水産業界の新たな生命線へ、魚のポテンシャルを最大限活かすベンナーズの挑戦

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KEPPLE編集部


日本の漁業文化は古くから世界に誇る産業だが、その一方で、近年では消費者の魚離れや水産業界の落ち込みが続いている。魚のサブスクサービス「Fishlle!(以下、フィシュル)を運営する株式会社ベンナーズは、消費者と漁業者双方にメリットをもたらし、水産業界を盛り上げるさまざまな取り組みを展開する。

フィシュルは、水揚げ後に廃棄されてしまう未利用魚を、ミールパックとして毎月届けるサブスクリプションサービスだ。魚を下処理や味付けされた状態で届けることで、消費者の調理の手間を減らす。また、味と関係のない理由で規格外とされてしまう未利用魚を利用することで、フードロスの削減や、漁業者の収入向上にも貢献している。

※未利用魚:十分な水揚げ量が無かったり、形が悪かったり傷がついていたり等の理由で価値が付かず、流通される前段階で通常の流通に乗らなくなってしまった魚のこと。

サービスイメージ
2020年のサービスリリース以降、順調にフィシュルの定期会員を増やしており、2023年2月時点では約8000人と、1年間で約13倍に成長している。2023年中に、フィシュルの定期会員数1万5千人の獲得を目指している。

2023年1月には、ベンチャーキャピタルや金融機関から8000万円の資金調達を実施した。今後は、飲食店や水産加工事業者とも提携し、未利用魚に限らず水産分野のBtoB事業を手掛けていく。

代表取締役CEO 井口 剛志氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

消費者の魚需要に応えるための変革を目指す

―― これまで、水産業界にはどのような課題がありましたか?

井口氏:過酷な労働のイメージによる人材不足や、これまでの過剰な漁獲による、水産資源の減少は業界として大きな課題です。水揚げから水産加工事業者を通じ、消費者の手に渡るまでのプロセスが多重下請け構造になっており、利益率も低い構造になっています。昨今の環境問題も影響しており、業界全体としてかなり落ち込んでしまっています。

また国内の総水揚げ量のうち、実に30%が利用されず、廃棄されている現状があります。こうした未利用魚には価値がつかず、漁業者の収入にはなりません。美味しく食べられるにも関わらず、過去に定められた規格によって、市場では出回らない魚がたくさんいます。

未利用魚の画像
海外では魚の需要が増え、水産はかなり伸びている産業です。日本では、一人当たりの生鮮魚介類の購入量は年々減少していますが、回転寿司の市場規模は増加傾向にあります。魚を食べることは好きなものの、魚の調理を手間に感じる消費者が多いのです。

当社はこうした層に向けてフィシュルを提供し、未利用魚を活用して、誰でも簡単に家庭で魚を楽しめるようにすることで、漁業者と消費者双方の課題解決をしたいと考えています。

―― フィシュルを始めようと思ったきっかけを教えてください。

アメリカの大学在学時に、アントレプレナーシップを専攻しており、その中でプラットフォーム戦略に関する講義を受けていました。父や祖父が水産系の商売に携わっていた経緯もあり、プラットフォーム型のビジネスモデルで、水産業界の流通構造を改善できないかと思い、起業を決意しました。

そこから新型コロナウイルスの蔓延が始まり、人々が外食をやめた影響で各産業が影響を受けました。通販の市場が伸びてくることが予測できる中で、未利用魚をミールパック化して販売する販路を持つことは、水産業界全体にとってプラスであると考え、フィシュルが誕生しました。未利用魚に関する課題はコロナ禍以前から業界内で認識されていたので、未利用魚の販売により、漁業者の収入が底上げされることに対しては、ポジティブな声も多かったです。

水産業界になくてはならない会社へ

―― 1月に実施した資金調達の背景や使途について教えてください。

新規会員獲得の加速や、新商品の開発を進めていく目的で資金調達を行いました。商品開発には常に取り組んでおり、今後はフィシュル以外の新商品開発を行い、幅広い商品をお届けしていきたいと考えています。

現在の組織は20名ほどで、水産事業者と関係構築をする産地開拓担当や、セールスなどの人員を中心に、数名の採用を行っていく予定です。

―― 今後の展望を教えてください。

年内には、フィシュルの定期会員数1万5千人の獲得を目指しています。また今後は、フィシュルのブランドを入り口として、日本各地の産地の事業者と連携し、そのネットワークを活用したBtoBのビジネスを広げていく構想です。未利用魚に限らず、美味しい魚 = フィシュルと思われるよう取り組みを進めます。

具体的な事例として、イタリアンの飲食チェーンであるピエトロとの連携を開始しました。全国の漁港で水揚げされた天然魚や未利用魚を加工し、ピエトロの店舗でメニュー展開しています。こうした外食事業者との取り組みのほか、一部の百貨店や小売店で当社商品の販売も開始しており、新たな販売チャネルの拡充を行っています。

ピエトロとの提携
また、青山学院初等部へ、給食食材として未利用魚や天然魚の提供を開始しました。魚の需要を増やしていくことに貢献するには、これからの未来を担う子供たちに、魚を好きになってもらうことが重要だと思っています。食育を通じて、水産業界のことを少しでも知ってもらうため、こうした取り組みを始めました。

中長期では、漁港で水揚げされた魚を加工し直接販売するモデル自体を、海外へ展開していくことも検討しています。日本の水産加工技術やノウハウは、世界に誇れる水準です。日本の高品質な技術による魚料理は、海外でも需要は大きいと考えています。

現在はフィシュルを主軸としていますが、日本の食と漁業を守っていくために、今後はさらなる事業展開を進めます。各ルートで美味しい魚を消費者へ届け、水産業界のリーダーとしての立ち位置を目指します。

株式会社ベンナーズ

株式会社ベンナーズは、魚を使用したミールキットのサブスクリプションサービス『フィシュル』などを運営する企業。 同社は、「サイズがバラバラ」や「傷がついている」などの理由で流通の前段階で廃棄される魚を活用して、ミールキットや加工品を製造し、個人・法人向けに販売するサブスクリプションサービス『フィシュル』を運営する。ミールキットの味付けは、食に関するプロデュースを行う「TETOTETO Inc.」が監修する。

代表者名井口剛志
設立日2018年4月26日
住所福岡県福岡市東区香椎浜ふ頭2丁目3番1号
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