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Teslaを超え未来を運ぶ、完全自動運転EVに挑むTuringの野望


自動運転スタートアップ、Turing株式会社は、政府系ベンチャーファンド JICベンチャー・グロース・インベストメンツ および独立系ベンチャーキャピタルのグローバル・ブレイン を共同リード投資家とし、事業会社や銀行系CVC等を含む複数の引受先から、1倍非参加型優先株式による約97.7億円の株式調達を実施した。また、みずほ銀行をアレンジャーとする複数金融機関からシンジケートローン55億円を含む融資を併せて受け、シリーズAラウンド(第1クローズ)として合計152.7億円の資金調達を完了した。
同社は、環境認識から経路計画、運転制御までを単一モデルで処理する「End-to-End(E2E)自動運転AI」を中核に、人間社会の常識や文脈を理解する大規模基盤モデル(生成AI)を組み合わせることで、あらゆる条件下で車が自律走行できる「完全自動運転」の実現を目指している。
また、東京都内で人間の介入なしに30分間走行する実証プロジェクト「Tokyo30」を掲げるなど、社会実装に向けた具体的なロードマップを示している。
代表取締役 山本一成氏は、大学院在学中、留年を機に将棋AI「Ponanza」の開発を開始。2017年にはPonanzaが佐藤天彦名人(当時)に勝利し、一躍注目を集めた。卒業後はHEROZでリードエンジニアとして上場に貢献し、2021年8月に完全自動運転の実現を目指すチューリングを共同創業、代表取締役CEOに就任した。
調達した資金は、計算基盤の拡充、社会実装に向けた事業体制の強化、そしてMLエンジニアを中心とした人材採用に充てられる。
今回の大規模調達は、国内発で完全自動運転をめざす日本スタートアップの成長フェーズを象徴する出来事だ。E2E自動運転と生成AIを統合した技術スタックを持つチューリングにとって、資金・人材・計算基盤の強化が一気に進むことで、社会実装のタイムラインを大きく前進させる可能性がある。
自動運転市場は世界的に拡大しており、日本でも政策とインフラ整備が加速する中で、同社の動きは大手自動車メーカーやサプライヤーとの連携をさらに促す契機となるだろう。
Turingは、2025年12月開催予定の「Turing AI Day 2025」で最新の開発状況と今後の戦略を発表する計画だ。今回の調達をテコに、AIモデル・車両プラットフォーム・事業体制を三位一体で強化し、日本発の完全自動運転の実現に向けて歩みを加速させる。今後も技術・実装・社会受容の各面から注目が集まる。
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