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配車から始めるタクシーDX、地域の交通網をシステムで活性化

タクシー業界のDXを推進する株式会社電脳交通は、シリーズDラウンドで総額25億円の資金調達を実施(第三者割当)。累計調達額が約52億円に達した。
今回の調達には、既存株主である三菱商事をリード投資家とし、阿波銀キャピタル、いよぎんキャピタル、Uber Technologies, Inc.、国際自動車、大和自動車交通、つばめ自動車など計12社が参加した。
電脳交通は2015年に設立され、GPSやスマートフォンを活用して配車を効率化するクラウド型タクシー配車システム「DS」や配車業務委託サービス「タクシーCC」を提供している。これらのサービスは全国47都道府県・約600社・約21,000台のタクシー車両に導入されており、月間20万件を超える電話による配車依頼に対応している。
さらに、電脳交通は外部サービス接続システム「DSコネクト」を提供。これは、同社のクラウド型配車システムDSと他社の配車アプリや交通関連サービスとの連携を実現するもので、タクシー事業者の業務効率化と収益拡大を推進する。2025年2月には、UberがDSコネクトのアライアンスパートナーとして参画し、電脳交通のタブレット1台で電話およびUberアプリからの配車依頼を同一画面で受けられるようになった。
代表取締役社長の近藤 洋祐氏は、徳島市内の高校を卒業後、メジャーリーガーを目指して渡米。アメリカの大学を卒業後に帰国し、祖父が社長を務める吉野川タクシーに入社。ドライバーとしての現場経験を経て代表取締役に就任した。妊産婦向けの送迎サービス「マタニティタクシー」や学習塾への送迎を行う「キッズタクシー」など、現場の課題に応じた新サービスを次々に導入。その後、タクシー配車システムの開発と配車業務の代行事業を手がける電脳交通を立ち上げた。
日本のタクシー業界は、配車業務の多くが電話対応で行われており、IT化の遅れが課題となっている。また、地方では高齢化や人口減少により、公共交通機関の赤字運営や撤退が相次ぎ、交通空白地帯が拡大している。こうした背景の中、電脳交通の提供するクラウド型配車システムや配車業務委託サービスは、タクシー事業者の業務効率化やコスト削減に寄与してきた。さらに、同社はデマンド交通や脱炭素化といった新たな取り組みにも注力しており、地域交通の持続可能性を高める役割を担いつつある。
今後は、タクシーの配車支援にとどまらず、タクシー事業者が抱える経営課題全体にアプローチするサービスを展開していく。労務管理、業務効率化、車両の調達・管理、採用支援など、運営のあらゆる面をカバーすることで、持続可能で効率的な経営の実現をサポートする計画だ。
また「DSコネクト」を通じて、配車アプリや他の交通関連サービスとの連携も強化。業務効率の向上や収益拡大を後押ししつつ、地域の住民や訪日外国人にとっての新たな移動手段を提供する。パートナー企業との連携を広げながら、移動の利便性を全国的に高め、インフラのアップデートに貢献していくという。
今回の資金調達によって、プロダクト開発とサービスの拡充をさらに進め、交通業界の課題に継続的に取り組んでいく方針だ。
画像は電脳交通プレスリリースより
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