ECの高単価商品に新しい買い方を──積立決済SaaS「Respo」、累計2億円調達で拡大加速

ECの高単価商品に新しい買い方を──積立決済SaaS「Respo」、累計2億円調達で拡大加速

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EC向け積立決済SaaS「Respo(リスポ)」を提供するFinTechスタートアップ株式会社リスポは、プレシリーズAラウンドのファイナルクローズを受け、1stクローズと併せて累計2億円の資金調達を完了した。

今回の調達には、農林中金キャピタル、グローバル・ブレインおよびShinhan Venture Investmentが共同運営する新韓‑GBフューチャーフロー投資事業有限責任組合、かんぽNEXTパートナーズ、澤田秀太氏(株式会社ベストワンドットコム代表取締役会長)が第三者割当増資の引受先として参加している。

Respoは、EC事業者が自社サイトに積立購入機能を簡単に導入できるSaaSである。具体的には、購入希望者が商品を選択し、積立期間や毎月の積立金額を設定して計画的に資金を積み立て、目標金額に到達後に商品購入ができる仕組みを提供している。

Respoの特徴は、消費者が負債を負わずに計画的な消費を実現できる「事前積立」モデルにある。従来の後払い決済(Buy Now Pay Later:BNPL)は、利便性が高い一方で与信管理の観点から高額商品の購入が難しい場合が多く、また延滞や手数料負担が消費者の家計管理を複雑にする課題が指摘されてきた。これに対し、積立型モデルは手数料支払いを避けたい、無理な借金をしたくないといった消費者心理に応える形となっている。

住宅・インテリアなどの高額商品を扱うEC事業者を中心にβ導入が進めてきたほか、2025年5月には、家庭用サウナブランド「IESAUNA」を展開するVanwavesでも導入が決定している。この導入により、負担を感じやすい高価格帯商品に対して、積立決済による購入しやすい仕組みが提供された。

代表取締役の黍田龍平氏は、デザイナーとして妊活系スタートアップで経験を積んだ後、クイックゲットに入社。BizDev領域におけるオペレーション構築・改善やCS部門の立ち上げ、さらに卸業者への営業など幅広い業務に従事。2021年にリスポを創業し、代表取締役社長に就任。接客業向けデジタルチップサービスを立ち上げ、2024年には積立決済SaaS「リスポ」の提供を開始した。

FinTech業界では、「あと払い(BNPL)」が急速に普及したが、消費者の支払い遅延や過剰債務といった課題が浮上している。その反動として、「積立決済(SNBL)」は負債を伴わない、計画的購入モデルとして注目されている。特に若年層や経済的慎重派を中心に支持されており、EC事業者にとっても持続可能な収益基盤および顧客との長期関係構築に寄与する手段と評価されている。

今回の調達資金は、以下の用途に充当される予定である。

1.プロダクト改善や機能拡充によるユーザー体験の向上
2.導入企業のさらなる拡大を目的としたマーケティング施策強化
3.多業界への展開を見据えた営業活動の推進

すでに、家電・家具・インテリア分野を中心に導入が進んでおり、今後は旅行、ファッション/アパレル、コスメ、アウトドア用品、コレクター向け商品など高単価・計画購入ニーズのある業界への展開を計画している。

同社は、今回の資金調達を足がかりに、機能強化と市場拡大を加速させることで、計画的な消費の文化形成とともに、EC事業者の売上向上や顧客価値向上に寄与することが期待される。

今後の注目点として、導入企業の規模や業種の拡大状況、月次積立金額の推移、さらには他社決済モデルとの提携やパートナーシップの発表などが挙げられる。

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