世界基準のデータサイエンスでRevieが目指す、顧客体験のパーソナライゼーション
BtoC企業向けに顧客体験パーソナライゼーションSaaS「ReviewBank」を提供する株式会社Revieがシードラウンドにて、J-KISS型新株予約権の発行による1億円の資金調達を実施したことを明らかにした。
今回のラウンドでの引受先は、ジェネシア・ベンチャーズ、DNX Ventures。
調達した資金を基に、プロダクト開発と組織体制を強化するとしている。
顧客理解のための深層ニーズを収集・特定
ReviewBankは、BtoC企業の中でもとりわけ大企業向けのSaaSで、顧客体験のパーソナライゼーションを可能にするサービスだ。
独自のAIモデルで顧客一人ひとりの深層ニーズを収集・特定し、より深いレベルでの顧客理解が可能となるデータベース構築をサポート。そのデータベースをもとに、顧客体験のパーソナライゼーションが可能となる。具体的には、一連のWebプロモーションやECサイトでの表示において、顧客一人ひとりのニーズを満たすコンテンツのレコメンドや、訴求メッセージの自動生成・配信を行うことができる。
現在は問い合わせに対応する形で、ベータ版を提供。リリース後は引き合いも多く、導入に向けて協議が進んでいる企業も増えているという。
今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 中沢弘樹氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。
顧客第一の思想こそが企業にとってプラスになる
―― これまで、BtoC企業が提供する顧客体験にはどのような課題がありましたか?
中沢氏:BtoC企業は、設定したペルソナをもとに顧客をセグメンテーションし、最大でも数種類の顧客体験を提供しています。しかし、1億人の顧客を持つ大企業などの場合は、設定されたペルソナから外れる顧客が大半のため、大多数の顧客にとってそれが必ずしも効果的に働いていないのが現状です。
私自身、一消費者としてWebサイト上で何度も自分に合わない商品をレコメンドされたり、自分に関係のないメルマガが何通も届いたり、煩わしく感じることがよくあります。Webサイトの表示やメール配信のコストはほぼゼロなので「とりあえず表示しておこう。配信しておこう」という事業者側の考えは理解できますが、これはむしろ顧客体験やブランドイメージの毀損で、企業にとっては長期的にマイナスになってしまうところです。そのような課題を私たちのプロダクトで解決したいと思っています。
―― ReviewBankを始めようと思ったきっかけや、創業の経緯を教えてください。
前職のベイン・アンド・カンパニーでは、顧客体験、顧客ロイヤリティに関するプロジェクトに何度か携わりました。小手先ではなく、顧客のことを思って売上を伸ばそうとする思想のもとで、実際に良い結果も出すことができました。その経験もあり、顧客体験領域は自分が熱量を持って取り組める分野だと思ったのがきっかけのひとつです。
また、個人的に「Pay it forward(恩送り)」を重要な人生のミッションに掲げています。私は経済的に苦しい環境で育ってきたのですが、さまざまな方の支えがあって恵まれた道に進めたと思っています。自分が受け取ってきた多くのものを、次の世代に「恩送り」という形で渡していきたい。そのためには、経営者として会社を大きくすることで社会へのインパクトを残そうと思って起業しました。
日本からビッグテック企業を生み出すサービスに
―― 資金調達の具体的な使途について教えてください。
プロダクト開発にフォーカスし、データサイエンティストとソフトウェアエンジニアの採用に充て、組織体制を強化する予定です。
深層ニーズの特定、顧客分類、レコメンド機能に加え、今後はAIによるリード文の自動生成も視野に入れているため、データサイエンスドリブンである必要があります。当社の世界トップレベルのデータサイエンスチームならば、このプロダクトを実現できると考えています。
―― 今後の長期的な展望を教えてください。
日本からGAFAのようにビッグテックと呼ばれる会社を1000社生み出したいと思っています。
これまで、パーソナライゼーションは、データ量やデータサイエンティスト人材の面で、GoogleやAmazonなどのプラットフォーマーにしかできていませんでした。私たちのパーソナライゼーションをSaaSとして提供できれば、さまざまな企業が顧客に対して本当に価値あるものを提供できるようになります。そういったプレイヤーを増やし、ゆくゆくはGoogle、Amazonのような大きなテック企業が日本で量産されるようになれば嬉しいですね。
最先端のデータサイエンスチームで世界を変える
私たちはまだ本当に小さい会社ですが、Kaggle Master(※)4名を含め、とても優秀なメンバーが集まっています。エンジニア目線では、最先端のエンジニアリング、データサイエンスを取り入れて、世界にないプロダクトを作っており、ビジネス観点では世の中に大きなインパクトを与えうるプロダクトの0→1に携われるという、本当に楽しいフェーズではないかと思っています。ご興味のある方、世界を変えたいという野望がある方にはぜひ来ていただきたいと考えています。
(※)Kaggle Master:世界最大のデータサイエンスコンペティションプラットフォーム「Kaggle」において、最高位のGrandmasterに次ぐ称号。現在日本に200人程度しかいないと言われている。
株式会社Revie
株式会社Revieは、BtoC企業向けの顧客体験パーソナライゼーションSaaS『ReviewBank』を運営する企業。 『ReviewBank』は、独自のAIモデルを提供することで、BtoC企業が個々の顧客の深層ニーズを収集・特定し、より深いレベルの顧客理解が可能な顧客データベースの構築をサポートする。また、構築したデータベースを基に個々の顧客に対して、ニーズを満たすコンテンツのレコメンドや訴求メッセージの自動生成・配信による顧客体験のパーソナライゼーションサービスを提供する。
代表者名 | 中沢弘樹 |
設立日 | 2021年7月1日 |
住所 | 東京都港区港南2丁目15-1品川インターシティA棟22階SPROUND内 |