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3Dプリント義足のインスタリムが9億円調達、必要とするすべての人に義足を提供

3Dプリント義足ソリューション事業を展開するインスタリム株式会社は、シリーズBエクステンションラウンドにおいて、総額約11億円の資金調達を実施(第三者割当増資)。同社の累計調達額は21.3億円に達した。
今回のラウンドでの引受先は、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、東大IPC、みずほキャピタル、アイティーファーム、未来創造キャピタル、信金キャピタル、リブライトパートナーズ、Darwin Venture Management、京セラ、グローバル・ブレインの10社。
同社は、3DプリンティングとAIを活用した義足製造技術を開発。従来の手作業と比べてコストや納期を削減できるほか、製造効率の向上を可能にする点が特徴だ。フィリピンとインドでクリニックを運営し、これまでに5000本以上の義足を提供してきた。
インドの子会社には、3Dプリンタ本体およびフィラメント材料の製造工場が設置されており、自社で一貫した生産体制を構築。この生産拠点を基盤に、世界各国へのライセンス提供事業も展開している。
代表取締役CEOの徳島 泰氏は、大学入学後にベンチャー企業へ入社。25歳で独立し、ウェブシステムおよびハードウェア関連の企業を立ち上げた。その後、美術大学を経て大手医療機器メーカーにて工業デザイナーとして勤務。2012年にJICA海外協力隊としてフィリピンに派遣され、現地での医療機器開発に携わった。帰国後は大学院に進学し、2017年に修了。同年3月にインスタリムを創業し、代表取締役を務めている。
義足市場の拡大には、糖尿病の患者数増加が密接に関係している。下肢切断の原因の約8割が糖尿病性壊疽などの血管疾患によるものであり、義足市場は糖尿病のターミナルケア領域と位置づけられる。特に開発途上国では、定期的な健康診断の機会が少なく、進行した糖尿病が原因で切断に至る事例が多い。2045年には、糖尿病患者が世界で7.8億人に達するとされ、その大多数が新興国・開発途上国に集中すると見込まれている。こうした背景のもと、義足市場の規模は世界全体で約2兆円とされ、インドでは約750億円、フィリピンでは約98億円と推計されている。
今回調達した資金は、製造体制の強化やソリューションの高度化に加え、2025年度のウクライナ、インドネシア、ナイジェリアへの事業展開準備に充てられる予定である。今後5年以内にグローバルサウス全域への進出を見据えており、3Dプリント義足の製造・販売を通じて、世界中で義足を必要とする人々への支援体制を広げていく方針だ。
画像はインスタリムプレスリリースより
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