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GPSなどの衛星を利用した位置情報システム(GNSS)は、現代社会に欠かせない技術である。これらは、カーナビやスマートフォンの地図アプリだけでなく、物流管理、農業、ドローン、自動運転、防災、都市計画など、さまざまな分野で活用されている。日本国内の位置情報や地図情報に関連する市場規模は、2020年度に1527億円となり、2025年度には1906億円まで拡大すると予測されている。※
この成長する市場では、高精度な位置情報技術や新しい活用方法を提案するスタートアップ企業が登場している。例えば、センチメートル単位の高精度な位置情報を提供する技術や、屋内や地下でも位置情報を取得できるシステムが注目を集めている。これらの技術は、スマートシティの実現、次世代の移動手段、さらには宇宙開発にまで影響を与えている。
この記事では、これらの衛星を利用した位置情報技術を活用するスタートアップ企業を紹介する。
JAXAの知的財産やJAXAの業務で得た知見を利用した事業を行い、JAXA所定の審査を経て認定された「JAXAベンチャー企業」。同社の開発する「WHERE」は、衛星データと画像解析AIにより駐車場や畑、空き地などを検知し、法務局の登記データと照合して所有者を特定することで、不動産情報集約業務の負担を軽減することができるSaaSプロダクトだ。
従来は30時間ほどかかっていたリスト作成の時間を、わずか3分程度まで削減することが可能だという。さらに、収集された情報を基に、仲介業者を挟まずに、不動産オーナーと直接取引ができ、コストの削減に貢献することも特徴だ。
2025年5月には、撮影時期が異なる衛星画像からデータの差異を抽出し、土地の変化を検出するシステムをスカパーJSATと共同で開発したことを発表した。
企業HP:https://www.enabler.co.jp/
独自に研究開発した超高精度測位技術を活用し、IoT時代の新たなインフラ構築を支援する。GNSS受信機やIMU/ジャイロなどの製品を提供し、マッピング・GIS、社会基盤、自動運転開発などの分野で高精度な位置情報サービスを展開している。また、3次元地図データの取得・提供サービスも行い、インフラのメンテナンスや管理、モニタリングに貢献する。さらに、衛星測位とモバイル通信技術を組み合わせた「時空情報サービス®」も提供している。
超高感度・高精度衛星測位システムやソフトウェアGPS、超高感度デジタル信号処理技術の研究・開発・ライセンスを手掛ける。準天頂衛星「みちびき」のL6信号を受信する多周波マルチGNSS受信モジュールなど、センチメートル級の高精度測位を可能にする製品を提供している。また、IMU(慣性計測装置)の自社開発やGNSSとのカップリング技術の創出にも取り組んでいる。
企業HP:https://locationmind.com/
東京大学柴崎亮介研究室から2019年に設立された技術ベンチャー企業。位置情報ビッグデータのAI解析を通じて、さまざまな産業や機関が抱える課題解決に取り組む。GPSデータを活用した人流分析サービス「LocationMind xPop」や、時系列で人流データを分析できるツール「Mobmap」などのプロダクトを展開する。
2024年9月には、シリーズB 2ndクローズにて、エクイティ約9.3億円、デット約4.5億円の総額13.7億円の資金調達を実施した。これによりシリーズBラウンドでの総額は31.7億円となった。ウクライナ復興に向けたロケーション・ビジネス・インテリジェンス・プラットフォーム「LocationMind x Pop for Ukraine」構築がUNIDOプロジェクトに採択され、ウクライナの復興支援に向けた実現可能性調査(フィージビリティ・スタディ)を2025年3月25日より開始したと発表した。
企業HP:https://www.nikon-trimble.co.jp/
ニコンと米国のTrimble Inc.との合弁企業として設立。測量・測位技術をコアとした製品やソリューションを提供する。主な事業領域は、測量・調査、土木、建築、インフラ維持管理、農業・林業、変位計測、空間情報計測・GIS、OEM・自動運転など多岐にわたる。GNSS受信機やトータルステーション、3Dレーザースキャナなどの高精度な測量機器の開発・製造・販売を行い、地理空間情報分野における生産性向上をサポートする。
2025年2月には、「RTK-GNSSとIMUによるチルト補正観測」(IMUチルト補正とGNSS測位データを用いて、ポール先端の位置を測位する技術)が、NETIS(国土交通省 新技術情報提供システム)に登録されたと発表した。
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※総務省 「第2部 情報通信分野の現状と課題」
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