。
今回調達した資金は、中規模病院や包括期病院への対応強化、AI機能開発、付加価値サービス拡充などに充当する。AI領域では、音声入力、診療ワークフローの自動生成、AIエージェントによる自動請求機能などの開発を進める方針だ。あわせて、医事BPOに加え、施設基準管理やクラーク業務、看護業務などへの支援拡大も進める。
同社は、クラウド基幹システムを起点にAI・BPO・コンサルティングを統合した「AI医療プラットフォーム」への進化を掲げ、病院運営支援を拡大していく構えだ。
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