近年は家具、家電、ファッション、本、花、アート等、様々なモノがサブスクリプションで購入やレンタルができるようになった。その理由の一つに、消費者の価値観が変化し、所有よりもサービスの利用による体験価値を求める人が増えていることが挙げられる。矢野経済研究所の調査※によれば、2021年度の国内のサブスクリプションサービスの市場規模は9615億円を超え、前年度比で10.6%増加した。2024年度には1.2兆円に拡大する見込みだ。
スタートアップ5選
本記事では、モノのサブスクリプションサービスを提供する未上場のスタートアップ5社を紹介する。
株式会社トラーナ
知育玩具のサブスクリプションサービス「トイサブ!」を運営する。未就学児向けに知育玩具を選定して届ける定額制の知育サービスで、子ども一人ひとりの発達状況や興味に合わせた知育玩具を同社のおもちゃプランナーが選定して発送する。また、ユーザー起点での商品開発を行い、プライベートブランドの展開も行っている。
2022年2月には、第三者割当増資と銀行融資による9.3億円の資金調達を実施した。知育玩具に限らず、ベビーベッド、ベビーファニチャーから常用品まで、物品のサブスクリプションサービスの提供も視野に入れ、事業展開を進める。
同社は以下の記事でも取り上げている。
共働き世帯を応援する知育玩具サブスク、次世代教育サービスへ
株式会社トラーナ
設立:
2015年
企業HP:
collEco株式会社
ファッションレンタルサービス「collEco(コレコ)」を運営する。 男性向けブランド洋服を、商品ごとに設定された月額料金でレンタルする。今季の新作や定番アイテムを、数日間のお試しから月額制の長期利用まで、必要な期間レンタルできる。レンタル終了後、気に入ったアイテムを購入することも可能だ。同社はほかに、Instagramで国内外ブランドのファッションアイテムを紹介するファッションメディアも運営する。
2022年3月には第三者割当増資により約7000万円の資金調達を実施した。今後は、3年以内に100ブランドとの提携を目指し、顧客体験を向上させる。
collEco株式会社
設立:
2020年
企業HP:
ななし株式会社
ブランド腕時計レンタルサービス「KARITOKE」を運営する。ロレックスやウブロなどのブランド腕時計やスマートウォッチなど、取扱いブランド数は50ブランド、1,300種類以上にのぼる。ブランド腕時計の値段の高さやメンテナンスの負担から購入ハードルが高い人向けに、月額制でのレンタルを提供する。同社はそのほか、気に入った時計を購入できるサービス「KARITOKE STORE」も運営する。即購入も、レンタル後の購入も可能だ。
同社はクローバーラボ株式会社から「KARITOKE」をスピンアウトして設立された。
「KARITOKE」の累計会員数は2022年6月時点で4万人を突破している。
ななし株式会社
設立:
2019年
企業HP:
株式会社ONZO
オーディオ機器のレンタルサービス「ONZO」を運営する。ユーザーはイヤホンやヘッドホン等のオーディオ機器を月額でレンタルしたり、購入することが可能だ。地方在住者がオーディオ商品に触れる機会が少ないことや、店内と利用環境の相違による満足度の低さなどの課題を解決する。また同社は、2022年12月からはEC事業者向けにレンタル・サブスク事業立ち上げサービス「marvle」を開始した。ECサイト来訪者は購入前にお試しでレンタルし、購入したい場合にはECサイトから新品を購入できる。導入EC事業者は、レンタル品の出荷やメンテナンスなど必要なすべての倉庫業務を同社に委託することが可能。新たな体制構築なしで、自社のレンタル・サブスク事業を立ち上げられる点が特徴だ。
2021年4月に、第三者割当増資によって約1500万円の資金調達を実施している。
株式会社ONZO
設立:
2018年
企業HP:
キッズ・ラボラトリー株式会社
おもちゃのサブスクリプションサービスを提供する。 ユーザーは国内外の高価なおもちゃを返却期限なしでレンタルすることができる。保育士、幼児教諭一種免許、看護師などの有資格者を中心としたおもちゃコンシェルジュが、保護者のニーズや子どもの傾向・成長に合わせた最適なおもちゃを個別に厳選するのが特徴だ。定額制で、対象年齢は生後3ヶ月から8歳。契約中はおもちゃの返却期限はなく、気に入った場合は買い取ることもできる。
おもちゃの出荷数はサービス開始以降、累計10万個を突破。2022年1月時点で、年間契約の次年度継続率は75%となった。
キッズ・ラボラトリー株式会社
設立:
2019年
企業HP:
おわりに
今回紹介した企業は、消費者の多様な価値観やライフスタイルに柔軟に対応し、持続的なものづくりの環境も支えている。今後も、C向けのモノのサブスクサービス関連のスタートアップの動向にはさらに注目が集まりそうだ。
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参考:
株式会社矢野経済研究所「サブスクリプションサービス市場に関する調査を実施(2022年)」