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将来像が見えてきたモビリティの未来
近年、MaaSの市場は急速に拡大しており、都市のモビリティの未来に大きな影響を与えると予測されている。MaaSとは、Mobility as a Serviceのことで、公共交通やライドシェアなどさまざまな交通手段)を一つのアプリやサービスでまとめて提供し、利用者がシームレスに移動できるようにする仕組みのことだ。
MaaS(サービスとしてのモビリティ)の市場規模は、2021年時点で4905億9000万円、2030年には1兆7188億円に達すると予測されている。※
特にプラットフォーム型の事業は、利用者の情報やお金を預かることが出来るため、将来的な中核事業となる可能性がある。また、人口減少や高齢化によるドライバー不足の日本市場では、交通インフラ維持のソリューションとなることが予想されている。
スタートアップ6選
株式会社REA
企業HP:https://rea-fun.com/
クラウド型AI(人工知能)乗合配車システム「Noruuu-Sharing」などの開発を行う。Noruuu-Sharingは、利用者の予約情報に応じて自動的に最適なルートを判断しドライバーへ配車指示を出すシステム。予約管理と配車計算システムを利用することで、複数人での乗合配車をリアルタイムに効率よく行うことができる。自治体や交通会社が電話などを使用していた配車業務をDX化し、地方交通やドライバー不足などの課題解決に貢献している。
2023年4月には、ジョルダン「乗換案内」とシステム連携、同時期にJR西日本イノベーションズと資本提携し、西日本エリアのタクシー会社や自治体で導入されている。2024年9月には、AI配車アプリシステム「Noruuu-Ride」にLINEからライドシェア車両を注文できる配車サービスを開始した。
株式会社Air Business Club
企業HP:https://air-bc.com/
物流業界向けにAI(人工知能)を活用して、営業用トラック向け輸送効率最適化システム「Ai-Connect」開発を行う。荷物やトラックを探す作業や、トラックの配車計画を自動化することができる。荷台の積載情報を管理し、複数の物流業者間で情報を共有できるため、共同輸送や混載輸送が可能となる。
2023年3月には、フューチャーベンチャーキャピタルと関西みらい銀行が共同で設立したFUNAZUSHIファンドを引受先とした資金調達を実施した。2023年11月には、滋賀県立大学と共同で実施しているトラック輸送効率化AIの研究がNEDO研究開発事業として採択された。
株式会社MaaS Tech Japan
MaaS に取り組む企業・自治体に向け、プラットフォーム開発事業、コンサルティング事業、メディア事業を手がける。移動情報統合データ基盤「TraISARE」により、鉄道、バス、タクシー、飛行機などの交通データを一つにまとめて、スムーズに共有し、分析や予測ができる。これを利用した大手町・丸の内・有楽町地区リアルタイム回遊マップ「Oh MY Map!」などのサービスをリリースしている。
2024年7月には住民参加型交通情報サービス「Noluday」をリリースした。2024年9月にインクルージョン・ジャパン、ヴァル研究所、ゼンリンフューチャーパートナーズ、西日本鉄道、三菱UFJキャピタル、既存株主等を引受先とした資金調達を実施した。
glafit株式会社
企業HP:https://glafit.com/
マイクロモビリティの開発/製造/販売/カスタマーサービスを手掛ける和歌山発のハードモビリティベンチャー。これまでに自転車型電動バイク「GFR」や、立ち乗り型スポーツスクーター「LOM」のほか、1台の車両で「電動バイク(原付)」と「自転車」を切替えて利用をすることを道路交通法上でも認められる「モビリティ・カテゴリ・チェンジャー(モビチェン®)」機構を開発している。
2021年11月には、シリーズBラウンドにてスパークス・グループ、三菱UFJキャピタル、南都キャピタルパートナーズ、みずほキャピタル、池田泉州キャピタル、パナソニック、ヤマハ発動機などを引受先とした第三者割当増資による、約10億円の資金調達を実施した。
Future株式会社
企業HP:https://www.futuremobility.fun/
電動三輪バイク「Future mobility “GOGO!”」を開発・販売する企業、レーシングドライバーで実業家の井原慶子氏がCEOを務める。Future mobility “GOGO!”は、車体重量が23~25kgと軽量な三輪構造の電動バイク。 同製品の道路交通法の区分は「ミニカー」となっているため、普通自動車免許を所持していれば運転できる。
2021年11月には名古屋市内交通と連携し、移動の利便性向上や観光、ビジネスを通した地域活性化を推進する。2023年10月にオリエントコーポレーション(Orico)と、持続可能な交通網・まちづくりの推進と地域経済の活性化などを目的とした資本業務提携を実施した。
チャリチャリ株式会社
企業HP:https://charichari.co.jp/
シェアサイクルサービス「チャリチャリ」を展開する。 チャリチャリは、スマートフォンアプリで専用自転車の QR コードを読み込み利用できる。2024年9月までに約7900台の自転車と1500か所以上の駐輪ポートを展開し、累計2,700万回以上利用された。同年10月時点で福岡市・名古屋市・東京都・熊本市・福岡県久留米市・三重県桑名市・佐賀県佐賀市・熊本県天草市・熊本県菊陽町の9エリアで展開している。
2023年9月にシェアサイクル用の電動アシスト自転車を裏付とする、三菱UFJ信託銀行の動産信託による資金調達を実施、福岡市・熊本市内に新たに電動アシスト自転車の投入を行った。2024年4月に社名を「neuet 株式会社」から「チャリチャリ株式会社」に変更した。
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※矢野経済研究所「国内MaaS市場に関する調査を実施(2023年)」