スムーズ、シリーズBで約28.5億円調達──賃貸初期費用の“分割”を新たな選択肢に

スムーズ、シリーズBで約28.5億円調達──賃貸初期費用の“分割”を新たな選択肢に

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賃貸契約時の初期費用を分割で支払えるサービスを提供する株式会社スムーズは、シリーズBラウンドのファーストクローズとして総額約28.5億円の資金調達を完了したと発表した。今回の調達額は第三者割当増資約15.8億円に加え、約12.7億円のデットファイナンスを含む総額で、来年予定のセカンドクローズに向けて資金調達を継続する方針だ。

今回のラウンドでは、スタートトゥデイ(現ZOZO)創業者・前澤友作氏が設立した前澤ファンドがリード投資家として参画。既存投資家のサイバーエージェント・キャピタルに加え、XTech Ventures、広島ベンチャーキャピタル、Valueup Partnersなど新たな投資家も参加した。また、デットファイナンスでは、モルガン・スタンレーMUFG証券をはじめ、北國銀行、静岡銀行、Flex Capital(Fivot)、日本政策金融公庫の計5社より融資・運転資金枠を確保した。

同社が提供する「スムーズ」は、賃貸契約時に発生する敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用を、クレジットカードを使わず分割払いにできるサービスだ。LINEを活用した申し込みの簡単さと、自動審査によるスピード感のある対応で、累計ユーザー数は43万人を超えている。就職前の新卒学生や転職者など、「引越しが必要だが手元資金に不安がある」層を中心に利用が拡大している。不動産会社側にとっても、初期費用の高さを理由にした離脱を抑え、成約率や売上の改善につながるツールとして導入が進んでいるという。

代表取締役の小泉 拓氏は、大学在学中の2015年6月に株式会社ビーを創業し、代表取締役に就任。アプリケーションやシステムの受託開発を行うほか、UX/UIデザインやマーケティング支援、新規事業開発にも取り組んだ。2019年5月にスムーズを創業し、代表取締役を務めている。

「賃貸の初期費用が高く引越しできない」という課題は、国土交通省の住宅市場動向調査(平成22年〜令和元年)で10年連続して賃貸の困りごと第1位であった。スムーズは、賃貸初期費用を分割で支払える仕組みを提供し、この課題の解決に取り組んでいる。近年は車やスマートフォンなど高額支出で分割払いが一般化しており、特に若年層を中心に、賃貸領域でも分割・後払いニーズの拡大が見込まれている。

今回調達したエクイティ資金は、導入企業のさらなる拡大やサービス機能の充実など、成長を加速させるためのプロダクトおよびオペレーションの強化に充当する計画だ。あわせて、デットファイナンスによる資金は、賃貸初期費用の立替原資として活用する。

今後も事業成長に必要な立替資金を安定的に確保するため、ファイナンス手法の多様化を進めていく。さらに、新たな成長ドライバーの創出に向け、周辺の金融領域における新規事業やプロダクト開発にも並行して投資し、シームレスな引越し体験の提供を軸に事業領域の拡張を目指すとしている。

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