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感情分析で広がる可能性
感情分析の市場規模は近年急速に成長しており、今後もその勢いが続くと期待されている。感情分析とは、テキスト、音声、画像などのデータから人間の感情を抽出し、分析する技術だ。マーケティング、カスタマーサービス、ヘルスケア、金融、エンターテインメントなど、さまざまな分野での応用が広がっている。
例えば、マーケティングでは消費者のフィードバックやSNSなどの投稿から感情を分析し、ブランドイメージや顧客満足度の向上に役立てることができる。また、金融業界では、投資家の感情を分析して市場の動向を予測し、売買のタイミングを計ったり、リスク検知などが可能となる。
Business Research INSIGHTS※によると、2019年の感情分析市場規模は約37億ドル。2026年までに約64億ドルにも達すると予測されている。
感情分析技術の進化とともに、その精度や応用範囲も広がり続けており、企業や組織にとって重要なツールとなっている。
スタートアップ5選
株式会社エモーションテック
企業HP:https://www.emotion-tech.co.jp/
感情分析により、顧客・従業員の課題を解決し、 サービス・従業員満足度の向上を目指す。 「Employee Tech CX」は、独自の感情データ解析や自社開発のクラウドシステムを活用し、顧客の要望やニーズ、期待を正確に把握することで顧客体験を改善し、心の満足を実現する。また、「EmotionTech EX」は、コミュニケーション、働き方、人事制度などの課題を解決し、離職率の改善やチームの生産性向上、働き方改革の実現を目指す顧客企業の活動をサポートする。
2023年3月には、フェムトパートナーズ、プレイドを引受先とした第三者割当増資による、5.8億円の資金調達を実施した。2024年2月には、コーポレーションと業務提携契約を締結した。
ミッドナイトブレックファスト株式会社
企業HP:https://www.mnbf.jp/
感情を分析するアプリ「muute」を運営する。muuteは、思ったことや考えていることを質問に答えながら書き、AIが思考と感情を分析し、定期的にフィードバックが届くため、自分の状態を知ることができる。学校向けの「muute for school」も提供しており、生徒のメンタルヘルス向上にも利用されている。他にも、家族と一緒につくるライフノートアプリ「つなぐノート」や、家族向けのおでかけ先が毎週届くおでかけ支援アプリ「konshumo」も提供している。
株式会社京都テキストラボ
企業HP:https://www.kyototextlab.com/index.html
心理学、情報科学の融合から生まれた京都大学発のベンチャー企業。 同社は、テキスト深層学習に金融工学や心理学を融合させながら、最先端の未来予測技術などを開発する。金融変動を予測するモデル「DLPredict」では、日経VI、日経先物、TOPIX、マザーズが「上がる」「下がる」「変動なし」のいずれであるかを予測し、トレーディングに活用できる。また、2023年1月11日リリースした「 Text_Assist 」では、文章を読んだ人が抱く心理・感情を予測し、文章への反応を予測しながら推敲することをサポートする。
2022年4月には、京都大学イノベーションキャピタルを引受先とした資金調達を行った。
株式会社ファーストアセント
育児記録アプリ「パパっと育児」、泣き声解析アプリ「CryAnalyzer」、寝かしつけ支援スマートベッドライト「ainenne」を提供している。パパっと育児は、育児記録をパートナーと共有し、生活状況と成長をグラフで見られる。予防接種管理や相談機能も備えている。CryAnalyzerでは、赤ちゃんの泣いている理由がわからず大変というユーザーの声を元に、赤ちゃんの泣き声から感情を解析するサービス。他にも、専門家監修の育児支援セミナー&動画サービス「ベビケアプラスチャンネル」や法人向けサービス「ベビケアプラスfor business」も提供している。
2021年5月には、ユニ・チャームを引受先とした第三者割当増資による資金調達を実施した。
株式会社SandBox
企業HP:https://www.sandbox-inc.com/
脳波解析による映像分析や、製品開発サービスを提供する。 企業や製作者の動画や画像をモニターに見せて、時系列で好感度やストレスなどの脳波による感性データを測定して課題を特定し、改善提案までサポートする。また、食品、ゲーム、広告などさまざまな分野でユーザーの感性を評価し、マーケティングを支援する。
2021年11月には、日本スタートアップ支援協会、ディープコア、個人投資家等を引受先とした第三者割当増資による、3000万円の資金調達を実施した。
顧客理解から医療発展まで
感情分析技術の進化により、企業は顧客理解と戦略の最適化や医療の発展など新たな可能性を見出している。今後もさまざまな分野での応用が期待され、成長が見込まれている。感情分析は、ビジネスの重要なツールとしてますます欠かせない存在となるだろう。
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※Business Research INSIGHTS 「センチメント分析市場レポートの概要」