横浜バニラ株式会社

横浜バニラ株式会社が、シリーズAラウンドで第三者割当増資による総額約3.7億円の資金調達を実施した。新規投資家としてジャフコ グループ、既存投資家であるXTech Venturesが引受先となった.
横浜バニラは2024年10月に設立され、同年11月に事業を開始した。代表取締役社長CEOの髙橋優斗氏は、かつて芸能事務所でタレント活動を行っていたが、2024年に退所し、地元横浜への思いを原動力に起業へ転じた。
主力商品である「塩バニラフィナンシェ」は、国産小麦、直火焦がしバター、本物のブルボンバニラエキス、アンデス山脈のピンク岩塩など、素材選定に注力した焼き菓子である。2025年2月には「12時間で販売されたフィナンシェの最多個数」としてギネス世界記録を取得している。価格は6個入り2160円、3個入り1100円(いずれも税込)。首都圏の主要拠点で常設店やポップアップストアの展開を進めている。
日本国内のギフト市場は2024年時点で約11兆円規模とされており、旅行・観光需要の回復とともに土産菓子分野も活況を呈している。横浜エリアには「ありあけのハーバー」や「横濱レンガ通り」などの老舗ブランドが存在し、また近年は新規ブランドやリニューアル商品の参入が相次いでいる。こうした状況下で、商品の差別化や話題性の創出が競争上の重要な要素となっている。
今回の資金調達により、横浜バニラは体制強化を図る。まずCOOなど主要人材の採用を拡大し、これまでの少人数運営から組織基盤をより強固なものへと転換する。次いで新商品の開発も進行中である。製造面では設備投資による供給力向上を予定しており、ブランド認知度向上施策として横浜DeNAベイスターズのスポンサー活動なども推進する計画だ。また、EXPASA海老名、JR東京駅グランスタ東京、横浜高島屋など、交通や商業の主要拠点に販路を広げている。
ギフト・土産市場では近年、ストーリー性や地域限定性、パッケージデザインへのこだわりが消費者の購買動機となっている。SNSを活用した話題づくりの重要性も高まっており、横浜バニラではマスコットキャラクター「バニ丸」を活用したグッズ展開やイベント開催など、体験型のプロモーション施策も実施している。土産品としてだけでなく、個人需要による「自分用土産」も伸長傾向にあり、多様な消費形態への対応を進めている。
競合環境を見ると、横浜や首都圏には老舗菓子メーカーや地元発ブランドが多数存在し、新規参入ブランドも増加傾向にある。全国的には「東京ばな奈」や「白い恋人」など地域密着型の菓子ブランドが市場を席巻しており、横浜バニラも同様のポジションを狙うとみられる。
資金調達の使途については、組織強化、製造能力とブランド力の拡充が主な目的とされる。新規投資家としてジャフコ グループが加わったことで、今後の大規模な成長投資に備える体制が整いつつある。売上成長目標としては前期比6倍を掲げており、人材拡充や全国規模での店舗展開、商品ラインナップの拡大を計画している。
今回の資金調達を通じて、横浜バニラは横浜発のギフトスイーツブランドとしての存在感を強めつつある。ギフト市場全体の拡大と地方発ブランドの全国展開が加速するなか、今後の動向が業界関係者から注目されている。
画像は横浜バニラHPより