中高生のキャリア支援RePlayce、1.8億円調達で事業拡大へ

中高生のキャリア支援RePlayce、1.8億円調達で事業拡大へ

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中高生向けのキャリア探究サービスや通信制高校サポート校を展開する株式会社RePlayceは、第三者割当増資によって総額1.8億円の資金調達を実施した。今回のラウンドには、ジェネシア・ベンチャーズ、ニッセイ・キャピタル、オリエンタルランド・イノベーションズ、NTTドコモ、アルファドライブが出資し、累計調達額は3.5億円に達した。

RePlayceは、NTTドコモ内の新規事業からスピンアウトする形で2024年に創業された教育系スタートアップである。創業者で代表取締役CEOの山本将裕氏は、「自律性を育む教育を提供したい」との思いから、NTTドコモ時代に中高生向けキャリア探求サービス「はたらく部」を副業で立ち上げ、社外資金を得て法人化。教育の現場に“社会と接続した学び”を持ち込むことを目指してきた。

主力事業の「はたらく部」は、全国の中高生が社会人とオンラインでキャリアを探究する放課後型スクールで、累計600名以上が参加している。2025年4月には通信制高校サポート校「HR高等学院 」を開校し、代々木キャンパスはわずか半年で定員に達した。来年度には渋谷、成城、横浜に新キャンパスを開設する予定で、全国展開を見据えた動きが加速している。

授業はオンライン・通学のハイブリッド型で、本人の生活スタイルや時間の使い方に合わせて調整できる

日本の教育現場では、非認知能力や探究的学びへの移行が求められる一方、従来の知識偏重型教育や進学至上主義が根強く残っている。文部科学省の調査によると、通信制高校に在籍する生徒数は全国で30万人を超え、全体の約1割に達しており、多様な学びのニーズが顕在化している。山本氏は、「大人と触れ合う機会が少なすぎる。自分で考え、学ぶ力を育むためには、実社会との接続が欠かせない」と話す。

HR高等学院では、企業と連携したPBL(課題解決型学習)を軸に、ロッテやオリエンタルランド、ミクシィなどの企業がプロジェクト提供者として参加。実社会をテーマにした探究活動が展開されている。また、民間出身者をコーチに起用し、学生約30人に対して1人のコーチを配置。月2回の1on1面談を通じて、進路や日々の学びに寄り添う支援体制を構築している。

山本氏は「学生が“自分もこうなれるかもしれない”と思える社会人との出会いが、非認知能力や登校意欲に大きく影響している。実際、入学当初に不登校だった学生の多くが、登校率を回復させている」と語る。HR高等学院の学生の約8割が不登校経験者でありながらも、開校から半年での満足度は高く、「挑戦行動」や「自己表現」などの行動KPIは累計400回を超え、通学率も8 割を超えている。

HR高等学院の学びは実践的で、将来に直結する経験学習が中心

事業モデルは、B2Cのスクール型事業とB2Bの探究教材・カリキュラム提供を組み合わせたハイブリッド型となっている。「はたらく部」は月額課金制のサブスクリプションで提供され、HR高等学院は年間50〜100万円程度の学費設定となっている。通学頻度によって金額は変動し、学生の状態に応じてオンラインとオフラインを柔軟に切り替えられる仕組みが特徴だ。企業とのプロジェクト実施による収益や、他校・自治体向けの教材販売も進めており、複数の収益柱を確立している。

創業の背景には、山本氏自身の「教育への違和感」がある。もともと教育に強い関心があったわけではなく、「学校は嫌いだった」という彼だが、社会人として多様な人々と出会い、成長の糧にしてきた経験が、現在の事業構想の核になっている。「若いうちから社会と接点を持ち、多様な価値観に触れることで、子どもたちはもっと早く自分の可能性に気づける」と語る。

今後は全国での拠点展開に加え、自社開発教材をプラットフォーム化し、他の学校や自治体にも展開していく構想を描く。すでに海外からオンラインで受講する学生もおり、長期的にはグローバル展開も視野に入れる。

山本氏は、「学力だけでなく、自律性も世界トップクラスの水準に引き上げたい。そうなれば、日本はもっと元気になる」と意気込む。新しい学びのスタンダードを創出するという挑戦は、まだ始まったばかりだ。

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