堅調な法人需要、急拡大する個人利用
オンラインギフト(eギフト)は、相手の住所を知らなくても、メールやSNSを介してURLを送信することで贈り物ができるサービスだ。中でも、企業の販促ギフト市場や、個人間の気軽なカジュアルギフト市場は堅調に推移している。
矢野経済研究所※によると、2022年のギフト全体の市場規模は、前年比104.1%の10兆5360億円、2023年は同102.7%の10兆8190億円が見込まれている。モバイル決済の普及、カスタマイズされたギフトオプションの増加、そして非接触型決済の需要が高まっており、eギフト市場も急成長している。
コロナ禍を経て、法人需要だけでなく、個人間での利用も急激に増加しているおり、今後も市場の拡大が期待される。
スタートアップ4選
AnyReach株式会社
eギフト機能を自社のECサイトに導入できるサービス「AnyGift」を運営する。生鮮食品や衣類、化粧品など幅広い商品に対応可能。購入後に発行されるURLを送り、相手が会員登録をすることなく受け取り住所を入力することで、購入した商品がギフトとして相手に届く。ECサイトの運営企業は、贈る側・受け取った側、双方の情報を取得できるため、両者へのマーケティングアプローチが可能となる。
2024年6月には、式場探しの「トキハナ」と「引出物」の提供価値を高めることを目的とした業務提携を開始した。
株式会社ギフトパッド
販促目的のノベルティ施策、個人のギフト贈呈、地域活性化に向けたクーポン発行まで、様々な施策や用途に応じたサービスを提供している。「DXソリューション」では、企業の販促や株主優待・福利厚生、治体の消費喚起施策などで利用できるeギフトの発行・管理ができ、企業や自治体の課題に合わせて最適なサービスを提供している。自治体様や法人様が利用域を限定して、利用者に給付金やポイントを付与することができる「region PAY」を開発、提供し自治体や企業の経済の活性化を支援している。
2024年1月には、観光地向けデジタル通貨事業や観光DX事業において戦略的パートナーシップを強化するため、JTBと資本業務提携を締結した。2024年8月には、行動認識AIを研究・開発するアジラとも業務提携を締結した。
株式会社ギフトモール
企業HP:https://www.giftmallcorp.jp/
ギフト専門ECプラットフォーム「GiftMall」を運営している。50万以上のアイテムを取り扱い、ギフトに関するカスタマー集客で蓄積された月間3000万人訪問のギフト行動データを元に、各顧客に合ったアイテムを提案する。
ほかにも、主に欧米から来日する外国人旅行者向けの予約プラットフォーム「Magical Trip」の提供もしている。
2024年5月には、シリーズBラウンドにて、プロトベンチャーズを引受先とした第三者割当増資による約5億円の資金調達を実施した。
株式会社タンプ
ギフト専門ECサイト「TANP」を運営。社内バイヤーがセレクトした、ギフトに適する商品のみを掲載している。ラッピングやメッセージカード、バルーンや花束の同梱などのオプションもあり、目的や関係性に合わせたギフトが探せる。
2024年6月に、社名をサービス名と統一し、タンプに変更した。2024年7月には、eギフトサービスで、ギフトを受け取った側がないれ文字を指定できる機能の提供を開始した。
eギフトの可能性に期待
今回紹介した企業は、それぞれが独自の強みを武器にオンラインギフト市場の成長を後押し、eギフトの可能性がさらに広がっていくと期待される。今後も、オンラインギフト関連のスタートアップの動向にはさらに注目が集まり、その影響力はますます拡大していくだろう。
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※矢野経済研究所「ギフト市場に関する調査を実施(2023年)」