カーベース株式会社

中古車販売業者向けに在庫活用型ファイナンスサービス「Carbase Finance」を提供するカーベース株式会社は、Spiral Capitalをリードインベスターとし、サイバーエージェント・キャピタル、mint、および既存株主であるANOBAKAを引受先とする第三者割当増資および融資により、総額1.85億円の資金調達を実施した。同社は2026年1月より本社を東京都港区の日比谷FORT TOWERへ移転し、事業拡大と組織体制強化を図る。
カーベースは、中古車販売事業者のキャッシュフローの課題解決を目指している。同社によると、中古車は需要と市場価格が安定しており、販売すれば利益が出る確度が高いにもかかわらず、資金借入のハードルが高いことで、仕入れ及び販売の機会損失が頻繁に発生し、各事業者の成長の妨げとなっている。背景としては、金融機関が中古車の担保価値を一台単位で評価することが難しいため、融資のハードルが高いことや、融資スピードがビジネスの速度に追いつかないことなどが挙げられる。その結果、自己資金の範囲内でしか仕入れをすることができず、1カ月あたり数百〜数千万円規模の売上機会を逃している事業者が多数存在するという。
同社の主力サービス「Carbase Finance」は、在庫車両によって見込まれる売却代金を先払いする、いわゆる「在庫ファクタリング」サービスだ。一般的なファクタリングでは、すでに発生しているものの入金まで時間がかかる売上を債権として買い取るが、カーベースのサービスでは「発生する見込みの」売上を債権として買い取る。中古車販売事業者は車両を手放すことなく在庫資金を確保することができ、キャッシュフローを安定させながら販売機会を最大化することができる仕組みだ。
同社のサービスの特徴は、1台単位での債権買取が可能な点にある。「銀行などの金融機関は1台ごとの車の価値を細かく見ることが難しいですが、我々は車の価値を1台ごとに評価することができます。1台でも、100台でも、債権を買うことが可能です」と代表取締役CEOのハニーフ・アブドウラ氏は説明する。また、中古車の価格安定性の高さもリスク管理を可能にしている。ハニーフ氏によると、「中古車は価格の安定性と流動性が高いため、リスクのコントロールが可能な資産」とのことだ。

ハニーフ氏はスリランカ出身で、ヤフーで検索システムの開発・刷新業務に携わった後、2021年にカーベースを創業した。
カーベースは創業以来、何度もピボットを繰り返してきた。当初は中古車取扱事業者向けのオンラインオークションサービス「QCA」を提供し、出品から落札までオンラインで完結させる仕組みを構築した。しかし、ハニーフ氏は「大手の流通のオークションがすでにある中で、あえて我々を使う必要がないんですよね。ユーザー数が少ないと売買の選択肢が少なくなってしまう。プラットフォームの特性上、そこがすごくスタートアップとして苦戦していました」と振り返る。
その後、同社は自社で直接中古車の買取・販売を行う事業へとシフトしたが、この過程で、独自の中古車価格算出ノウハウを確立したという。「車の市場価格はある程度データに基づいて決まっています。車種やモデル、走行距離、海外の需要や輸入規制などの変数によって価格が決まり、細かい傷などは実は価格に大きく影響しないのです」とハニーフ氏は語る。そのため、現車や写真の確認をせず、電話越しのヒアリングだけでデータに基づいて価格算定を行い、買い取りを行っていた。
同氏は事業に取り組む中で、中古車販売事業者が直面する資金調達の困難さを実感した。「順調に販売実績を積み上げていても、キャッシュフローの課題に直面し、銀行からの融資も思うように進まない。ほかの中古車販売事業者にヒアリングをすると、やはり皆さん同じような苦労があったのです」とハニーフ氏は述べる。
同氏によると、中古車市場における在庫ファイナンスは、特にアメリカでは一社で2兆円の貸付残高を持つ企業も存在するなど巨大な市場として確立されており、ディーラーの多くがサービスを利用している。一方で、日本の中古車小売市場は約3兆7000億円規模と、規模・流動性ともに世界最高水準でありながら、在庫ファイナンス文化は未開拓の状態であり、同氏はそこに可能性を見出した。
このように、実際に中古車販売をした経験が、「Carbase Finance」の着想となり、独自の中古車価格算定ノウハウも現在の事業に活かされているという。

今回調達した資金は、主にファクタリングの原資に充当される。同社は今後1〜2年で債権残高を10億円規模に積み上げ、5〜6年で100億円規模を目指す。その後は東南アジアやアフリカなど、中古車市場が伸びている地域への横展開も視野に入れている。
ハニーフ氏は「中古車販売事業者の成長をサポートしていくというのが我々のミッション。今回の調達資金を基に実績を積み上げていって、来年ないしは再来年のタイミングでもう1回大きく調達をし、事業を拡大していきたい」と意気込みを語った。










