Sotas株式会社

化学産業向けの情報基盤を提供するSotas株式会社は、シリーズAラウンドの1stクローズとして第三者割当増資により10億円を調達した。グロービス・キャピタル・パートナーズが今回のリード投資家を務め、化学専門商社のツカサペトコおよび弘栄貿易が新規投資家として参画した。既存投資家のALL STAR SAAS FUND、Archetype Ventures、サムライインキュベート、デライト・ベンチャーズ、三菱UFJキャピタルもフォローオン投資に加わっている。
近年、化学産業を取り巻く環境はめまぐるしく変化している。地政学的な分断の深まりに加え、経済安全保障の強化、環境規制の厳格化、脱炭素化の加速といった要因が重なり、事業環境の不確実性は一段と高まった。その結果、企業にはこれまで以上に「迅速かつ的確な意思決定」が求められている。
こうした中、日本の化学産業は、汎用品中心の構造から半導体素材などの高付加価値な特殊品へと軸足を移しつつある。一方で、同社によるとサプライチェーンはより多層化・複雑化しており、それに見合う情報管理の仕組みは十分に整備されていないのが実情だ。
Sotasは化学物質の規制対応をサポートする「Sotas化学調査」と、企業・素材データベース「Sotas データベース」をSaaSで展開することで、化学産業に分散する様々なデータを統合・可視化し、化学企業の経営判断を支えることを目指す。
Sotas化学調査は、SDS※等の文書の管理や、化学物質に関する法規制の調査・確認業務を効率化するサービスだ。

素材メーカーなど化学品を扱う企業には、関連する法規制を把握し、製造工程や管理体制に反映させることが求められる。ところが、法規制は毎月数十件以上のペースで頻繁に更新されるうえ、新たに規制対象となる物質が数千件追加されるケースも少なくない。さらに、環境省・厚生労働省・経済産業省など複数省庁が分担して所管しているため、情報の所在が分散しやすい。その結果、各法令の改正点や対象物質の追加を追いかけ、社内ルールや工程へ反映する確認作業は複雑化し、担当部門の工数を大きく押し上げてきた。
加えて、人材不足を背景に、法令確認に精通した担当者の確保は年々難しくなっている。本来は研究開発を担う技術者が、法令確認業務に時間を割かざるを得ない状況も、特に中小企業を中心に生じているという。
こうした課題に対し、「Sotas化学調査」は経済産業省が運営する国内外の法規制データベースと連携し、最新の規制情報を一元的に参照できる環境を提供する。分散しがちな情報を集約し、更新の追跡から実務への落とし込みまでを効率化することで、現場の負担軽減と意思決定の迅速化を支援する。
一方のSotas データベースは、化学品のカタログや技術資料といった社内文書をAIで構造化し、素材データの検索・比較・分析を可能にするサービスだ。現場でPDFやPowerPoint形式のカタログを入手しても、フォルダに格納するに留まり、それらのデータを十分に活用できていないケースが多い点に着目したという。
「化学品カタログの数字や項目といったデータが重要で、それを別カタログと横並びで比較できて初めて、『情報を活用できている』と言えると思うのです。『フォルダに遊休財産として眠っている情報を、生きたデータとして蘇らせませんか』というのが我々のコンセプト」と、代表取締役の吉元 裕樹氏は説明する。
同データベースにTDS(物質表)やカタログをアップロードすると、AIが化学品の商品名、材料種別、用途、特徴などを自動で読み取り、情報を項目ごとに分けて収録し、比較できるようにする仕組みだ。
今回調達した資金は、CMP(製品含有化学物質・資源循環情報プラットフォーム)連携を含む新プロダクト開発、マーケティング活動の強化、および採用への投資に充当する。
CMPは経済産業省が構築を推進するサプライチェーン全体での化学物質情報連携を目的としたプラットフォームであり、Sotasは化学領域のアプリケーションベンダーの1社としてNEDO事業に採択されている。

前回2024年の資金調達以降、同社は売上成長率2800%を達成し、月次平均成長率15%以上を維持してきたとする。今後2年間で、導入社数を現在の約200社から800社超へと拡大させるほか、ARR50億円到達を目指す構えだ。
吉元氏は今後の展望について「日本の化学産業は、世界でもトップクラスの技術と現場力を持っています。データの扱い方だけが、まだ追いついていない。私たちはその"最後のピース"を埋めにいきます。2年後には、『Sotasを入れたら経営の意思決定の質と速度が上がり、利益に繋がった』と言っていただける状態をつくりたいと思っています」と意気込む。
※SDS:化学品の安全性や取扱に関する注意事項をまとめたシート










