廃棄物のアップサイクルを「分散型」へ──JOYCLEが約1.5億円調達、国内外でPoC推進

廃棄物のアップサイクルを「分散型」へ──JOYCLEが約1.5億円調達、国内外でPoC推進

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トップ画像:JOYCLE BOXと、(左から)CTO 齋藤氏、CSO 山地氏、代表取締役社長 CEO 小柳氏、CRO アリウナ バトエルデン氏 (画像:同社提供)

小型かつ分散型の資源循環インフラを手がける株式会社JOYCLEは、プレシリーズAラウンドで約1.5億円を調達したと発表。ANOBAKAをリード投資家に、引受先にはトヨタ・インベンション・パートナーズ、北洋銀行、鈴与商事、NCBベンチャーキャピタル、セゾン・ベンチャーズ、リブドゥコーポレーションが名を連ねた。累計調達額は約3.5億円となる。

同社が開発するのは、電熱を用いてごみを最大90%以上減容し、炭化物などの資源へ転換する小型プラント「JOYCLE BOX(ジョイクルボックス)」だ。特に遠隔地では、焼却施設へのごみの長距離輸送によるコストや環境負荷が課題となってきた。JOYCLE BOXは車両で牽引して移動させることができるため、ごみのオンサイト処理と資源化を可能にする。加えて、IoTデータ可視化システム「JOYCLE BOARD」を搭載することで、CO2削減量を可視化しカーボンクレジット販売に繋げることも可能。同社はこれまで、北海道から沖縄まで複数の自治体・企業と実証実験を重ねてきた。

今回の調達資金は、JOYCLE BOXの量産体制構築と研究開発、および組織強化に充当する。共創パートナー向けに10機限定で先行販売を開始し、実証を経てレンタルサービスの本格展開を目指す計画だ。

2024年9月の前回取材では、JOYCLE BOXやJOYCLE BOARD、分散型資源循環インフラの構想について取り上げた。今回は、先行販売や共創パートナーとの実証、量産・レンタルサービス化に向けた進捗について、代表取締役社長CEOの小柳 裕太郎氏に話を聞いた。 

「運ばない、燃やさない」インフラが必要な理由

──改めて、JOYCLE BOXが解決しようとしている課題を教えてください。

小柳氏:日本は世界で最も焼却炉が多い国ですが、人口が急減している地域では自治体の税収が落ち込み、焼却炉の維持が難しくなっています。遠くまでごみを運ばなければ燃やせない、埋めることもできないという地方が増えています。コストは上がり、ドライバーも不足している。このまま「運んで燃やす・埋める」仕組みを続けることが現実的ではない離島や地方が、国内外で増えています。

そこで求められるのが、オンサイトでごみを資源化できる分散型インフラです。ごみの出元に装置をデリバリーし、シェアしながら使うことができれば、輸送コストの削減とCO2削減を同時に実現できます。そうした分散型インフラに特化したサービスがまだなかったため、自分たちで作ることにしました。

JOYCLEの事業
図:同社提供

──JOYCLE BOXの仕組みを教えてください。

電熱線で酸素濃度2〜5%という低酸素のチャンバー内を加熱することで、炎を発生させずにごみを炭もしくは灰へと変えます。液体・金属以外の可燃物であれば処理が可能です。発生したガスも800〜1000℃で加熱処理し、水蒸気だけを外に出す仕組みです。現在の試作機は1日約100キロの処理が可能で、現在は数百キロ規模へのサイズアップと自動制御機能を搭載した2号機を開発中です。

処理後のパウダーは、将来的に道路の路盤材や建材、家具などへのアップサイクルを見込んでいます。

JOYCLE BOX
図:同社提供

病院・工場・自治体で導入条件を磨く

──実証実験の手応えはいかがですか。

北海道から沖縄まで、生ごみや使用済みオムツ、自治体が管理する野生動物の残骸など、さまざまな廃棄物で実験を重ねてきました。含水率が高く処理が難しいとされるものも、時間をかければ対応できることが分かってきました。

金属リサイクル企業との実証では、(金属以外の部分を処理できるため)紙が付着した金属からペーパー成分を除去することで、キロあたり100円ほどリサイクル単価が向上するというフィードバックも得られています。

今後はPoC(概念実証)パートナーとともに使用条件を整え、メンテナンスサービスもセットにした月額レンタルサービスへ落とし込んでいきます。

──JOYCLE BOXの先行販売で想定する導入先は。

大きく3つです。処理コストが高い感染性廃棄物を抱える病院、焼却炉が遠く輸送コストが重い工場やホテル、そして高齢化によりごみ収集が困難になっている自治体です。100〜200床規模の病院であれば、現在の処理コストより装置のレンタル料の方が数十パーセント安くなるケースが出てくると試算しています。

現在、エンドユーザーに近い企業を共創パートナーとして巻き込みながら、PoCを進めています。病院向けには、医療機器を扱う商社や、病院アカウントを持つリブドゥコーポレーションなどとの連携を想定しています。自治体や街での利用シーンについては、街づくりに関わる大企業も巻き込み、街の中でどう使いやすいものにしていくかを検証していく考えです。

知財でソフトを固め、M&Aでハードを補う

──自社のポジショニングをどう捉えていますか。

廃棄物処理装置メーカーの中には、技術力はあっても、市場ニーズをつかみきれなかったり、デジタル化の進め方が見えにくかったりする企業もあります。実際、老舗のプラントメーカーから事業承継の打診をいただくこともあります。

当社は、ソフトウェア側の知財を強みにしていきたいと考えています。データ可視化、自動制御、需要に応じた装置のマッチングデリバリーの3領域で特許出願を進めています。プラントメーカーの技術力と、当社が持つデジタル化やマーケット開発の知見を組み合わせる形で、連携やM&Aも検討していきます。

ごみ収集運搬やリサイクルを手がける企業の事業承継も視野に入れています。本業の地盤を伸ばしながら、JOYCLE BOXのレンタルサービスを新規収益源として加えていくモデルを描いています。

──今回の投資家との戦略的シナジーについて教えてください。

今回のラウンドは、ANOBAKA以外、全て事業会社・地域金融機関からのご出資です。製造、医療・介護、金融、地域連携、物流・エネルギーなど、それぞれの領域で連携余地があります。

JOYCLE BOXの改良や病院向けPoC、リース・事業承継ファイナンス、地域の自治体・企業との接点づくりなど、単なる資金提供にとどまらない形で協業を進めていきたいと考えています。今回のラウンドは、社会実装に向けたパートナーを増やす意味でも大きいと捉えています。

Starlinkと連携、平時・災害時の廃棄物の課題を解決

──今後の展望を教えてください。

今後は、PoCパートナー向けのテスト機を用意し、その先の量産版の開発につなげていきます。レンタルサービスとして提供していくにはコストメリットを出すことも重要になるため、海外OEMや現地製造についても、ベトナム、タイ、インドネシア、韓国などで並行して模索しています。 

海外展開では、インドネシアのバンドンにあるスマートシティでの実証を計画しています。予防医療をテーマにしたスマートシティで、感染性廃棄物の処理課題があると聞いており、PoCに向けて具体的な話を進めていきたいと考えています。 

また、KDDIの「Starlink Business」を活用した実証も進めています。災害時には廃棄物を運べない問題が発生しますが、JOYCLE BOXの稼働状況をクラウドで可視化できれば、平時のごみの減量と有事の災害廃棄物のオンサイト処理の両面で活用できるインフラになると考えています。

まずは国内外のパートナーと実証を重ねながら、「運ばず、燃やさず、その場で資源化する」分散型インフラを社会実装し、資源と喜びが循環する社会を皆で実現していきたいです。

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