CO2回収技術の社会実装を目指すカーボンクライオキャプチャー、インキュベイトファンドから6000万円を調達


大気中CO2回収技術(DAC)装置と吸収剤の開発・販売を行う炭素回収技術研究機構株式会社(以下、CRRA)は、東海理化を含む70名を超える個人・法人投資家を引受先としたJ-KISS型新株予約権、およびデットファイナンスにより累計1億円の資金調達を実施した。
CRRA、はCO2直接空気回収(DAC)技術※の開発・提供に取り組んでいる。独自開発した吸収剤を用いた産業向けDAC装置に加え、家庭・オフィス向けモデル「ひやっしー」シリーズも展開。さらに、回収したCO2から有機化合物を合成する研究を進めている。空気中のCO2から代替燃料を生み出す「そらりん計画」では、ガソリン代替燃料の開発にも成功。空気からエネルギーを創出し、将来的には石油製品を「空気製品」に置き換えることで、CO2排出削減を目指している。
回収したCO2は自社利用と外部販売の双方で価値化され、従来コストとされてきた脱炭素化を経済価値へ転換するビジネスモデルを構築。事業の三本柱として、地球温暖化対策、人類火星移住への貢献、次世代科学者の育成を掲げている。
代表取締役CEOは村木風海氏。小学4年生の時に化学技術者としての歩みをはじめ、2017年・高校2年の時に総務省 戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)異能vationプロジェクト「破壊的な挑戦部門」に本採択、CRRAを創設して17歳で機構長に就任。CO2直接空気回収(DAC)やCO2由来素材を扱うC1化学分野を専門とする。従前は学術・政策分野での活動と並行し、メーカーや不動産会社での研究・科学顧問、自治体関連プロジェクトなどを歴任。2020年に法人化した。
村木氏は、「今回発表した『ひやっしーパパ』は、これまで市場にほとんど存在しなかった中型レンジの産業用CO2回収装置であり、その思想を体現した商用第1号機となります。中核となるのは、独自開発の固体吸収剤『アミン修飾メソポーラスシリカ』。従来の液体アミンを凌駕する吸着性能と耐久性を持ち、しかも低温でのワンポット合成が可能。材料科学と反応工学の融合により、社会実装の現実性を大きく前進させました」とコメントしている。(一部抜粋)
調達した資金は、独自開発した次世代型CO2吸収剤「CXシリーズ」や、低コスト型産業用中型DACモジュール「 ひやっしーパパ」の社会実装を加速させるために充てられる。ひやっしーパパは、アミン修飾メソポーラスシリカを用いた吸収剤を中核技術とし、1台あたり年間約30トンのCO2回収が可能なコンパクトな事業用モデルである。今後、シード期を終えポストシードフェーズに移行し、年度内にひやっしーパパ初号機の製造およびPoC実施のため、新たに2.5億円規模の資金調達を計画している。将来的にはCO2から化学品を合成する利活用や、CO2回収量に応じてデジタル通貨を付与する「CO2経済圏」の構築も目指している。
※DAC(Direct Air Capture):大気中からCO2を直接分離・回収する技術のこと。工場排ガス・燃焼排気等のポイントソース由来のCO2回収は含まない。
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