営業支援データベースのQuickWork、世界の働き方を変えるプラットフォームへの進化
営業活動を支援する企業データベース「SalesNow(セールスナウ)」を運営する株式会社QuickWorkがシリーズAラウンドにて、第三者割当増資による約2億円の資金調達を実施したことを明らかにした。
今回のラウンドでの引受先は、KUSABI、ココナラスキルパートナーズ、SMBCキャピタルの3社。
調達した資金は、ボードメンバーをはじめとする人材採用に充て、より強い組織体制の構築を目指す。
国内500万社の行動データをもとに最適な顧客にアプローチ
「SalesNow」は、BtoBセールスの効率化を支援するデータベースサービスだ。国税庁に登記されている国内500万社以上の全企業が網羅されている。ユーザーはプラットフォーム上で、検索条件を掛け合わせ企業を絞り、自社サービスにマッチする最適な顧客候補を発見できる。また、専門チームが収集する高品質なデータを活用し、ユーザーは顧客リストの作成だけではなく、アプローチや顧客管理まで一気通貫して行うことができる。
同社は、データベース検索のほか、シナリオ検索もリリースしている。業界や従業員数、資本金など企業のバックグラウンド情報から調べるデータベース検索とは異なり、シナリオ検索ではリアルタイムの企業行動をもとに現在の活動状況や興味関心に合わせてターゲットを絞ることができる。
例えば、直近で新しく求人を出した企業や資金調達をした企業、プレスリリースの内容をもとに特定の分野に興味関心を持つ企業など、よりセグメント化されたターゲットを抽出し、必要な顧客リストを作成することが可能だ。
データベース上の情報は数分ごとに更新されるため、ユーザーは最新の企業情報を取得し、最適なタイミングでターゲットにアプローチすることができる。また、プラットフォーム上ではステータスログを残すことができるため、獲得した情報や活動ログをセールスの中に蓄積していくことにより、アウトバウンドセールスの効率を上げていくことができる。
ビジネスモデルとしては、リスト作成やシナリオ検索ができる有料ユーザーの場合にはサブスクリプション型となっており、月々40万円のベースプランで5IDまで使うことができる。
SalesNowは無料ユーザーを含めて12,000社以上の企業に導入されており、派生サービスである企業データベースメディア『SalesNow DB』のユニークユーザーは、月間60万人(2022年7月データ)を突破した。主に、人材やITシステム、Webコンサル、広告代理店などアウトバウンドセールスを活発に実施している企業に導入されており、その中でも中小企業がボリュームゾーンとなっている。
今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 村岡 功規氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。
興味関心や行動データを把握して営業効率をあげる
―― これまでのセールスにおいて、どのような課題を感じていましたか?
村岡氏:現状、営業する側もされる側も両方に不満がある状態です。営業側は大半が一方通行な営業で、成果に繋がっていません。Salesforceのリサーチデータによると、実際にセールス担当者が営業活動に費やす時間は勤務時間のわずか3分の1と言われており、雑務や情報収集に多くの時間を費やしているのが実情です。
その結果、長時間労働や退職率の上昇、重要な仕事に時間が割けないなどの問題が起きています。また、営業をされる側は関心のない無駄な情報が多く届くため、自分にとって必要な情報は埋もれてしまいます。
このような状況から、日本全体として営業現場における生産性が下がっています。そこで、営業される側の興味関心や直近の行動データをしっかりと確認することで、最適なタイミングとコミュニケーション方法でターゲットにアプローチすることができるサービスとして、SalesNowを開発しました。
―― SalesNowを始めようと思ったきっかけを教えてください。
前職のレバレジーズという人材系ベンチャー企業で法人営業のセールスマネージャーを務めていたことがきっかけです。そこではチーム全体として、アウトバウンドセールスの中でもテレアポやリスト作成業務に大半の時間が取られていました。100件アプローチして1件の商談が取れるか取れないかというほど、ほとんどが一方通行の営業になっており、働き方が本質的ではないと思っていました。
そこで、そのような非効率な作業を企業データベースやビジネスデータを活用して削減できると考え、レバレジーズの同期である粂と共にSalesNowを立ち上げました。
世界中の働き方を変える包括的プラットフォームへ
―― 資金調達の背景や使途について教えてください。
資金調達をした背景としては、今後プロダクトによりインパクトを持たせ、日本だけでなく世界で使われるサービスにし、セールスの働き方を変えていくことを実現したいと考えたからです。
これまで我々はエクイティでの調達を実施してこなかったのですが、この実現にはもう少しプロダクトに対して投資していく必要がありました。そのようなことを考えていた時、KUSABIの渡邉さんとお話をさせていただき、方向性や投資へのスタンスに共感できたため、出資をお願いさせていただきました。
資金の用途としてはプロダクト開発に対して投資をしていきます。そのため、プロダクト側のエンジニアやデータリサーチャーの採用に注力し、チームを拡大していく予定です。
―― 今後の長期的な展望を教えてください。
データベース面の直近の展望としては、ビジネス情報データベースを包括的に取り扱っていきたいと考えています。現在SalesNowでは、企業データベース×新規開拓の情報収集が対象で、範囲が限定されています。それを今後は、取引先モニタリング、与信・信用調査、企業スコアリング、データ正確性の担保等に用途を広げ、データ種別も人物、商品・サービス、行動、興味関心のデータ等まで拡大していく予定です。
全社としては、セールスの働き方を変えるだけではなく、今後は収集したビジネス情報をもとにHRやマーケティング領域に特化したデータベースも作っていこうと考えています。そしてゆくゆくは海外マーケットにも進出し、日本国内だけではなく世界的なビジネス情報を包括的に取り扱えるインフラやプラットフォームにしていきます。
このように営業だけではなく、他の職種含めてビジネス全般として働き方の課題解決をしていくことはかなり難易度が高いと思っていますが、チャレンジしていきます。そこに対して共感し、一緒に取り組んでくださる方にぜひご一緒いただけたら嬉しいです。
株式会社QuickWork
株式会社QuickWorkは、BtoBセールスの効率化を支援するデータベースサービス「SalesNow」を運営する企業。 データベース上では、日本全国500万社以上の情報が網羅されており、日々更新される最新の企業情報を取得することが可能。 ニッチなターゲティングやこれまでアプローチできていなかった未開拓企業を検索したり、受注角度の高い企業を抽出してセールス業務を自動化したりと営業効率を最大化することをサポートする。
代表者名 | 村岡功規 |
設立日 | 2019年8月1日 |
住所 | 東京都渋谷区道玄坂1丁目10番8号 |