ROMSが13億円調達、“物流2024年問題”に挑む小型自動倉庫ソリューション

ROMSが13億円調達、“物流2024年問題”に挑む小型自動倉庫ソリューション

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ROMSは、総額13億円の資金調達を完了した。今回のラウンドには既存投資家に加え、Monoful Venture Partnersを中心とする新規投資家や複数の金融機関が参加し、エクイティとデットファイナンスを組み合わせた調達となった。

ROMSは2019年6月の設立以来、現場ニーズに即した小型・高効率の自動化ソリューション開発に注力している。主力製品である小型自動倉庫「Nano-Stream」シリーズは、従来大規模拠点向けが中心だった自動倉庫市場において、100㎡程度から導入可能な省スペース設計を特徴とする。搬送用AGV(自動搬送車)やラックハンガークレーンを活用したモジュール構成により、利用現場ごとの柔軟なカスタマイズや設備拡張が容易な点が支持されている。これにより、季節変動や荷量変動に合わせた段階的な運用が可能となっている。

製品ラインナップには、Nano-Streamに加え、GTR・GTP型搬送モデル、シャトル型システム、AGV型搬送機、自動ピース仕分機「Nano-Sorter」などが含まれる。これらは設計から製造、制御ソフトウェアやUI(ユーザーインターフェース)に至るまで自社で一貫開発している。倉庫自動化が高コストかつ大規模前提とされてきた従来市場に対し、ROMSは短納期・低コスト・段階的導入を志向し、中小規模現場への普及を目指している。

代表取締役の前野洋介氏は、総合商社やアパレル企業にて、米国を中心にM&Aやベンチャー投資、新規事業開発に従事。2019年にROMSを共同創業し、以降は代表取締役社長を務める。

今回の資金調達についてROMSによると、新規投資家や金融機関が参画した背景には「事業モデルの成長性と中小規模現場への対応力が評価された」としている。資金は主にプロダクト認知拡大のためのマーケティング、新規人材の採用、次世代モデルの研究開発などに充てる計画だ。2022年9月の12億円調達以来、約3年ぶりの大型ラウンドであり、自動化ソリューションの需要拡大を反映している。

物流・製造業界では「2024年問題」と呼ばれる労働規制強化や人手不足が深刻化している。2040年には1100万人余りの労働者が不足し、特にドライバーについては労働需要に対する不足率が約24%に及ぶとされている。こうした背景から、特に中小拠点向けの小型・短納期型設備での自動倉庫市場の需要が高まっている。

ROMSのNano-Streamは、日本市場の土地制約や多品種少量対応、人手不足といった課題への適応を重視し、物流・小売・製造分野での導入が進んでいる。実際に梱包・出荷サポート領域などで運用実績が増加しており、FA(Factory Automation)領域でも工程間搬送や部品バッファ向けの展開事例が増えている。

調達の詳細として、既存投資家であるDNX Ventures、UTEC、Spiral Innovation Partners、BRICKS FUND TOKYOに加え、新たにMonoful Venture Partnersなどが加わった。さらに、4社の金融機関によるデットファイナンスも組み合わせて資本体制を強化した。

今後は「Nano-Stream」実機の見学会や、国際物流総合展(2025年9月、東京ビッグサイト)での実機展示も予定している。これにより新規顧客へのアプローチや、FA・物流業界関係者との連携強化を図る方針だ。

ROMSは今後も自社開発による小型自動倉庫およびロボティクス領域での事業拡大と市場展開に取り組む考えであり、調達資金を活用して開発・販売体制のさらなる強化を目指す構えである。

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