中古車フリマで変わる流通構造、適正価格の取引を推進

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KEPPLE編集部

自動車フリマサービス「カババ」を運営する株式会社アラカンがシリーズBラウンドにて、第三者割当増資による6億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、AMD1号ファンド、New Commerce Ventures、ケップルキャピタル、みずほキャピタル、ジャフコグループ、NOW、DIMENSIONの7社。

今回の資金調達により自動車の査定士の採用を強化し、出品車両数を増やしながら中古車売買におけるカババの認知を高める。

安心して買えるオンライン自動車フリマサービス

カババは、完全オンラインで購入できる自動車フリマサービスだ。出品者の出品料や成約料は無料で、成約時に購入者が3.85万円の固定手数料を支払う。出品されている車両は、プロの査定士により事前にコンディションのチェックがされているため、安心して購入することができる。


店舗を持たず流通業者も介さないため、中間マージンを抑えて良質な車を安く購入でき、出品者は高値で売却できる点が特徴だ。

出品時の写真撮影や宣伝のためのYouTube動画撮影に加え、車両売買時の手続きもカババが代行しているため、売主の取引に関する負担を軽減する。また、出品者と購入者のやり取りもカババが仲介している。


また同社は、全国の買取業者へ一括で査定依頼をする「プロに任せる一括査定サービス」を2023年6月より開始した。カババに出品した車両が指定期間までに売却できない場合、高い買取価格を提示できる業者を無料で紹介する。

2023年7月時点で、カババを通じたGMV(流通取引総額)は約41億円に達する。今後も購入者にとって安く、出品者にとっては高値での売却になる取引を増やしながら、誰もが適正価格で車両を取引できる社会の実現を目指す。

今回の資金調達に際して、代表取締役 田中 一榮氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

手数料削減と透明性の重要性

―― これまで、中古車の売買にはどのような課題がありましたか?

田中氏:中古車販売業界における流通では、まず買取業者が車を仕入れてから最終的にエンドユーザーに届けられるまでに、複数の事業者による取引が行われます。そのため取引が進むごとに手数料が段階的に増加していき、車が買い手に渡る時には、車両価格に100万円程度の手数料が加算されていると言われます。

車両の価値が落ちているわけではないにもかかわらず、流通に多くの業者が介在することで、買い取り時の金額が下がってしまいます。また、仕入の際は低い価格で買い取るほうが販売事業者の利益も大きいため、売主が車の相場に詳しくない場合、適正な価格を下回る金額での買取にも繋がってしまいます。

加えて個人間の売買では、名義変更が適切に行われないなど、取引におけるトラブルも発生します。また、車の品質や状態が正確に開示されていないこともあります。水没や事故などの車両の状態に関わる情報や、喫煙などの習慣による車の価値への影響が隠されているために、トラブルに発展するケースも多く見受けられます。

これまで、大手企業も個人売買のサービスに進出していますが、多くはこうした取引中のトラブルへの対応が非常に多く、処理しきれずに撤退していることもあります。

高値での売却と安心取引を実現

―― カババの特徴について教えてください。

カババでの中古車売買は、業者を介さず直接取引を行うため中間マージンが発生せず、従来の中古車販売店に比べて、高値で車を売却することが可能です。

また取引成立時は、車両の価格にかかわらず固定手数料を頂戴しているため、効率性を高めて取引を増やすことで収益を高めるビジネスモデルになっています。適正価格で安心して取引をしていただくために、すべての車の品質を、専門の資格を持った査定士がチェックしている点も特徴です。


さらに、取引上の手続きをカババが代行することで、個人間で起こるトラブルも減らし、双方安心して取引を行うことができます。2022年9月に実施したアンケートでは、利用満足度は約97%とユーザーからも高いご評価を頂きました。

スタートアップスカウト

―― 創業のきっかけを教えてください。

以前は、中古車販売のネクステージでCOOとして事業を牽引しました。そのため、中古車販売における問題や取引時のトラブル、業界の構造について多く目にしてきました。

日本の中古車は、車検制度が厳格で定期的な点検が法的に義務づけられており、どの車もメンテナンスが行き届いています。また、国土の小ささに影響して走行距離も伸びにくいため、そのままの状態で取引しても問題ない品質の大丈夫な中古車が非常に多く、個人売買で取引したほうがメリットが高い車が多いと感じていました。

また、既存の中古車販売サービスでは販売店や営業スタッフにより、サービス品質に大きな差があり、どの販売店が優良かは行ってみないとわからないという課題があります。そこで、全ての情報をオンラインで開示して、誰もがいつでも、どこでも透明で公平な価格で安心して使え、適正価格で売買できるサービスを作れば、需要が多いと思ったことが創業のきっかけです。

適正価格での円滑な車両取引を目指す

―― 調達資金の使途について教えてください。

カババでは出品される全車両を適切に査定するため、車両数の増加に伴い、それに見合った数の査定士が必要となります。新たな査定士の採用や教育にかかる費用が、今回の資金の主な使途となります。さらに、デジタルマーケティングの精度を高め、カババのターゲット層に適したマーケティングを通じた認知拡大を目指します。

また、査定士だけでなく、エンジニアとマーケティング人材の採用も進めます。現在21名の組織を、2024年には新卒と中途採用を合わせて約50人程度まで拡大を見込んでおり、翌年には100名規模の体制を整えていく予定です。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。
当社は中古車メディアに掲載されている車両の年式や走行距離などに一定の基準を設け、カババに出品される車両との価格比較を行うことで、市場の動向を常に把握しています。他サイトよりも安く買える車両の出品数を増やし、2年以内には、常時1万台の出品がある状態を目指しています。

2027年ごろのIPOも計画しており、このころには、中古車を探す人が価格比較をする際に、カババも見ておかなきゃと思っていただけるような魅力あるサービスになっているはずです。

車に詳しくない人でも、誰もが適正価格で円滑な車の取引ができる社会を実現することがビジョンです。そのためには、情報が開示された誠実な取引や、少ない手数料でも利益が出る仕組みをしっかりと作っていくことが重要です。信頼性の高い個人売買サービスを構築し、社会に普及することで、適正価格による取引が促進される未来を目指しています。

株式会社アラカン

株式会社アラカンは、自動車フリマサービス『カババ』・カーシェアサービス『オーナーズ・カーシェア・クラブ/アラカン』を運営している企業。 『カババ』は、出品作業から車の紹介動画撮影、名義変更、納車前整備、新車相当のアフター保証、購入後のクレーム対応まで、売買の全ての過程を代行する自動車フリマサービス。 事前に小売相場と比較した上で、適正な価格と判断した車両のみを掲載している。 『オーナーズ・カーシェア・クラブ/アラカン』は、自動車のオーナーが、相手の条件を設定した上で、自動車を貸し出すことのできるカーシェアサービス。 クルマの登録作業などはスタッフが代行して行う。

代表者名田中一栄
設立日2019年3月18日
住所愛知県名古屋市中区栄2丁目9番5号アーク栄東海ビル7階
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