DX推進の「鍵」になるスマートロック
スマートロック市場は急成長している。2023年の世界のスマートドアロック市場規模は26億8000万米ドルと推定され、2030年には60億6000万米ドルに成長すると予想されている。※
現在では、コロナ禍での非接触・遠隔操作ニーズに留まらず、商業ビルや公共施設など、インフラの監視と安全確保に大きなニーズがあり、管理者によるアクセス制御やリアルタイム監視によって効果的な管理を可能にする。
また、IoTデバイスの普及や、Alexaなどの音声アシスタントによって、スマートホームオートメーションが可能になったことから、市場シェアがさらに拡大している。
今回は、こうしたスマートロックを扱うスタートアップを紹介する。
スタートアップ5選
ブロックチェーンロック株式会社
企業HP:https://www.blockchainlock.com/
ブロックチェーンとIoTの技術を駆使したシステムによるスマートロックシステム「KEYVOX」を開発。 スマートコントラクトを迅速かつ安全に実行できる本格的な商用ブロックチェーン「BCLチェーン」を提供している。KEYVOXはクラウドでアクセス権を管理するプラットフォームで、空間関連業務を集約することができる。BCLチェーンはスマートロックを接続することで、よりセキュアな管理を実現し、デジタルウォレットにも活用されている。
2023年5月にはスイスのPolygon Labsが提供するPolygon IDのグローバル・オフィシャルパートナーに認定され、個人情報を必要としないゼロ知識認証が可能となった。2023年11月にはオフィス向け「KEYVOX office」、2024年4月にはスマートロッカー「受取番長」の販売を開始した。
Qrio株式会社
企業HP:https://qrio.me/
スマートフォンで鍵を操作できるようにするデバイス「Qrio Lock」を開発。不動産事業者向けクラウドキーボックス「Roomon」と、入退室管理システム「カギカン」を提供している。今ある鍵を取り替えることなく、さまざまな条件のドアに取り付けられるよう設計されており、関連アクセサリの利用で、スマートフォンなしでの解錠や、ネットワーク経由での遠隔操作も可能だ。
2023年3月には、独立行政法人都市再生機構のリノベーション住宅にスマートロックを提供した。2023年7月には、ラトックシステム、SB C&Sと連携を開始した。ラトックシステム製品の「smaliaスマートリモコン」とQrio製品の「Qrio Lock」との連携をし、これまでの「smaliaスマートリモコン」での家電操作に加えて、家のカギの解施錠に対応することで利便性を向上させる。
CANDY HOUSE JAPAN株式会社
企業HP:https://jp.candyhouse.co/
スマートロック「SESAME」シリーズを開発・販売する。 SESAMEは、スマートフォンの操作で鍵を開け閉めすることができるほか、履歴管理や、QRコードでの鍵のシェア、別売りのNFC(近距離無線通信)を使った施錠・開錠などが可能だ。他にも、防犯センサーや自転車ロックを開発しており、ドアロック以外のラインナップも揃えている。
2022年10月には、顔認証でドアの解錠ができるスマートロック「AsReader GoMA」を開発するアスタリスクと資本業務提携を実施した。2024年6月には、インテリックスを引受先とした第三者割当増資による1.3億円の資金調達、及び資本業務提携を実施した。
KEYes株式会社
法人向けにスマート南京錠システムを提供。従来の鍵穴の代わりに、専用スマートフォンアプリ「KEYes」で解錠操作が可能だ。Bluetooth接続により、1台のスマートフォンで複数の南京錠を管理できる。また、解錠履歴(時間・場所・使用者)を記録できるため、セキュリティ管理も容易。鍵の持ち歩きや不正複製の心配もない
2021年10月に大日本印刷株式会社とスマート南京錠を活用したキーシェアリングシステムにて資本業務提携を実施。同時に、モバイルインターネットキャピタルと資本制劣後ローンにより1000万円を調達した。2023年12月には、ラック、アイユーコンサルティンググループ、日九興産、豊田合成を引受先とした新株予約権、及び融資による総額1.5億円の資金調達を実施した。
株式会社エナスピレーション
企業HP:https://enaspiration.com/
電気錠・電子錠の販売、ロッカー錠の販売に取り組む。電気・電子錠の主力製品として、3つのラインナップを展開。ネットワーク連携とスケジュール制御に対応した電気錠「Lavish」、薄型扉に対応し配線工事不要の電子錠「EPIC」、そしてロッカー向けの「Guub」を提供する。特に「EPIC」は、Bluetooth搭載機種でスマートフォンによる遠隔操作が可能。用途に応じてパブリックモードとプライベートモードの切り替えにも対応する。
2023年6月には、イーブロードコミュニケーションズを引受先とした第三者割当増資による資金調達を実施した。2024年5月には電池式の顔認証スマートロック「FACEY」の発売を開始した。6月には、施設予約サービスのステラリンクとの連携を開始。会員制施設の予約と同時に電子鍵を自動発行し、シームレスな施設利用を実現する。
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※グローバルインドメーション「スマートロックの世界市場:タイプ、通信プロトコル、アプリケーション別-2024-2030年予測」