眼疾患の治療に取り組むスタートアップ4選

眼疾患の治療に取り組むスタートアップ4選

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デジタル時代に挑む眼疾患治療の最前線

近年、デジタルデバイスの普及やライフスタイルの変化により、視力低下や眼疾患のリスクが急増している。スマホやタブレットの長時間使用、デジタルスクリーンを見続ける生活習慣が、近視や眼精疲労、さらには網膜疾患などを引き起こす要因として指摘されている。眼疾患の治療分野は、世界的に需要が高まる医療領域の一つだ。

世界の眼科市場は、2023年に597億8000万米ドルと評価され、2024年には637億2000万米ドル、2030年には936億9000万米ドルに達すると予測されている。 特に遺伝子治療や再生医療、AIを活用した診断技術の進化が注目され、スタートアップ企業が次々と新たな治療法を提案している。

例えば、網膜色素変性症に対する視覚再生遺伝子治療薬の開発や、AI診断技術を用いた早期発見ソリューションなどがある。これらの技術革新は、失明や視力低下に苦しむ患者にとって新たな希望となり、医療業界全体の変革を加速させる鍵となっている。

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スタートアップ4選

株式会社セルージョン

企業HP:https://cellusion.jp/

iPS細胞由来の角膜内皮代替細胞を用いた再生医療技術を開発する慶應義塾大学発のベンチャー企業。iPS細胞から角膜内皮細胞と同等の機能を持つ「角膜内皮代替細胞(CLS001)」を製造し、これを眼内に注射器で注入する水疱性角膜症の治療法を開発する。ドナー不足や手術の難易度といった角膜移植の課題を解決し、新たな治療法を提供する。

2023年6月には、東京大学エッジキャピタルパートナーズ、DBJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、Gemseki、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、ニッセイ・キャピタルなどを引受先とした第三者割当増資による総額28.3億円の資金調達を実施した。2024年9月には、ビジネス誌「週刊東洋経済」の特集「すごいベンチャー100 2024年最新版」に選定された。

株式会社レストアビジョン

企業HP:https://restore-vis.com/

視覚再生を目指す遺伝子治療薬の開発に取り組む、慶應義塾大学医学部と名古屋工業大学との共同研究成果をもとに設立されたベンチャー企業。主な対象疾患は、失明の原因となる難病である網膜色素変性症で、光センサータンパク質「キメラロドプシン」を用いた治療法を開発している。キメラロドプシンは、微生物ロドプシンと動物ロドプシンの特性を組み合わせ、高感度で光を検知する能力を持ち、低照度環境でも効果を発揮することが期待されている。

2024年4月には、京都大学イノベーションキャピタルを引受先とした資金調達を実施した。

アクチュアライズ株式会社

企業HP:https://www.actualeyes.co.jp/

角膜内皮疾患に対する治療薬と、再生医療製品の研究・開発を行う。フックス角膜内皮ジストロフィーの治療薬であるシロリムス点眼液の開発や、角膜内皮治療用細胞製品の開発を進める。これらの技術により、角膜移植のドナー不足や手術の負担といった課題を解決する。

2024年11月には、シリーズCラウンドにて、国内の製薬会社を引受先とした総額8.5億円の資金調達を実施した。

株式会社京都創薬研究所

企業HP:https://www.kyoto-drug.com/kddd.html

京都大学発の新規化合物「KUS剤(Kyoto University Substances)」の開発を主軸とし、特に網膜色素変性症や緑内障などの眼科領域の難治性変性疾患に焦点を当てた開発を行う。KUS剤は、細胞内のATP消費を抑制することで細胞死を防ぐ新しい薬理作用を持つ。

2024年4月には、同社が開発を進めるKUS121の網膜中心動脈閉塞症(CRAO)を対象とした第Ⅱ相試験(GION試験)において、最初の被験者への投与が行われたと発表した。KUS121の有効性、安全性および至適用法・用量を調べることを主な目的とし、米国内で多施設共同治験として実施される。

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※グローバルインフォメーション 「眼科市場:疾患別、製品タイプ別、エンドユーザー別-2025-2030年の世界予測

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