rayout、シリーズAで1.45億円調達──AI×PMOでクリエイティブ業務の構造改革へ

rayout、シリーズAで1.45億円調達──AI×PMOでクリエイティブ業務の構造改革へ

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クリエイティブ領域の事業推進を支援するrayout株式会社が、シリーズAラウンドで第三者割当増資による総額1.45億円の資金調達を実施した。リード投資家はQXLV(クオンタムリープベンチャーズ)で、SMBCベンチャーキャピタルや朝日メディアラボベンチャーズがも参加した。これにより、累計調達額は約1.84億円に達した。調達資金は自社開発ツール「CheckBack」のプロダクト開発やマーケティング、クリエイティブPMO領域での人材採用に充てられる。

rayoutは2019年4月設立のスタートアップで、企業の事業課題に対し、戦略設計から制作・PRに至るまで一貫した支援を提供する「クリエイティブPMO(Project Management Office)」サービスに注力している。主なクライアントは金融や不動産などのBtoC企業で、特に採用・人事・広報・マーケティング・経営企画といった部門が多い。クリエイティブ制作の現場では、進行管理の効率化を図るSaaS「CheckBack(旧MiLKBOX)」を展開しており、動画やWeb、グラフィック、書類などの制作物チェックやフィードバックをクラウド上で一元管理する。2023年の正式ローンチ以降、5000チーム以上に導入されている。

同社が提唱する「クリエイティブPM」とは、事業部門とクリエイティブ部門の橋渡し役を担う。近年、企業活動においてクリエイティブの重要性が増す一方で、こうした専門人材の社内確保は難しく、外部支援への需要が高まりつつある。rayoutによれば、これまでに500社・2300件超のプロジェクトで、課題発見から施策設計、制作、実装まで伴走型でサービスを提供してきた。

代表取締役の吉田壮汰氏は、大学卒業後、出版社でメディア営業を担当し、IT企業で事業責任者を務めた後、2019年にrayoutを設立。出版業界やコンテンツ制作会社での経験を生かし、同社を創業した。

クリエイティブ業界全体では、動画やSNSコンテンツの需要増加とともに、1案件あたりの規模が縮小しつつ数が増え、制作工程の高速化や関係者とのコミュニケーション量が増加している。YouTubeへの1分あたりの動画投稿は500時間を超えるとされ、情報過多の中で「伝わる成果物」の制作やプロジェクト推進には、専門的なプロジェクトマネジメント機能が求められている。従来型の広告代理店やコンサルティング会社が対応しきれない領域をカバーするプレイヤーは限られており、外部のクリエイティブPMOサービスへの期待は高まっている。また、クリエイターエコノミーの拡大に伴い、工程管理や修正作業の非効率、関係者間の情報分断といった課題も顕在化している。

同社の「CheckBack」は、こうした制作現場の進行管理やコミュニケーションのデジタル化を支援するためのSaaSツールである。クラウド上で関係者が場所や時間を問わず確認・承認作業を行えるほか、生成AIと過去のフィードバックを活用したプロセス自動化機能も搭載している。プロジェクト遂行中に発生するノンコア業務を削減し、クリエイティブワークへの集中を促す仕組みとして運用されている。サービス開始から短期間で導入が拡大しており、今後は「進行AI」領域での機能拡充や、PMO人材の育成・組織拡大も推進する方針を示している。

今回の資金調達を通じて、事業課題の把握から制作・PRまでを一貫して推進する「クリエイティブPM」モデルを強化する。また、自社ITサービス「CheckBack(チェックバック)」により、制作進行における確認作業などのノンコア業務を効率化し、クリエイターエコノミーの拡大に貢献していく方針だ。

rayoutは今後、クリエイティブ領域の業務効率化やDX推進において、企業側の多様なニーズに対応するためのサービス拡充を計画している。クリエイティブPMOや進行管理ツールの導入による生産性向上、業界全体の課題解決に向けた取り組みが進む中、その動向が注目される。

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