この記事では、ユニコーン(企業評価額10億ドル以上の未公開企業)を取り上げていますが、8月1日週に取り上げられたユニコーン企業がなかったため、調達額が大きかった3社を取り上げます。
第1位 Avatr(資金調達額 3.8億ドル)
電気自動車ブランドのAvatrは3.8億ドルの資金調達を行いました。同ブランドの特徴は、Changanが設計・開発・生産、CATLが電池、Huaweiがソフトウェアを担当するという、各々の得意分野での分業体制を導入していることです。今回の資金調達前において、同社の株は、Changanが40%程度、CATLが30%程度保有しています(Huaweiは非株主)。同社は、Huaweiの自動運転技術を搭載した初の車種「Avatr 11」を今年の下半期から販売開始予定です。
先週は、新興電気自動車メーカーNetaの資金調達を取り上げましたが、中国の電気自動車メーカーの資金調達が活発になっており、経済成長の鈍化にも関わらず、投資家が中国の電気自動車市場の見通しに強気であることがうかがえます。
Avatr
設立期:
2018年
本社:
中国
企業評価額:
不明
今回調達額:
3.8億ドル
参加投資家:
National Green Development Fund
Changan Automobile(自動車メーカー)、Huawei(通信機器メーカー)、CATL(EV電池メーカー)が共同で立ち上げた電気自動車のブランド。
第2位 Cera(資金調達額 3.2億ドル)
在宅の要介護者の健康管理を行うCera(企業評価額 10億ドル)は3.2億ドルの資金調達を行いました。同社のサービスを在宅介護と組み合わせることで、病院で患者にサービスを提供するよりも10倍安く済むそうです。米国では、類似企業としてGYANT、Neteera、Binah.aiなどがあります。
Cera
設立期:
2015年
本社:
イギリス
企業評価額:
不明
今回調達額:
3.2億ドル
参加投資家:
Kairos HQ, Vanderbilt University Endowment, Schroders Capital, Jane Street Capital, Yabeo Capital, Squarepoint Capital, Guinness Asset Management, Oltre Impact, 8090 Partners, Robin Klein
15,000人の要介護者向けの在宅医療システムを運営。スタッフが自宅で患者の症状や健康データを収集し、それをもとに状態の悪化を事前に予測する。合わせて、処方箋の配達サービス等も行う。
介護施設職員の人手不足や社会保障給付費の増加に伴い、日本政府も「施設から在宅へ」の転換を後押ししています。例えば、2038年までに病院以外の「在宅死」の割合を40%まで引き上げる方針を示しています(2013年時点では13%)。そのため、Ceraのような在宅介護・医療の効率化を推し進める企業が日本でも今後増えると予想されます。ウェルモなどは、ビッグデータを活用し、在宅介護業務の効率化を目指しています。
株式会社ウェルモ
株式会社ウェルモは、ITやAIで介護現場を支援する事業を展開する。ケアマネジャー(介護支援専門員)による高齢者の介護計画づくりをAIで支援するシステムを開発している。介護事業所のデータベースなども手掛けている。 創業者の鹿野佑介氏が発起人となり、介護分野でのIT活用推進に向けて業界団体「一般社団法人日本ケアテック協会」を発足した。
- 代表者名
- 鹿野佑介
- 設立日
- 2013年4月30日
- 住所
- 福岡県福岡市中央区天神4丁目4番11号
第3位 Tabby(資金調達額 1.5億ドル)
Eコマース後払いのTabbyは1.5億ドルの資金調達を行いました。Tabbyを使うと、顧客は購入商品を無利子で4回に分けて払うことができ、キャッシュバックを受けられます。同社は今回の資金調達をもってすれば、現時点で上場して株式による資金調達を行う必要がないとコメントしています(※1)。一方、今後、同社のような後払い事業者には逆風が続くと思われます。利用者に貸し付けを行った資金の利子は、利用者ではなく同社のような企業が負担しているため、利上げが続くことで資金調達コストの増加につながる可能性が高いです。
Tabby
設立期:
2019年
本社:
アラブ首長国連邦
企業評価額:
不明
今回調達額:
1.5億ドル
参加投資家:
Atalaya Capital, PFG
Eコマースサイトのための後払いツール。同社の顧客には、NikeやH&Mが含まれる。