株式会社ジェイキャスエアウェイズ

地方空港を結ぶ地域航空ネットワーク構築事業を展開する株式会社ジェイキャスエアウェイズは、プレシリーズAエクステンションラウンドで、第三者割当増資および新株予約権付社債発行による、総額4億円の資金調達を実施した。
今回のラウンドでは、エアトリ、QRインベストメント、コマツ富山、サニーライブホールディングス、島田商店、TSKエンタープライズDCなどが参加した。
ジェイキャスエアウェイズは、地方空港同士を結ぶ小型旅客機による地域航空ネットワーク構築事業を展開する。関西国際空港と富山・米子間など、空白地帯となっている地域間を中心に新規航空路線の開設やネットワーク拡大を計画している。
同社は、就航路線の需要に最適な小型旅客機として最新鋭ターボプロップ機「ATR72-600」を採用。2024年11月に1号機(新造機)のリース契約を締結した。全長27.2m・約70席を備える同機は、巡航速度510km/h、航続距離1528kmを誇り、大都市と地域、地域間を結ぶ空の移動で高い運航効率と快適性の両立を実現する。
代表取締役CEOは白根清司氏および梅本裕紀氏。白根氏は日本航空に長年勤務し、DC10の導入を皮切りに、カテゴリーIII運航やETOPS導入など運航制度の整備を推進。ボーイング社では747-400のコックピット設計に携わり、帰国後は運航部門のIT化を主導。のちにスカイマークの立ち上げに参加し、運航責任者として就航を実現した経験を持つ。梅本氏は、Denso Ten、GREE、などでマーケティングやITサービス開発、インバウンド向け宿泊施設開発に従事。0→1フェーズの事業開発とマーケティングを得意とする。
国内の地域航空業界はコロナ禍からの本格的な回復局面にあり、2024年の国内線旅客数は、前年度比3.8%増の1億876万人、国際線は19.8%増の2116万人となった。ANA・JALの2強体制が市場を牽引する一方、LCCの市場シェア拡大や、独立系・地場航空会社による路線維持・再編が課題。地方路線の空白・撤退問題やコスト上昇、LCCとの競争激化などが中堅・地域航空会社の収益性回復を難しくしており、自治体や地元企業と連携した新規投資やネットワーク構築が再注目されている。
今回調達した資金は、関西国際空港と富山・米子間の新規路線開設に向けた機材リース、システム開発、人材採用などの基盤整備に充当される予定である。同社は、2026年秋の運航開始を目指して、事業の準備を進めている。今回のエクステンションラウンドには地元企業や業務提携先の株式会社エアトリを含む新規投資家が参加した。これによりプレシリーズAラウンドの総調達額は9億円、累計調達額は10.5億円となった。
今後は当初計画の2路線から段階的にネットワークを拡大し、持続可能な空のインフラ形成と地域経済への貢献を目指す方針である。中堅・地場航空事業者の事業モデルや自治体・民間パートナー連携策など、持続可能な運営体制の確立がポイントとなるだろう。









