Neautechが11.2億円を調達、オンライン美肌治療×生成AIで成長加速

Neautechが11.2億円を調達、オンライン美肌治療×生成AIで成長加速

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オンライン美肌治療サービス「ANS.(アンス)」を展開する株式会社Neautechは、シリーズBラウンドにて総額11.2億円の資金調達を実施した。本ラウンドでは、パナソニックくらしビジョナリーファンドをリード投資家とし、ディープコアやBeyond Next Ventures、北國銀行などが参加。これにより累計調達額は約21.35億円に達した。

Neautechは、スマートフォンを通じて医師の診療と処方を受けられるオンライン肌管理サービス「ANS.」を提供している。利用者は、月ごとに処方薬やスキンケア製品が届くだけでなく、治療中の疑問や不安を専門家にチャットで相談できる「伴走型」支援が特徴だ。2025年時点での累計会員数は26万人を突破し、前年比300%成長という急速な拡大を遂げている。

今回発表された新機能「AIスキンちゃん」は、パナソニックとNeautechが共同開発した生成AIによる継続支援機能だ。治療の経過が実感しづらいというユーザー課題に対し、AIが肌の写真データから微細な変化を抽出し、日々の応援メッセージとしてLINEで届けることで、継続治療への意欲をサポートする。実際に利用したユーザーでは継続率が向上するという結果も得られており、患者の離脱を防ぐ有効な手段として注目されている。

LINE イメージ

代表取締役の水本明宏氏は、「プロダクトマーケットフィットを確認した2024年を経て、2025年は“やりたかったこと”にようやく着手できた年」と語る。同社は現在を「第二創業期」と位置づけ、採用体制の強化、組織戦略の再構築、そして医療体験の変革に向けた新たな挑戦を推進中だ。

AIスキンちゃんの開発においては、「診断にあたらない表現」「医療法に抵触しないガイドライン遵守」が求められる中で、AIが生成した文章を自動的にフィルタリング・再生成する安全設計を構築した。「人が介在せずとも適切な応答が返される仕組みをつくることで、医療領域でのAI活用における新たなモデルを提示できた」と水本氏は語る。

また、パナソニックとの協業についても言及し、「構想自体は自社発でありながらも、技術的支援を受けながら互いの知見を持ち寄る形で価値創造ができた。オープンイノベーションの好例になった」とコメント。投資だけでなく、人的交流による実務レベルの連携が事業成長に貢献している。

調達した資金は、AIを活用した診断支援機能の進化や、多領域への応用、カスタマーサクセス体制の拡充などに投じられる予定だ。また、皮膚疾患に限らず保険診療領域への展開も見据えており、「医療アクセスの不平等」という社会課題の解決を視野に入れている。

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将来的には、AIスキンちゃんを単なるスキンケア支援にとどめず、医療相談のハブとして進化させる構想もある。「治療中の不安や孤独を、AIと人が寄り添うことで緩和し、正しい情報と体験で医療の信頼を再構築することが我々のミッション」と水本氏は述べた。

Neautechのような継続支援型の医療プラットフォームは、オンライン診療の普及とともに新たな医療体験の形を提示している。同分野では、テックタッチとヒューマンタッチを組み合わせた支援体制が競争力の要とされつつあり、Neautechのアプローチはその中でも独自性を持つ。

今後は、AI技術の進化と協業体制の強化を通じて、オンライン診療の持続可能性と医療アクセスの課題に取り組む姿勢が注目される。

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