ファインディが20.5億円を調達、アジア展開と生成AI事業を加速

ファインディが20.5億円を調達、アジア展開と生成AI事業を加速

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エンジニア向けプラットフォーム事業を展開するファインディ株式会社は、シリーズDラウンドで総額20.5億円の資金調達(第三者割当増資)を実施した。これにより、累計調達額は43億円に達した。

今回のラウンドには、JPインベストメントをリード投資家とし、韓国のLB Investment、米国のCarbide Ventures、台湾のDarwin Venture Managementなどが参加。国内からはSMBCベンチャーキャピタル、ゼンリンフューチャーパートナーズ、インベストメントLab、オリックス、KDDI Open Innovation Fund 3号が引受先となっている。

ファインディは2016年設立。主にITエンジニアのキャリア支援と開発組織の生産性可視化に取り組んでいる。提供サービスは、エンジニア転職支援の「Findy」、フリーランスエンジニアのマッチング「Findy Freelance」、組織パフォーマンス可視化SaaS「Findy Team+」、開発ツールのレビューサイト「Findy Tools」、エンジニア向けカンファレンス支援プラットフォーム「Findy Conference」など多岐にわたる。これらのサービスでは、GitHubやGitLab、Jiraといった開発履歴データを解析し、エンジニア個人や開発組織のスキルや生産性を定量的に評価する仕組みを持つ。

同社はエンジニアと企業のマッチング精度向上や、現場のパフォーマンスを可視化することに注力してきた。たとえば「Findy」ではAIによるスキル解析を通じ、登録エンジニア約10万人の適性や年収水準を推定する機能を提供している。大手企業からスタートアップまで幅広い法人が利用している。

「Findy Team+」も、開発現場のデータをもとに組織のボトルネックや生産性を把握できるSaaSとして、国内外で約850社に導入されている(トライアル利用含む)。

代表取締役の山田裕一朗氏は、三菱重工業やボストン コンサルティング グループなどを経て2016年にファインディを創業した。共同創業者でCTOの佐藤将高氏は、開発現場と営業の両方の経験を持ち、技術とビジネスの両面から組織成長に携わる。

ITエンジニア市場では、国内外で慢性的な人材不足が続いている。2023年度のデジタル人材を対象とした人材サービス市場(4市場計)は、前年度比9.1%増の1兆3615億円と拡大している。新型コロナウイルス流行下でも市場の成長基調は維持され、グローバルではエンジニア採用支援やパフォーマンス管理ツールを手がけるスタートアップが増加している。スキル評価はテストや自己申告型が主流だが、ファインディのように実際の開発データを解析し、客観指標を提供するサービスは少数にとどまる。

調達資金は、プラットフォーム機能強化、アジア市場展開加速、生成AIを活用した新サービス開発の3点に重点的に活用する計画だ。

アジア展開の面では、2024年からインドで「Findy Team+」の提供を開始。今後は韓国・台湾でもサービス展開を本格化する。韓国はITエンジニア人口が約84万人と多く、スタートアップエコシステムも活発である。台湾でもAI人材育成やIT教育が進められており、先端分野で成長が著しい。すでに現地パートナー企業との連携や、イベントを通じた利用拡大が進行中だ。2028年までにアジア全体で1600社への導入を目標とする。

技術動向では、ソフトウェア開発現場での生成AI活用が急速に進展している。ファインディは生成AIと開発支援ツールを組み合わせる新プロダクトの開発を進めており、2025年5月にはOpenAIの「Codex」に対応したサービス「Findy AI+」のα版を公開した。

今回の資金調達と発表は、国内外のITエンジニア市場の変化に対応する事業体制の強化と、資本基盤の拡充を同時に進める動きとなる。今後はグローバル市場での競合他社との関係や、現地ニーズへの対応、AI時代の開発現場サポートなど、複数の課題への対応が見込まれる。

画像はファインディHPより

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