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分散電源の創出で、株式会社シェアリングエネルギーが変革するエネルギーシステム


分散型エネルギー事業に取り組む株式会社シェアリングエネルギーは、シリーズCラウンドファーストクローズにて、三井住友信託銀行、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、環境エネルギー投資、ジャフコグループを引受先とする第三者割当増資と、みずほ銀行、北國銀行、千葉銀行からの融資により、総額31.5億円の資金調達を実施した。これにより累計調達額は267.9億円となる。
シェアリングエネルギーは、初期費用無料で太陽光発電システムを設置するPPAモデル※「シェアでんき」を中心とし、再生可能エネルギーおよびエネルギーマネジメント分野に特化した事業を展開している。住宅向け「シェアでんき」のほか、事業者向け「シェアでんき for Biz」、蓄電池など省エネ機器を備えた「シェアでんきFLAT」も提供し、エネルギーマネジメントサービス事業にも取り組む。全国で契約申込件数は24000件超、パートナー企業は1800社以上に達する。
代表取締役は上村一行氏。デロイトトーマツコンサルティングにて経営改革プロジェクトなどに従事。その後、2008年にアイアンドシー・クルーズを創業し、事業売却を含む複数の経営経験を積む。2018年1月にシェアリングエネルギーを設立し、2021年3月より現職を務めている。
上村氏は、「今後は『シェアでんき』の更なる品質向上および普及拡大を進めるとともに、より柔軟かつ拡張性の高いファイナンスの実現に取り組んでまいります。お客様・パートナー企業・金融機関の皆さまにとって価値あるサービスをご提供させて頂きながら、持続可能な社会づくりに貢献してまいります」と述べている。(一部抜粋)
日本では再生可能エネルギーの導入拡大が続き、2023年度におけるその発電割合は22.9%に到達している(資源エネルギー庁『エネルギー白書2025』)。政府は2030年度に再生可能エネルギー比率を36~38%とするエネルギーミックス目標を掲げており、2040年度には最大50%までの引き上げを見据えている(資源エネルギー庁『今後の再生可能エネルギー政策について』)。太陽光発電の比率も2040年度には23~29%への拡大が想定されており、住宅・企業利用の推進策が今後も展開される見通しである。この背景には分散型エネルギーシステムやPPAモデルを活用した第三者所有型スキームの普及がある。市場全体でも成長が見込まれており、大手電力・新電力・専業PPAプロバイダーなど異業種の競争も強まっている。また、再エネの拡大に伴い、電力系統への統合や需給バランスの調整、蓄電技術・AI活用による運用最適化といった技術的・制度的課題も顕在化しており、今後の業界発展にはこれらへの継続的対応が問われる。
今回調達した資金は、『シェアでんき』を主とするPPAモデルの拡大と、より柔軟かつ拡張性の高いファイナンス基盤の構築に活用される。シェアリングエネルギーはこれまで住宅用太陽光発電の初期費用ゼロ導入を全国展開しており、拡大する住宅分野の太陽光需要に対応すべく、ハウスビルダー各社と連携してきた。2024年および2025年のプロジェクトファイナンスに加え、今回の資金調達により長期的な成長のための資金基盤をさらに強化する。
今後は太陽光発電のさらなる普及と分散エネルギー社会のインフラ化を目指し、サービス・金融両面での新たな展開を進める方針だ。
※PPAモデル(Power Purchase Agreement):太陽光発電設備を利用者自身が購入するのではなく、第三者(事業者)が設置・所有・維持管理を行い、利用者は発電された電力を長期契約で購入する仕組み。初期費用が不要で、運用・保守を事業者が担う点が特徴。
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