日本の化学産業を支えるSotas、目指すは素材のプラットフォーム

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KEPPLE編集部


化学産業特化のクラウドサービスを提供するSotas株式会社がシードラウンドにて、第三者割当増資による1.1億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、サムライインキュベート、Archetype Ventures、デライト・ベンチャーズ、日本材料技研、エンジェル投資家。

今回の資金調達により、2024年中に50社以上へのプロダクト提供を目指す。

化学業界の中小企業を支援

同社が提供する「Sotas工程管理」は、化学業界に特化した受発注・生産・在庫管理システムだ。

マグネットやポストイットを活用して、ホワイトボード上で工程を管理する従来の現場の運用をなるべく変えず、画面上でドラック&ドロップすることで工程を管理することができる。

画面イメージ

Sotas工程管理の画面イメージ

また、材料毎に該当する化学法規をタグ付けし、その材料を使用した製品についても自動で同期する。頻繁に変更される法規制に合わせて自動でアップデートされるため、従来時間のかかっていた化学調査のコストを削減する。

また同社は他に、化学業界向けの企業情報データベース「Sotasデータベース」を運営する。化学業界に特化した項目で検索ができ、ワンクリックで比較資料を作成可能だ。商社やメーカーが、条件に合った加工業者を簡単に探すことができる。企業情報の掲載は無料で、2023年6月時点で1050社以上の情報を掲載している。

Sotasデータベースの画面イメージ


今回の資金調達に際して、代表取締役社長 吉元 裕樹氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

求められるアナログな管理からの脱却

―― これまで、化学業界の生産管理にはどのような課題がありましたか?

吉元氏:多くの現場では、紙やエクセルの情報を基に、情報をつなぎ合わせながら最適な生産量を判断しています。製造業全体としてこうした業務はかなり煩雑になっています。

また近年では脱炭素の文脈で、CO2の排出量削減が求められていますが、紙やエクセルを利用していては、自社の状況を把握することが困難です。排出量を把握して改善行動につなげるためには、システムを活用した情報の可視化が必要です、

加えて化学分野では、常に材料と製品を保有するため、在庫管理も煩雑です。生産して即出荷するような業態ではないので、最適な生産量を見極めることができないと、在庫過多になって廃棄が発生します。こうした課題を感じる企業は非常に多いです。

生産管理に関するシステムは大手企業を中心に以前から存在しますが、費用が高額であることも少なくないため、中小企業の導入ハードルは高く、業界に特化した生産管理のシステムは一般的ではありませんでした。

スタートアップスカウト

―― 創業のきっかけを教えてください。

化学業界に足を踏み入れたのは、グローバルな化学メーカーであるDICで営業として勤務した経験が大きなきっかけです。これまでの経験で多くの中小企業を担当する中で、中小企業は立場が強くないことも多く、取引先との信頼関係を重視することを知りました。貴重な技術を持っているにもかかわらずデジタル化が遅れている現状に対して、ITを活用して解決に貢献したいという思いがあったんです。

DICの後には日産で、海外のスタートアップ投資に関連した業務を行っていました。日常的にスタートアップの起業家やCXOクラスと話をする機会も多く、彼らが本当に楽しそうに自分の事業を語る姿を見て、私自身も起業をしたいという思いが強くなっていきました。それから別のIT企業で副社長を務めた後、Sotasを創業しました。

日本の化学産業をさらなる高みへ

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

膨大な化学業界の市場の中で存在感を出すためには、成長率を高めて会社としてスケールしていくことが重要です。1つのプロダクトに限らず、複数のプロダクトを仕込みつつスピード感をもって顧客へサービス提供していくために、エンジニアのリソースを拡充していきたいと思います。

その他にもセールスやマーケティング、広報など、幅広く人材採用を進めるために、複数の株主から資金を調達しました。現在は10名ほどの組織ですが、2024年中には30名規模まで拡大していく予定です。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

足元の戦略としては、すでに提供している工程管理とデータベースのプロダクトを着実にマーケットに広げ、化学業界における認知や立ち位置を確立することを目指します。2024年中には、50社を超える企業へSotas工程管理を導入いただくことが目標です。

また中長期では、プロダクトの提供を通じて得たデータを基に、素材のプラットフォームの構築を目指します。徐々に繊維や鉄鋼など、素材の領域で化学以外の分野にも広げていくことで、Sotasの会社としての価値を高めます。

日本の自動車が世界に誇れることは周知の事実ですが、化学分野でも世界的に有名な日系企業は少なくないんです。まだまだ日本の化学産業には大きなポテンシャルがあります。長く険しい道のりにはなりますが、事業会社との連携も通じて、日本の化学産業を強化することに貢献していきたいと思います。

Sotas株式会社

Sotas株式会社は、化学業界に特化した受発注・生産・在庫管理システム『Sotas工程管理』の開発・販売などを行う企業。 『Sotas工程管理』は、化学業界に特化した環境配慮対応の受発注・生産・在庫管理システム。同システムは、現場業務の効率化支援だけではなく、グリーンハウスガス(温室効果ガス)削減のレコメンド機能を備えており、環境配慮に対する取り組みも可能だという。また、同システムは同社開発の化学商材データベース『Sotasデータベース』と自動連携しており、商社やメーカーへ商材の情報などが訴求でき、新規案件開拓にもつながる仕組み。

代表者名吉元裕樹
設立日2022年3月8日
住所神奈川県川崎市幸区新川崎7番7号
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