Sakana AI株式会社

持続可能なAI基盤モデル等の研究開発を展開するSakana AI株式会社は、シリーズBラウンドで総額200億円の資金調達を実施した。これにより累計調達額は約520億円となる。
今回の調達には、三菱UFJフィナンシャル・グループ、Khosla Ventures(米国)、New Enterprise Associates(米国)、Lux Capital(米国)、Factorial Funds(米国)、Macquarie Capital(豪)、Mouro Capital(スペイン)、In-Q-Tel(米国)、Fundomo(米国)、Geodesic Capital(米国)、Ora Global(米国)、MPower Partners Fund II(日本)、STNet(日本)などが参加した。
Sakana AIは2023年に東京で設立されたAI研究開発企業で、計算リソースや巨大データに過度に依存しない基盤モデルを開発している。複数のモデルを融合・進化させる「進化的モデルマージ」や「AIコンステレーション」、集合知アルゴリズムなど、自然界の原理を応用した独自技術を強みに、効率的で持続可能な日本市場向けの生成AIを追求している。
また、LLMを用いて研究開発プロセスを自動化する「AIサイエンティスト」など、先端技術の発表も進めており、AI開発の新しいパラダイムを切り開いている。
代表取締役CEOはDavid Ha氏。香港生まれでカナダ育ち、トロント大学でAIを専攻した後、ゴールドマン・サックスに入社。2008年には日本法人へ赴任して金利取引の責任者を務めた。その後、東京大学で博士号を取得し、Google日本法人でAI研究に従事。2023年にSakana AIを設立した。
日本のAI基盤モデル市場は急成長しており、2024年に生成AI市場規模が1016億円を超え、AIシステム全体では1兆4735億円に達した。市場拡大に伴い、NTTやNECなど大手による国産大規模言語モデルの開発が進行している。背景には日本語特有のニュアンスや文化への最適化ニーズ、国際的にはOpenAIや中国勢との技術競争がある。一方で、海外クラウド依存やデジタル赤字、計算資源の確保、信頼性・安全性強化といった課題も山積している。政府は経済産業省による計算基盤整備や補助金支援といった国内産業強化策を推進し、2028年にはAI市場規模が2兆7780億円となる見通しである。
Sakana AIは今回の資金調達をもとに、日本市場に最適化された持続可能・高効率なAI基盤モデルの開発を進める。日本語・日本文化・産業特性に対応したモデル研究に加え、「集合知」「自己進化」など自然界の原理を応用した基礎研究、さらには事後学習技術の強化にも取り組む。
金融分野での活用に続き、防衛・製造業などの基幹産業へのAI導入、海外市場展開、戦略的な提携・M&Aも推進する方針だ。あわせて研究者・エンジニアの採用を強化し、東京を拠点とした開発体制を拡大することで、実社会へのAI実装を一段と加速させる。
画像はSakana AI HPより









