Notta、シリーズBで23億円調達──エンタープライズ対応を柱に“音声AIプラットフォーム”へ進化

Notta、シリーズBで23億円調達──エンタープライズ対応を柱に“音声AIプラットフォーム”へ進化

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AI議事録作成ツールを提供するNotta株式会社は、Granite-Integral Capitalを引受先とするシリーズBラウンドにおいて、総額23億円(1500万米ドル)の資金調達を実施した。

Nottaは、AIを活用した音声の自動文字起こしサービス「Notta」を開発・提供している。会話内容を音声からテキストへ変換し、編集や共有ができるオンラインソフトウェアサービスを中核事業とする。日本語を含む複数言語に対応し、Web会議・インタビュー・対面会議・録音ファイルなど幅広いシーンでの利用が可能だ。2022年5月設立、サービスは累計で世界1500万人超の登録ユーザー、5000社以上の法人利用実績がある。製品に関連するハードウェアも開発・販売されていることが特徴。セキュリティ面ではISO 27001やSOC2 Type2などの国際認証を取得し、企業や行政からの信頼確保にも努めている。

代表取締役CEOはRyan Zhang氏。大学卒業後、Web広告会社などで経験を積み、2015年頃にはシェア自転車大手モバイク(Mobike)の共同創業者として事業立ち上げに参画。その後、AI分野での起業に挑戦し、Nottaを創業した。Nottaはレンタルオフィスからスタートし、わずか5年で国内外のSaaS市場で確固たる地位を築くまでに成長した。2024年7月には経営体制強化のため元Treasure Dataの田村 清人氏がCOOに着任しており、グローバル展開を見据えた経営戦略を推進している。

AI議事録作成ツール市場は、リモートワーク普及や業務効率化ニーズの高まりを背景に、近年拡大が続いている。2020年代に入り、音声認識精度の向上や生成AI技術の活用、クラウド型サービスの普及が市場成長の主要な要因とされる。導入検討時には多言語対応・翻訳機能や高精度な語彙認識、セキュリティ対応などが競争力の差別化ポイントになっている。BOXIL Magazineの独自調査によると、2025年時点では、スマート書記、Notta、AI GIJIROKU、YOMEL、Rimo Voiceの5社で市場シェアの58.3%を占めるなど、上位サービスによる寡占傾向も顕在化している。一方で、各社の提供機能には精度・言語対応・連携性などの違いが残っており、さらなる高精度化やセキュリティ強化が今後も重要課題と考えられる。

今回調達した資金は、エンタープライズ向け事業の拡大に伴う人材採用や、音声AI領域のソフトウェア・ハードウェア両面の開発強化に重点的に活用する計画である。今後は法人顧客向けの営業・サポート体制のさらなる拡充を図るとともに、AI文字起こしやAIボイスレコーダーなどの新機能開発を継続し、より利便性の高いプロダクトづくりを進める方針だ。

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