KGモーターズ、シリーズA 1stクローズで13.9億円を調達ーー超小型EVで地域課題に挑む

KGモーターズ、シリーズA 1stクローズで13.9億円を調達ーー超小型EVで地域課題に挑む

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超小型電動モビリティの開発を手がけるKGモーターズ株式会社は、シリーズAラウンドの1stクローズにおいて、エクイティとデットを合わせた総額13.9億円の資金調達を実施した。これにより、累計調達額は20.2億円となった。調達資金は、2025年10月に開始を予定している1人乗り小型電気自動車(EV)「mibot(ミボット)」の量産体制構築、設備投資、組織体制の強化に充てる。

本ラウンドでは、環境エネルギー投資がリードインベスターを務め、複数のベンチャーキャピタルや事業会社がエクイティ出資を実施。また、三井住友銀行などの金融機関からの融資や社債発行によるデットファイナンスも行われ、多様な手段を通じた資金調達が実現した。

同社は2022年7月に設立され、1人乗りの超小型EV「mibot」の開発・製造・販売を中核事業としている。mibotは都市部や近距離での移動に最適な設計で、全長2490mm・全幅1130mm・全高1465mmと、軽自動車よりもコンパクトなサイズが特徴。最高速度は60km/hで、定地30km/h走行時における航続距離は100km、最大積載量は45kgとなっている。

エアコンやシートヒーター、マルチインフォメーションディスプレイを標準装備し、ドアや窓には遮熱・UVカットガラスを採用。スマートフォンと連携した車両管理やアプリ連動サービスの提供も予定しており、快適性と実用性の両立を目指す。家庭用100Vコンセントによる充電にも対応し、個人宅やオフィスでの利用を想定した設計となっている。法人向けには営業車や点検車、短距離巡回用途としての活用も視野に入れている。

代表取締役CEOの楠一成氏は、2005年に自動車用アフターマーケット部品の販売会社シーエルリンクを創業し、全国展開を実現。2018年には脱炭素社会の実現に貢献すべく、小型モビリティ分野への転換を決意し、自社株を売却。個人としての影響力を高めるためYouTubeチャンネルも開設し、2021年より小型モビリティの本格開発に着手した。

近年、国内の小型モビリティ市場では、新規参入企業の増加や制度面での環境整備が進んでいる。2023年には国土交通省が超小型モビリティに関する認可基準を見直し、一部車両の公道走行が可能となった。これを受けて、WHILL、FOMM、トヨタの「C+pod」などが市場に参入し、パーソナルEVの登録台数も増加している。一方で、販売価格、インフラ整備、法規制といった課題も依然として残されている。

本ラウンドの出資者には、環境エネルギー投資、ドーガン、池森ベンチャーサポート、いよぎんキャピタル、waypoint venture partners、戸畑製作所/戸畑グループが名を連ねる。このうち、環境エネルギー投資、いよぎんキャピタル、waypoint venture partnersは既存投資家としての追加出資を行った。デットファイナンスには三井住友銀行、みずほ銀行、日本政策金融公庫、キーレックスが参加し、資金調達手段の多様性を担保している。

調達資金は、量産工場「Mibot Core Factory(MCF)」の新設、試作および部材調達、品質管理体制の強化、人材採用、マーケティング活動などに充てられる。mibotは2024年8月から予約受付を開始しており、現在までに累計2200台超の予約を獲得。そのうち法人からの予約が400件超を占めており、車両のコンパクトさや維持コストの低さ、取り回しの良さが評価されている。都市部での駐車スペース不足や自動車維持費の高騰、地方における公共交通の縮小など、社会課題へのソリューションとしての期待が高まっている。

今後は、シリーズAラウンドでの追加調達や生産能力の強化、製品コスト削減に向けたパートナーシップ構築を進める方針だ。2025年10月には初期ロットの量産および納車を予定しており、段階的に市場投入を進めていく計画である。小型モビリティ市場の拡大とともに、都市や地域社会における多様な移動課題への対応が加速するかどうかが、今後の動向を左右すると考えられる。

画像はKGモーターズ HPより

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