中四国で産声上げるソーシャルビジネス、地場の強みで目指すは全国区
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中四国で産声上げるソーシャルビジネス、地場の強みで目指すは全国区

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KEPPLE編集部

6月21日、日本経済新聞社は中四国地域の有望スタートアップや行政担当者が集うセミナー&説明会「NIKKEI THE PITCH Meetup」を開催した。会場となったのはこの2月に開業したサッカースタジアム「エディオンピースウイング広島」。サッカーフィールドを見下ろせるスタジアム内の会議室に多くの参加者が集まった。

NIKKEI THE PITCH」は全国のスタートアップ・アトツギベンチャー企業・次世代の社会起業家を支援するためのプロジェクト。「スタ★アトピッチJapan」、「日経ソーシャルビジネスコンテスト」を前身としてこの春立ち上がった。現在、二つのピッチコンテストを開催中。参加者を募集しており、各地のスタートアップが続々とピッチイベントの参加に名乗りを上げている。

今回のセミナー&交流会は、NIKKEI THE PITCHのピッチイベントに先駆けて、経営や起業・アイデア創出に役立つイベントとして広島を含む全国7会場で開催された。集まったのは各地の有望スタートアップや学生起業家、投資家、自治体など。有識者によるトークセッションの後には、参加者同士の交流の場が設けられた。

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支援ネットワークは200機関越え、官民一体で中四国スタートアップの発射台に

セミナーは、中国経済産業局の阿比留彩子・地域経済部次長によるスタートアップ支援プログラム「J-Startup WEST」の説明から始まった。J-Startup WESTは経済産業省のJ-Startupプログラムの地域展開として、地域のスタートアップエコシステム強化を目的に2023年4月に創設された。

「J-Startup WESTを昨年4月に立ち上げてから約1年が経過しました。10月には中国地域の22社をJ-Startup WEST選定企業として選定しました。この5月には四国地域でも11社を選定し、そのお披露目式典を開催するなど、今まさに盛り上がりを見せている最中です。支援者ネットワークの参加は200機関を超え、スタートアップの支援体制構築も着実に進んでいます。今後も、さまざまな地域のイノベーションの担い手となるスタートアップの大きな飛躍を後押しするため、各所と連携して取り組んでまいりたいと思います」(阿比留氏)

阿比留氏写真

声を上げ続けろ、共感の輪で広がる社会課題解決型ビジネス

トークセッション第一部のテーマは「ソーシャルビジネス最新潮流」。地域でビジネスに取り組む若手起業家が、ソーシャルビジネスに取り組む気構えや現状について議論した。行政による社会起業家輩出の取り組みについても触れられた。

・福島 大悟氏(一般社団法人まめな / 第3回日経ソーシャルビジネスコンテスト 学生部門受賞)
・佐々木 萌音氏(内閣府政策統括官(経済財政分析担当)付参事官(総括担当)付(併)経済産業省大臣官房スタートアップ創出推進室)
・牛垣 希彩氏(株式会社マクライフ)

―― 本セッションのテーマは「ソーシャルビジネス」です。どのような想いで地域の課題解決に取り組んでいるのでしょうか?

牛垣氏 私たちは従来の天井と異なり、吊り金具が不要で自在に設置できる膜天井を提供しています。その裏側にあるのは地震で悲しむ人を少しでも減らしたいという想いです。膜天井は軽くて柔らかいため、地震で落下してもダメージを軽減できます。一方で岡山県は地震が少なく、住民が危機意識を持ちにくい。そのため当初は受け入れてもらえないこともありました。それでも、大きな地震がいつ来るかわからない恐怖は感じているはずです。私たちの想いを伝え続けることで「一緒にやってみよう」と言ってくれる企業も増えてきました。共に取り組んでくれる仲間が増えれば増えるほど、社会が動いていく面白みを感じています。

福島氏 広島県にある大崎下島という島で「mamena commons」というインキュベーションコミュニティを運営しながら、そこに住む高齢者の暮らしをお手伝いしています。コミュニティで重視しているのは「面白そうだからやってみる」という考えです。アイデアを出して楽しく取り組めば活動が盛り上がり、当初は予想していなかった地域の課題が解決される。遠回りなように見えますが、楽しんで取り組むことでさまざまな社会・地域課題の解決につながるのです。

―― ソーシャルビジネスへの関心度の高まりについて、行政の立場として佐々木さんはどのように考えていますか?

佐々木氏 社会課題の解決と持続可能な成長の両立を目指す「インパクトスタートアップ」への注目が非常に高まっています。また、学生は社会起業に対する関心が強くリスクも取りやすい。行政の立場で優秀な学生を支援して広げ、社会起業家の拠点を作ることが私のミッションです。また、私は内閣府に出向していますが、経済産業省の業務として学生向けの社会起業家育成プログラム「ゼロイチ」の運営にも携わっています。

左から:モデレーターの高城 幸治氏(中国経済産業局 地域経済部 イノベーション推進課長)、福島氏、佐々木氏、牛垣氏
左から:モデレーターの高城 幸治氏(中国経済産業局 地域経済部 イノベーション推進課長)、福島氏、佐々木氏、牛垣氏

―― 地域課題解決の取り組みを推進するために必要なこととは?

福島氏 今後は学生や企業との共同実証なども進めていきます。その中で常に考えているのは「どうすればその地域に愛着を持ってくれる協力者を集められるか」ということです。私たちが地域に提案したいのは、その土地ならではの風土を活かした新たな暮らし。さまざまな地域で町おこしや地域再生の取り組みがなされていますが、地域の外からノウハウを持ち込むことに頼るだけでは不十分です。土地に根付いた独自の文化を大事にすることが重要だと思います。

佐々木氏 とある学生は、高齢者の方々にもっと自分の町に誇りを持ってほしいと、祭りの担い手不足を解決する事業を手掛けていました。自分が住んでいるからこそこうした問題意識が持てるのは素敵なことです。地域×社会課題解決型のビジネスはとても親和性が高い。今回のようなイベントを通じて地域コミュニティを形成しながら、行政としても民間と手を取り合って社会課題の解決に取り組んで行くことが求められているのだと思います。

地方スタートアップの成長モデル - 金融機関やメディア支援で全国へ

続くトークセッション第二部では「スタートアップ企業・アトツギ企業最新潮流」をテーマに有識者がディスカッションした。地域交通網の再生や人手不足が深刻な建設現場の業務効率化といった、地域課題の解決を目指すビジネス創出や企業のポイントについて話した。

・西本 裕紀氏(株式会社電脳交通 Business Developmentチーム)
・西尾 周一郎氏(株式会社オーディオストック 代表取締役社長)
・西岡 大穂氏(ONESTRUCTION株式会社 代表取締役CEO)

―― 皆さんは中国・四国地方に本社を構えられています。地方に拠点を持っているからこそできることなどがあれば教えてください。

西尾氏 我々は音楽クリエイター達と直接契約し、テレビ局やラジオ局などが音源を使い放題で商用利用できるサービスを提供しています。実は一度岡山から東京に拠点を移したのですが、コロナ禍のタイミングで岡山に戻ってきました。2010年代の東京はITがものすごく盛り上がっていて、ビジネスを次のフェーズに押し上げるための資金は地方に比べて得やすい環境だったと思いますが、岡山に戻って思うのは「地場の金融機関がとても応援してくれる」ことです。地域のつながりを持てるというのは大きな強みだと思います。

―― 資金調達については都市部とはまた異なる取り組みが重要そうですね。

西岡氏 建設業界では工期短縮やコスト削減の取り組みが進んでいます。そこで私たちが取り組むのが、建設会社が3Dデータを活用できるような支援やプロダクト開発です。創業からの3年ほどは融資だけで事業を行っていました。業界の解像度を高めながらスモールビジネス的に展開しながら、エクイティファイナンスによる事業拡大に踏み切ったのがここ1年です。

資金調達という観点では、特定企業からの調達は仕事に影響をきたす場合がある。創業初期は地銀との親和性を重視して融資中心に事業を始め、どこかのタイミングでエクイティファイナンスを検討するモデルは地方企業にとって特に良い手段なのではないでしょうか。

左から:西本氏、西尾氏、西岡氏
左から:西本氏、西尾氏、西岡氏

―― 地方から大きな事業を創出するポイントは?

西本氏 地域ならではの課題は実はかなりあります。たとえば、徳島県は一日のタクシー車両の営業収入がかなり低い課題先進県です。こうしたきっかけから電脳交通のビジネスは生まれ、徳島県を拠点にタクシー会社向けの配車システムを提供しています。その土地で感じた課題に愚直に向き合うことが、起業や新規事業が生まれるきっかけになるのではないでしょうか。

西尾氏 広報の観点では、地元メディアと定期的にコミュニケーションをとりながら取り組みを発信することが重要です。地方で取りあげられたことがきっかけで全国に情報が届き、テレビ番組出演につながることもある。メディア露出も通じて、地域の偉大な大企業に肩を並べられるような企業となることを目指して取り組んでいきたいと思います。

起業家支援プロジェクト「NIKKEI THE PITCH」の応募は9/17まで!

NIKKEI THE PITCH告知バナー

日本経済新聞社の主催するスタートアップ・アトツギベンチャー・ソーシャルビジネス・起業家を支援するプロジェクト「NIKKEI THE PITCH」は、二つのピッチコンテストを開催します。

スタートアップ・アトツギベンチャーを対象にした「NIKKEI THE PITCH GROWTH」、ソーシャルビジネスを対象にした「NIKKEI THE PITCH SOCIAL」では、9/17(火)までご応募を受け付けております。

厳正な審査を勝ち抜いたコンテストの受賞者は日本経済新聞紙面やNIKKEI THE PITCH公式サイトに掲載されます。

皆様の事業やビジネスアイデアに込めた熱い想いを日経のピッチコンテストにぶつけてみませんか。是非ご応募ください!


◆NIKKEI THE PITCH GROWTH◆
詳細・ご応募はこちらから

スタートアップ・アトツギベンチャーを対象にしたピッチコンテストの全国大会。全国8か所での地方予選と決勝大会で、皆様の事業をPRして頂きます。

【応募資格】
新規事業を立ち上げ、その成長に挑んでいるスタートアップ・アトツギベンチャー企業
<スタートアップ>創業10年程度までの未上場スタートアップ企業・団体の経営者
<アトツギベンチャー>新規事業などに挑む家業のアトツギ経営者・候補者

【大会の流れ】
全国を8ブロックに分けた地方予選を実施後、各ブロックの上位企業等による決勝大会を開催、各賞を決定

【表彰内容】
グランプリ(賞金100万円)、準グランプリ(賞金50万円)、スタートアップ部門賞、アトツギベンチャー部門賞、オーディエンス賞、ソーシャルインパクト賞 ほか
上記受賞企業各1名を海外のスタートアップ事情視察ツアーへご招待
各賞受賞社のインタビュー記事をNIKKEI THE PITCHサイトに掲載

NIKKEI THE PITCH GROWTH 詳細・ご応募はこちらから


◆NIKKEI THE PITCH SOCIAL◆
詳細・ご応募はこちらから

ソーシャルビジネスを事業展開、起業検討している団体・個人・学生を対象としたコンテスト。事業・アイデアの磨き込みを経て最終審査会に臨んで頂きます。

【応募資格】
社会課題解決を目的とし、起業3年目以内もしくは起業を志す個人・学生・団体

【大会の流れ】
応募審査による一次審査会を行い、一次審査通過者へはアドバイザリーボードによるブラッシュアップミーティングを実施。その後、最終審査会で各賞を決定

【表彰内容】
グランプリ(賞金100万円)、準グランプリ(賞金50万円)、高専・大学生・大学生部門賞、中高生部門賞グランプリ、準グランプリ受賞者のインタビュー記事をNIKKEI THE PITCHサイトに掲載

 NIKKEI THE PITCH SOCIAL 詳細・ご応募はこちらから

▼▼スタートアップ・アトツギベンチャー・ソーシャルビジネス・起業家を支援するプロジェクト「NIKKEI THE PITCH」▼▼
https://pitch.nikkei.com

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