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AIを活用した研究開発人材のマッチングプラットフォーム「CoA Researcher」を運営する株式会社CoA Nexusは、ロッテベンチャーズ・ジャパン、イノベーション・エンジン、博報堂、BlueSeed.を引受先とした第三者割当増資、および金融機関からの融資による、総額約3億円の資金調達を実施した。
CoA Nexusは、AIを活用した研究開発人材マッチングプラットフォーム「CoA Researcher」を開発・運営している。自社独自の国内最大規模となる30万人超の研究開発人材データベースを基盤とし、論文や特許などの公開情報をAIで解析することで、企業や大学などが即戦力となる研究人材を効率的に発掘・マッチングできる点が特徴である。
代表取締役社長は野崎光太で、大学卒業後、独立系M&Aアドバイザリーファームのクロスポイント・アドバイザーズで投資銀行業務に従事。その後、国内最大級の太陽光発電所開発実績を持つパシフィコ・エナジーでプロジェクトファイナンスやファンド組成を担当。2020年9月に研究開発人材の流動性向上と高度人材と企業の最適配置を目指す目的でSrust(現CoA Nexus)を創業した。
AI活用型の高度人材マッチング市場は、デジタル人材不足や専門性の高いスキル需要増加を背景に急成長している。2024年度の国内デジタル人材サービス市場規模は1兆4678億円(前年比7.8%増)に拡大(矢野経済研究所)。AIやビッグデータ利用によるマッチング精度の向上が期待される一方、ミスマッチやスキル証明の客観化、地域・中小企業での採用支援など構造的課題も残る。また競合としてはOpenAIの人材ビジネス参入や複数大手転職サイトのAI強化などの動きがグローバルで進む。専門性細分化・リモートワークとの親和性も高まり、今後は研究者人材領域でもグローバルで人材獲得競争が激化すると予測される。
今回調達した資金は、主に営業やマーケティングなど多領域での採用強化、サービスの認知拡大を目的とした広報・マーケティング活動、ならびにプロダクト開発への投資に充てられる。具体的には、自社で独自構築している国内最大規模の30万人超の研究開発人材データベースのさらなる強化およびグローバル展開の加速、イベントやオンライン施策を通じたブランド力向上を目指すとしている。
また、今回同時に博報堂と資本業務提携契約を締結し、博報堂のクリエイティビティやマーケティングの知見とCoA Nexusのグローバルな研究者ネットワークを連携させることで、ディープテック領域の研究者や企業への支援体制を強化し、CoA Nexusの事業・サービス認知拡大を図る方針である。
CoA Nexusは大型調達資金をもとにデータベース強化・ブランド認知拡大・グローバル展開など多面的に事業推進を図る。得られた資金や大手広告会社との提携を活かし、国内外での研究開発人材ネットワークと企業・大学の連携基盤を拡げる見込みである。一方、AI人材マッチング市場自体が海外勢も含め競争激化する中で、独自性あるサービス深化や研究者ネットワークの質的充実、利用者の満足度向上が今後の事業成長の鍵となるだろう。
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