ULTRA SOCIAL、シリーズBで11.5億円調達──AI×SNSで次世代マーケティングを創出

ULTRA SOCIAL、シリーズBで11.5億円調達──AI×SNSで次世代マーケティングを創出

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ULTRA SOCIAL株式会社がシリーズBラウンドで、エクイティとデット合わせて11.5億円の資金調達を実施した。今回の調達には、HighLight Capital、eBeauty Group、SBIインベストメントなど複数の投資家が出資した。

ULTRA SOCIALは2021年11月に設立され、短尺動画SNSの普及やライブコマース市場の成長を背景に、SNSとECを融合した新たなマーケティング手法を提供してきた。主な事業は3つある。

1つ目のインタレストコマース事業では、ユーザーの興味関心に基づく購買体験を支援している。具体的には、TikTok Shop支援やブランド公式アカウントの運用、クリエイターキャスティング、広告運用などに取り組み、SNSとECを横断する販売チャネルの拡大を図っている。2つ目の事業は、クリエイタープロダクション「Cue’s」の運営である。美容やファッション領域を中心に、クリエイターの発掘・育成、ブランドとのコラボレーションを進めている。3つ目は、生成AIを活用したデジタルヒューマン「Spaike」の提供である。「Spaike」はカスタマーサポートAI、バーチャルインフルエンサー、デジタルコンシェルジュ、教育アシスタントなど、多様な顧客接点や業務支援の現場で利用が進んでいる。

代表取締役社長の高橋亮太氏は、大学卒業後、米国のマーケティング企業で経験を積み、2018年にTikTok for Business Japanの立ち上げに参画。2020年からは抖音のクロスボーダー事業責任者を務め、そこで得た知見をもとに2021年にULTRA SOCIALを設立した。

インタレストコマースの市場動向としては、中国をはじめとする東アジア圏で大きく拡大している。SNSや動画プラットフォーム経由で商品を購入する行動様式が一般化し、成長過程にある。日本国内ではTikTok Shopの展開をきっかけに、SNSとECの連携やインフルエンサーを活用した販売促進、ライブイベント型コマースへの関心が高まっている。参入企業は大手ECモール、広告代理店、SNS運用事業者など多岐にわたり、データ分析やクリエイティブ開発力を競争力の源泉とする傾向が強まっている。

生成AIを活用したデジタルヒューマン領域でも、国内外のIT企業やスタートアップによるプロダクト開発が進んできた。対話型AIやバーチャル接客サービスの導入が進み、カスタマー対応や教育、デジタル広告、社内業務支援まで活用範囲が広がっている。競合にはAIカスタマーサポートSaaSやバーチャルインフルエンサー事業者が含まれる。これらの領域は技術進化のスピードが速く、サービスの実装力や市場適応力が事業の成否を左右する。

今回の資金調達にはHighLight Capitalのほか、年間4500億円超の流通総額をもつeBeauty Group、既存株主のSBIインベストメントが参加している。調達資金は主にAlソリューションの開発の加速に充当する計画だという。

今後、ULTRA SOCIALはインタレストコマース市場でのシェア拡大、新たなAI・SNS技術を活用したソリューション開発、グローバル市場への事業展開に注力する見通しである。一方、同分野は競争が激しく、法規制やプラットフォーム運営企業の動向、デジタル広告規制の変化、生成AIへの社会的受容性などへの対応も求められる。技術開発力やクリエイター・ブランドとの連携体制が、今後の業界内ポジションを大きく左右する状況となっている。

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