介護DXを支援するビーブリッド、1億2100万円の資金調達を実施──全国展開を加速

介護DXを支援するビーブリッド、1億2100万円の資金調達を実施──全国展開を加速

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介護・福祉領域でDX(デジタルトランスフォーメーション)の伴走支援事業を展開する株式会社ビーブリッドが、総額1億2100万円(エクイティおよびデット合計)の資金調達を実施した。今回の調達は2023年6月の初回に続く2回目であり、調達資金は組織体制の強化、生成AIを活用したサービス開発、人材採用の拡大などに充てられる予定である。

ビーブリッドは2010年に創業し、介護・福祉事業所向けICTコンサルティングや導入・運用支援、ヘルプデスク、ケアテック企業への現場フィードバックや製品検証支援など、現場密着型のIT活用支援サービスを展開してきた。これまでに800以上の事業所にサービスを提供しており、メーカーやベンチャーへの製品検証・導入支援、地域事業者との協業も進めている。組織には介護支援専門員や社会福祉士などの資格を持つ元現場職員とエンジニアが在籍しており、現場の実態に即したICT活用のノウハウを持つ点が特徴となっている。

今回の資金調達の引受先には、シューペルブリアン、BCC、SGインキュベートなど、ヘルスケア分野や資本戦略に知見を持つ事業会社やベンチャーキャピタル、個人投資家が名を連ねた。ビーブリッドは調達資金を活用し、ケアテック関連企業とのアライアンス推進や生成AIを活用した現場支援プラットフォームの開発、伴走支援人材の育成強化、地域展開の加速を進める方針である。

代表取締役の竹下康平氏は、介護現場での経験を活かし、ビーブリッドを創業。介護事業者向けのICTコンサルティングやメーカーへの現場検証支援を通じて、課題解決型の事業拡大を図ってきた。介護現場の生産性向上や人材確保の観点から、地域連携・パートナーシップの強化、生成AIの現場実装にも注力している。

介護業界では2025年に要介護認定者が800万人を超えると見込まれており、現場の人手不足やコスト増が深刻化している。政府は「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」において介護DXの推進と生産性向上を政策的な優先課題に掲げている。ケアプランデータ連携や電子記録、介護ロボットなどの導入が進む一方、現場のICTリテラシー格差や運用ノウハウの不足といった課題が残されており、導入率や定着率の伸び悩みが指摘されている。

こうした現状を受け、政府や自治体はケアテックの利活用を支援する「伴走支援人材」の育成に取り組み、補助金制度も「導入から定着まで」を重視する方向にシフトしている。2024年6月には厚生労働省と経済産業省が「介護テクノロジー利用の重点分野」の方針改訂を行い、業界側にも体制整備が求められている。市場全体においても、ベンダーやスタートアップによる製品開発や現場検証の動きが活発化しているが、現場への定着支援が大きな課題となっている。

ビーブリッドは、ICT活用支援コンサルティングから機器選定、導入、定着支援、全国対応のヘルプデスク、現場検証までを一貫して提供している。現場からのフィードバックをもとにケアテックベンダーとの共同開発や地域ネットワークの構築に取り組み、生成AIを活用した問い合わせ要約の自動化や業務改善シナリオの自動生成など、現場サポートの効率化・高度化も推進している。これにより、DXコンサルタントの生産性向上やサービスの質の均一化を目指している。

また、今回の資金調達を契機に、AI時代の現場DX伴走人材の採用・育成を強化する。社内では独自のeラーニングとOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)による教育システムを構築し、全国展開の加速を図る計画である。地方パートナーやフランチャイズ展開、全国ヘルプデスク体制も活用し、地域を問わず支援体制を整備する。

競合環境としては、全国各地で介護DXを標榜するコンサルティング企業やクラウド型ケア記録サービスを展開するスタートアップ、ITインテグレーターなど、多様なプレイヤーが市場に参入している。政府のDX施策や補助金活用が進むことで、現場密着の伴走型人材育成や定着支援を新たな事業領域とする動きも目立つ。矢野経済研究所によると、介護ICT市場は今後数年で数千億円規模への成長が見込まれており、「ツール導入から現場定着」への視点強化が市場拡大の重要な要素となっている。

今回の資金調達により、ビーブリッドはケアテックベンダー各社との提携や生成AIを活用したサービス開発、伴走人材による全国支援体制の整備を進めていくとしている。企業によると、地域事業者や業界全体との連携強化、業務改善支援ノウハウの拡充、ヘルスケアベンチャー分野との協業にも取り組む方針である。

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