皮膚再生×創薬で市場に挑む──イーダーム、シリーズAで4.6億円調達

皮膚再生×創薬で市場に挑む──イーダーム、シリーズAで4.6億円調達

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創薬スタートアップの株式会社イーダームが、シリーズAラウンドでUntroD Capital Japan、ANRI、ロート製薬、中内啓光スタンフォード大学教授などを引受先とする総額4.6億円の第三者割当増資を実施した。これにより累計調達額は5.1億円となった。

イーダームは2017年11月に設立され、東京大学医科学研究所・西村栄美教授らの研究成果を基盤に創業された。組織幹細胞の老化や再生メカニズムに関する研究成果を基盤とし、脱毛症や皮膚潰瘍など、従来の治療法が確立していない再生不全疾患への新規治療薬開発に取り組んでいる。従来の細胞治療型アプローチとは異なり、同社は上皮幹細胞の機能維持や再生を促す低分子化合物の開発を進めている。独自の化合物スクリーニング技術によって複数の候補物質を同定し、すでに国内外で関連特許を取得している。

代表取締役の安藤信裕氏は、英国ウェールズ大学皮膚科に留学。2002年にフランス資本のKKシャネル化粧品技術開発研究所を設立し、約20年間代表取締役を務めた。外資系として初めて区分Iの医薬部外品開発を成功させるなど、製品開発に精通している。

安藤氏は、「皮膚や毛髪の疾患は精神的・社会的QOLに大きく影響するのみならず、寿命にも関わる可能性が近年示唆されてきております。私たちは、これらの疾患に対して根本からアプローチできる治療薬の開発を進め、1日でも早く患者様のもとに届けたいと考えています。今後も、アカデミア発の強みを活かしつつ、製薬企業様との連携を深めながら、世界に先駆ける医療ソリューションを創出してまいります。」とコメントしている。(一部抜粋)

ヘルスケア・製薬業界、とりわけバイオ創薬スタートアップの市場環境は変化を続けている。高齢化の進展や生活の質向上への関心が高まる中、皮膚・毛髪・老化関連疾患への未充足ニーズが拡大している。日本国内の円形脱毛症患者数は約250万人と推定されており、既存治療薬が限定的な現状では新規治療薬への期待が高い。

再生医療や難治性疾患領域の創薬スタートアップは、非臨床および臨床開発に多額の資金が必要となる。PoC取得までには多段階の検証が求められ、資金調達や技術的リスク管理が課題となる。国内では大学発バイオスタートアップや大手製薬企業のオープンイノベーション部門が競合しており、海外でもアカデミア連携型のディープテックベンチャーが展開している。特に上皮幹細胞を標的とした分子開発については、米国や欧州の企業や研究グループも取り組んでいる。希少疾患を含むアンメット・メディカル・ニーズ領域では、新規作用メカニズムや製造技術の差別化が求められる傾向がある。

今回調達した資金では、非臨床段階で有効性の検証(Proof of Concept)を進めた後、製剤化や製造プロセス(CMC:Chemistry, Manufacturing and Control)開発に移行する計画だ。

再生医療・創薬分野は規制や臨床開発リスクなど外部環境への対応も不可欠であり、各国の市場動向や競争環境を見据えた事業推進が求められている。

今後も、幹細胞を守り再生を促すという新しい戦略で、健康長寿社会の実現を目指すとしている。

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