法的トラブルを未然に防ぐLeCHECK、企業間の争いがない未来へ

法的トラブルを未然に防ぐLeCHECK、企業間の争いがない未来へ

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KEPPLE編集部


契約書レビューサービス「LeCHECK(リチェック)」を提供する株式会社リセが、第三者割当増資と金融機関からの融資による総額18億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、Angel Bridge、大和企業投資、グローバル・ブレイン、弁護士ドットコム、BRICKS FUND TOKYO by Mitsubishi Estate、京都キャピタルパートナーズ、金融機関他。

今回の資金調達により、各業界特有の法務に対応するプロダクトの開発や人材採用を強化する。

弁護士監修の契約書レビューサービス

LeCHECKは、企業間の契約書の内容から、AIが自動的に抜け漏れや不利な条件などの指摘、代替案を提示して見落としリスクを軽減するレビュー支援サービスだ。

画面イメージ
リセの代表は、西村あさひ法律事務所パートナー出身の弁護士。LeCHECKの開発は30名以上の弁護士が監修している。

過去の締結済み契約書や関連資料をクラウドにアップロードすることで紛失リスクを軽減。国際取引特有のリスクの洗い出しや、抜け漏れのチェックにも対応する英文契約書レビュー支援機能も提供している。

法的問題が複雑化し多様化する中、企業は契約書を事前に注意深くチェックし、リスク回避をすることが重要だ。中小企業では、法務担当を設置していないことも多く、契約内容の確認が不十分になるケースもある。

LeCHECKを専任の担当者を設置できない企業でも導入しやすい費用感で提供することで、法務に関するリスク軽減に貢献する。

2024年3月時点での導入社数は約2000社。約80%が中堅・中小企業の利用だ。企業に限らず法律事務所でも導入されており、今後はより幅広い層への導入拡大も目指す。

今回の資金調達に際して、代表取締役社長 藤田 美樹氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

「企業間の争いが起きてから後悔」では遅い

―― 契約に関して中小企業が抱える課題とは?

藤田氏:契約書は、一度契約すれば後から文言を変更することはできません。契約後に争いが起きた際には、締結した契約内容をベースに戦わざるを得ないわけです。仕事をもらう立場だと交渉しづらいという声もありますが、取引絡みの争いを減らすため、企業規模に関係なく、仕事をもらう側の立場であっても契約段階でリスクを低減する必要があります。

外部取引がそこまで多くなければ、契約のたびに弁護士に確認してもらうこともできるかもしれません。ただ、企業規模が大きくなるにつれ、すべての案件を弁護士に依頼しようと思うと大きなコストがかかってしまいます。そのため、難しい・複雑な契約を弁護士に依頼し、日常的に発生する契約は社内リソースでチェックするという会社がほとんどです。

大企業であれば、担当者に専門の資格がなかったとしても、法務に関する教育がしっかりとされています。一方で、中小企業では知識もないのに法務担当になってしまうこともあります。そうすると何らかのトラブルが起きた後で、「契約書の文言をしっかり確認しておけばこんな争いは起きなかったのに」と後悔することも珍しくないんです。

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――創業のきっかけを教えてください。

これまで長年にわたり、日本の法律事務所で企業間紛争を担当する弁護士として活動していました。起業の大きなきっかけは、米国の企業からリーガルチェックツールの営業を受けたことです。大きな衝撃を受けたことをよく覚えています。法務の世界もこれから大きく変わっていくんだと実感しました。

これまで、弁護士という仕事にやりがいを感じていました。その中で、企業間の争いはお金や時間を浪費して企業同士の関係断絶につながるだけでなく、企業の担当者が疲弊する様子もよく見ていたんです。

契約書レビューのツールがあれば、企業担当者の困りごと解消にも貢献し、企業間の争いも減るのではないかと感じました。法務の世界が今後変わっていくのであれば、自分が変えていきたいという強い思いが芽生え、リセを設立してプロダクト開発を進めました。

業界特有の法的リスク対応へ

―― 調達資金の使途について教えてください。

大きな目的の一つが、より便利なプロダクトにするための開発強化です。プロダクトはかなりチューニングしているため、一般的な契約不備のリスクは見逃さないものの、今後も顧客や時代のニーズに応えるための開発強化は重要です。その一つとして、専門分野を持つ弁護士のように、各業界特有の問題や取引に関するノウハウをプロダクトに落とし込むことで、より質の高い法務支援サービスを提供していきたいと思います。

また、人材採用も強化して、来年までに150名規模への拡大を目指しています。LeCHECKは、エンジニアだけで開発が完結するプロダクトではありません。弁護士のチームがプロダクトのチューニングに取り組むことで、共同でプロダクトを作っているんです。このチームを大幅に増強していくことに加え、営業の採用を進めていきます。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

これまで、中小企業の顧客を中心にLeCHECKをご利用いただいてきました。今後は、個人が自分の権利をこれまで以上に主張できる世界になっていくはずです。将来的には、個人事業主の方などにも利用していただけるようなサービスにしていきたいと思います。

海外展開も視野に入れています。LeCHECKをただその国の言語に対応させればいいわけではありません。各国の法律に基づいたレビューができるようにする必要があります。容易なことではありませんが、契約書レビューサービスの普及が不十分で、弁護士の数も米国と比べて少ないようなアジア諸国から広めていくことを検討しています。

創業から一貫しているのは、「できるだけ多くのお客様にサービスをお届けし、リスクを未然に回避して契約や取引をしていただきたい」という思いです。良いサービスを合理的な価格で多くの人々に提供することで、結果的に争いを減らせるよう取り組んでいきたいと思います。


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