ANELLA GroupがシリーズAで1.55億円調達、保護犬猫×福祉カフェの全国展開を加速

ANELLA GroupがシリーズAで1.55億円調達、保護犬猫×福祉カフェの全国展開を加速

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福祉型保護犬猫ふれあいカフェ「ANELLA CAFE」を展開する株式会社ANELLA Group(旧:DT)は、シリーズAラウンドで1.55億円の資金調達を完了した(出資および借入)。累計調達額は3.4億円に達し、全国展開やデジタル・人材基盤の強化を推進する方針である。

ANELLA Groupは、動物福祉活動と障がい者就労支援を組み合わせた事業モデルを展開している。近年は主要都市や地方中核都市への多店舗展開を加速しており、2025年時点で出店済・準備中の店舗数は50に上る。動物保護分野と障がい者福祉分野を横断する複合型モデルとして、業界内でも存在感を高めている。

ANELLA CAFEは、保護犬や保護猫が新しい家族と出会う場を提供しつつ、障がいのある人々に働く機会を創出する「就労継続支援B型事業所」としても機能している。事業の収益は、ふれあいカフェとしての入場料や物販、トリミングサービスなどの売上に加え、福祉サービス利用に伴う国や自治体からの給付金の「ダブルインカム」型となっている。

サービスの中核となるのは保護犬・猫の譲渡活動であり、ふれあい体験や里親マッチングを店舗ごとに実施している。また、障がい者の就労訓練や社会参加の機会を提供することも事業の柱となっている。トリミングサービスでは、シンプルな価格設定を採用し、経済的な負担を抑えて幅広い家庭への利用拡大を目指している。

代表取締役の伊東大輝氏は2017年の創業以来、保護動物活動と福祉事業の両立に取り組んできた。伊東氏は、単なる保護施設やカフェの運営にとどまらず、全国規模で「命にやさしい」社会基盤の構築を目指すと述べている。

2024年からはフランチャイズ(FC)方式での展開を本格化し、1年余りで50施設以上の開所が決定した。パートナーとなるオペレーターは都心部から地方まで多岐にわたる。このFCモデルは、カフェ事業の売上とB型事業による給付金収益を両立させ、開業から3〜4カ月での黒字化、1〜1.5年での投資回収を想定した設計となっている。

ペットビジネス市場は拡大傾向にあり、矢野経済研究所によると国内市場規模は2023年時点で約1.8兆円、2026年には約2兆円に到達する見込みとされる。ペットフードや関連サービスの多様化だけでなく、保護動物に対する関心も増えてきている。一方で、動物保護分野では寄付主体の非営利団体が多く、安定運営を確立することが長年の課題となってきた。

障がい者就労継続支援B型事業所の市場も拡大しており、国の給付金を財源とした事業が成長を続けている。近年では、ペット関連事業や地域資源と連携する新たなモデルも増えつつあり、既存の障がい者施設との差別化が模索されている。

動物保護と福祉を組み合わせた複合型モデルの全国展開事例は限られるものの、ペットカフェや譲渡会型施設、B型事業者などが個別に参入している。主な競合としては都市圏を中心とした大手ペットショップ系列や個人経営の動物カフェ、地域密着型の福祉法人などが挙げられる。ANELLA Groupは収益源の多重化と急速なフランチャイズ展開を強みとしている。

今回調達した資金は、本部シェルター(常時1000頭規模)の増設や個体管理データベースの強化による動物管理体制の高度化、全国各店舗を支援するスーパーバイザーや獣医師チームの編成、eラーニング教材の整備などに活用される。また、譲渡促進および認知度向上を目的とした広告展開やプロモーション活動にも投資する計画である。

さらに、各店舗の運営品質維持と業務オペレーションの標準化にも注力する方針だ。店舗単位では、保護動物の健康・衛生管理の徹底、スタッフの研修体制の強化、利用者へのサービス品質管理体制の導入を進めている。事業拡大に伴い、業務のデジタル化や統一基準の整備が重要な課題となっている。

今後、ANELLA Groupは2〜3年をかけて全国主要都市への展開を加速させる計画である。動物福祉、障がい者福祉、レジャービジネスを組み合わせた持続可能な事業モデルとして、業界内での存在感をさらに高めていく見通しだ。

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