AirX、シリーズBラウンドで12.5億円を調達し、2027年の「空飛ぶクルマ」運航開始を目指す

世界200以上の国と地域でeSIMサービスを展開するAiraloが、CVCキャピタルパートナーズ主導のもと2.2億ドル(約330億円)の資金調達を実施した。今回の調達によって企業評価額は10億ドル(約1500億円)を上回り、eSIM業界で初めてユニコーン企業となった。グローバルなモバイル通信需要の拡大を追い風に、同社の成長が加速している。
Airaloは2019年設立のスタートアップで、旅行者やリモートワーカーが現地に到着後すぐにデータ通信を利用できるeSIMサービスをアプリ経由で提供している。物理SIMカードの入れ替えや店舗での手続きが不要で、eSIM対応デバイスに直接データプランを設定できる仕組みだ。プランは国別・地域別・グローバルの3種に大別され、利用期間やデータ容量を柔軟に選ぶことができる。カバーする国・地域は200以上に及び、短期出張から長期滞在、世界一周旅行まで多様な利用シーンに対応している。
共同創業者でCEOのアフメット・バハディル・オズデミール氏は、テクノロジーや通信分野での業務経験を持つ。オズデミール氏は、旅行者が直面しやすい高額なローミング料金や物理SIMの取得・交換といった手間の解消を目指し、創業時から事業を推進してきた。
近年、eSIM市場は世界的に拡大している。市場調査会社Juniper Researchによると、2025年には世界のeSIM発行枚数が34億枚に達するとされる。大手スマートフォンメーカーによるeSIM標準搭載の動きや、国際移動の回復を背景に、グローバルローミングや現地SIM調達の代替手段としてeSIMの普及が加速している。Airaloはアプリを通じたeSIMのオンライン流通や、対応国・地域数の多さなどで先行している。競合には、アメリカのGigSkyなどが挙げられ、各社が料金、品質、サポート面で差別化を図っている。
今回の資金調達では、CVCキャピタルパートナーズが1億8500万ドルを拠出し、既存投資家であるPeak XVやAntler Elevateなども追加出資した。調達した資金は、ユーザーサポート体制の強化、新たなアプリ機能や無制限データプランの開発、法人向けサービス基盤の拡充に充てられる見通しだ。Airaloによれば、2025年夏からは音声通話やSMSに対応したプランや1GB単位の短期パッケージ、無制限データプランの提供を開始する予定である。また、法人顧客向けには従業員端末の一括管理やコストコントロールができる管理プラットフォームの開発も進んでいる。
Airaloのサービスの特徴として、国・地域・グローバルに対応する多層型プラン、完全デジタル化された購入・管理フロー、24時間365日対応の多言語サポート(日本語含む)、スマートフォンからの残量確認やチャージ、プラン追加の容易さなどが挙げられる。現地通信事業者と直接提携することで、都市部のみならず地方でも一定の通信品質を確保していることも特徴だと同社は説明する。
eSIM市場の今後については、技術標準の進展やIoT用途の拡大、各国でのSIM流通規制や個人認証政策の変化など、環境の変化への対応が求められる。Airaloは2025年時点で2000万ユーザーを超え、サービス展開国数やプランの多様性を強みとして、個人旅行者から法人顧客まで利用者層の拡大を図っている。今後は競合他社との市場シェア争いに加え、サービスの信頼性維持や多様な利用ニーズへの対応が成長の鍵となる。
eSIM分野におけるAiraloの動きは、スタートアップ業界における成長戦略の一例としても業界関係者の注目を集めている。
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