ルクサナバイオテク株式会社

ルクサナバイオテク株式会社は、2025年8月にシリーズCラウンドのセカンドクローズとして1.5億円の第三者割当増資を実施した。引受先は三菱UFJキャピタルの投資ファンドをはじめ、住商ファーマインターナショナル(SPI)、神戸大学キャピタル、SBI関連ファンド、ミライドアなど複数社が名を連ねている。今回の資金調達により、累計調達額は26.9億円となった。獲得した資金は研究開発や事業基盤の強化に充てる計画である。
2017年12月に設立されたルクサナバイオテクは、大阪大学大学院薬学研究科の小比賀聡教授らの研究成果をもとに人工修飾核酸の開発を進めてきた。AmNA®、scpBNA®、GuNA®、5’-CP®など複数の修飾核酸技術を総称して「ルクサナXNAs技術」と呼び、これらを基盤としたアンチセンス核酸創薬プラットフォーム「LuxiAP®」を展開している。このプラットフォームは、希少疾患や難治性疾患を対象に効率的な創薬候補化合物の創出を目指しており、肝毒性や神経毒性リスクの低減が期待される構造設計も特徴とされる。近年は大手製薬会社との共同開発や技術導出も進み、外部との協業範囲を広げている。
代表取締役社長CEOの佐藤秀昭氏は、核酸医薬の事業に従事してきた。前職のジーンデザイン(現・味の素バイオファーマサービス)において核酸医薬品プロジェクトや新規核酸構造の開発、産学官連携の推進など幅広い業務に従事。その後、M&Aの経験を経て、2018年2月にルクサナバイオテクの代表取締役社長に就任した。
核酸医薬分野は、従来の低分子医薬品や抗体医薬品に続く治療モダリティとして世界的に注目されている。特にアンチセンス核酸やsiRNA(小干渉RNA)は、希少疾患や標的タンパク質が限定される難治性疾患の新たな治療選択肢として存在感を増している。グローバル市場ではIonis PharmaceuticalsやAlnylam Pharmaceuticalsなどが先行し、商業化の動きも活発化している。一方、日本国内では国産技術の普及や安定供給体制の構築が依然として課題となっており、武田薬品工業、大日本住友製薬、レナサイエンスなど多様な企業が参入している。
今回、ルクサナバイオテクは住商ファーマインターナショナル(SPI)と、DNA型修飾核酸「5’-CP®アミダイト」の全世界における非独占的製造販売ライセンス契約を締結した。SPIは核酸医薬品自体は開発せず、原料である修飾核酸の供給を担う。契約内容には一時金やマイルストンフィー、販売高に応じたロイヤルティが含まれている。両社は過去にもAmNA®アミダイトやscpBNA®アミダイトで同様のパートナーシップ実績がある。5’-CP®アミダイトは、神経毒性リスクの低いアンチセンス核酸として難治性疾患、特に中枢神経領域への応用が想定されている。製造には高純度と安定供給が求められ、製薬企業にとっては信頼できる原料確保の選択肢となる。
調達資金の使途としては、共同開発中のパイプラインにおける臨床試験の推進、自社創薬事業の強化、新たな技術導出先の開拓、LuxiAP®プラットフォームの深化が挙げられている。加えて、2022年には武田薬品工業への技術ライセンス供与を実施し、2023年からはフランスのセルヴィエ社との共同研究も開始、2024年度にはAMED(日本医療研究開発機構)の研究支援事業にも採択されるなど、国内外での事業連携が進んでいる。
画像はルクサナバイオテクHPより