Scalebase株式会社

販売管理・請求・決済業務の効率化を目指すScalebase株式会社は、DNX Venturesを引受先とした第三者割当増資を実施し、累計資金調達額が25億円に達したと発表した。
Scalebaseは、企業向けに販売に関わる見積、契約、請求、売上業務を一元管理できるSaaSプラットフォームを提供している。複雑な料金体系や契約条件に対応した自動請求計算を特徴とし、MRRやLTVといった経営指標をリアルタイムで可視化する機能を備える。また、「Scalebase ペイメント」では請求書の発行・送付からクレジットカード決済や口座振替、入金消込、督促まで売上回収プロセスを一気通貫でサポートする。
代表取締役CEO毛利悠記氏は、2009年に株式会社ワークスアプリケーションズへ入社し、ERPソフトウェア分野において大手企業を担当。その後、営業責任者として事業を牽引していた2019年に、当時代表であった伊藤浩樹氏と出会い、アルプ(現Scalebase)へ入社。以降、マーケティング・セールス・カスタマーサクセスといったビジネス部門を中心に同社の成長を支えてきた。
国内SaaS市場は、AI・自動化技術の導入やクラウドシフトにより堅調な成長を続けており、特にSaaS管理領域は2024年度に27億円規模、2029年度には90億円規模に達する見込みである。これらの傾向は販売・請求管理系SaaS市場にも波及し、生成AIを活用した業務効率化の重要性が増している。
今回の増資は第三者割当増資で実施され、引受先はDNX Ventures。資金使途は生成AIを活用したテスト自動化・品質保証による開発リードタイム短縮、新機能開発の強化、営業・マーケティング体制の拡充および認知向上施策などに充当される。同社は既に250社以上に導入され、累計契約件数は50万件を突破。生成AIを活用した新機能提供により、複雑性の高い販売業務を抱える企業のオペレーションコスト低減を支援するとしている。
Scalebaseが生成AIを軸に据えた開発体制を強化し、複雑な販売・請求業務に対応する新機能を積極的に投入する姿勢は、SaaSスタートアップとしての競争力を高める戦略といえる。今後、AI時代に求められるバックオフィスオートメーションへの対応力を如何に高め、事業規模を拡大するかが注目点である。