株式会社chipper

株式会社chipperは、ゼロイチキャピタル1号投資事業有限責任組合を引受先とする第三者割当増資により、総額4000万円のシード資金調達を実施した。
chipperは2017年2月設立のスタートアップで、Webマーケティング支援を行うAI SaaS事業や関連サービスを提供している。主力の「Creative Drive」は、SEO対策に特化したAIライティング・分析ツールであり、多言語対応を含めた記事作成・運用をオンラインで支援する。
代表取締役の時悠径氏は、楽天でECコンサルタントとして勤務し、2012年に新卒新人賞・楽天賞を受賞。静岡支社立ち上げや神奈川でのマネジメントを経て、2017年にchipperを創業。翌年、京都大学主催Arts Economics Academyでグランプリを受賞。これまでに累計1000社以上のグロース支援を行い、EC・D2C領域でのブランド立ち上げからDX推進、広告運用、コンテンツマーケティング戦略まで一気通貫したビジネスモデル構築を得意としている。
Webマーケティング業界では、オウンドメディア運営やSEO施策強化、広告コストの上昇、消費者行動経路の複雑化といった課題が山積している。特に、コンテンツ量産の効率化と品質保持、多言語対応は成長企業にとって重要なテーマとなっている。
世界のコンテンツマーケティング市場は今後数百億ドル規模へ拡大すると見込まれており、AIライティング関連SaaSではJasperやCopy.ai(米国)、SAKUBUN(日本)などが競合として存在する。
一方で、生成AIによる多言語記事作成やSEO最適化サービスは、コスト、納期、品質のバランス維持が依然として課題となる。多言語対応では文化や言語のニュアンス表現が求められるほか、コピーペースト問題やAIによる事実誤認(ハルシネーション)への対策も必要である。リスキリング市場も拡大傾向にあり、国内では人的資本経営の推進とともにオンライン教育サービスの活用が広がっている。しかし、個別最適化や人材リソースの確保など、今後の改善が求められる分野である。
調達した資金は、開発体制の強化とプロダクト機能の拡充、マーケティング・営業体制の強化による顧客基盤の拡大、組織基盤の整備と人材採用に充当する。今回の資金調達を契機に、事業を一層スピードアップさせ、持続的な成長を実現するとしている。