音声・表情・会話を活用するAIーーエキュメノポリスが7.5億円を調達

音声・表情・会話を活用するAIーーエキュメノポリスが7.5億円を調達

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会話型AIエージェントプラットフォームを開発する株式会社エキュメノポリスは、プレシリーズAラウンドで総額7.5億円の資金調達を実施した。調達はエクイティによる第三者割当増資と、科学技術振興機構(JST)のA-STEP制度による研究開発型融資の組み合わせで行われ、Beyond Next Ventures、三菱UFJキャピタル、QBキャピタルなど複数のベンチャーキャピタルが参加した。

資金の使途は、主力プロダクトである対話型診断AIエージェントプラットフォーム「EQU AI Platform」の機能強化、言語学習支援AI「LANGX」の全国展開準備、人材採用体制の強化に加え、MLOps(機械学習運用)やAIインフラの技術開発、マルチモーダル解析技術の研究開発拡充など多岐にわたる。エキュメノポリスは、社内外の連携体制を強化しながら、社会実装フェーズへの移行を加速させる構えだ。

同社は、2022年5月に設立された早稲田大学発のスタートアップで、対話型AIエージェントの社会実装をミッションとして掲げている。主力プロダクトである「EQU AI Platform」は、音声・テキスト・表情・動作といったマルチモーダル情報を統合し、会話を通じてユーザーの潜在能力やニーズを抽出することを目的としている。教育分野や企業の人材育成現場など、“会話”による診断や能力評価が求められる領域での導入が進んでいる。

また、「EQU AI Platform」を基盤とした言語学習支援AI「LANGX」も展開しており、英語学習者向けにAIキャラクターとの対話体験や個別フィードバックを提供。実際の会話内容を分析してスピーキング能力を評価できる機能を持ち、すでに教育機関や企業での導入実績がある。現場での学習支援ツールとしての定着が進んでいるという。

代表取締役の松山洋一氏は、早稲田大学基幹理工学研究科にて博士(工学)を取得後、アメリカ・カーネギーメロン大学でダボス会議公式パーソナルアシスタントプロジェクトや、GAFAMを含む産学連携による会話AI開発プロジェクトに参画。2019年からは早稲田大学知覚情報システム研究所にて主任研究員(研究院准教授)を務め、大型の研究資金をもとに応用研究を推進。その経験を背景に、エキュメノポリスを創業した。

対話型AI市場は、生成AI技術の進展を背景に世界的に拡大しており、市場規模は2023年時点で約102億米ドル、2032年には約617億米ドルに達すると予測されている。日本国内でも、ChatGPTのような汎用型AIだけでなく、業務に特化したカスタマイズ型対話エージェントの導入が進んでおり、コールセンター、ヘルスケア、教育現場など幅広い領域で活用が拡大している。

一方で、単なる業務の自動化にとどまらず、会話を通じた能力評価や人材育成を実現するには、AI技術力に加えて、マルチモーダル情報の解析力や運用ノウハウが求められる。競合にはスピーク、レアジョブ、Duolingoなどがあるが、対話プロセスを深く分析する独自技術を保有する企業は少ない。また、今後はAI倫理やデータプライバシーをめぐる規制対応の重要性も高まると見られる。

組織面では、多国籍人材で構成される「EQUNAUTS」と呼ばれるチーム体制を整備し、ダイバーシティ推進と組織基盤の確立にも注力。これまでにも産学連携の取り組みや、起業コンテストでの表彰実績を有し、同社は今後も、会話AIを活用した能力開発や組織DX(デジタルトランスフォーメーション)への貢献を目指して事業を拡大していく方針だ。

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