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近年、睡眠の改善は社会課題として⾮常に重要視されており、企業は、枕・寝具や健康食品など、さまざまなソリューションを開発してきた。その中でも、Sleep(睡眠)とTechnology(技術)を組み合わせた「スリープテック」分野が発展しており、2024年には125億円、2027年には160億円にまで成長すると予測されている。※
人間の睡眠状態は、体動や呼吸、心拍数、いびき音、脳波、筋電など、さまざまな指標によって解析され、高性能なセンシングデバイスが身近に普及した現代ではそれを容易に行うことができる。つまり、誰でも睡眠管理が可能になった今、スタートアップはどんなビジネスの可能性を見出しているのだろうか。
今回は、そんなスリープテックに挑むスタートアップを4社紹介する。
企業HP:https://rehabilitation3.jp/
介護事業者向けに睡眠時のバイタルデータを使った能力推定と事故リスクの可視化を行うスタートアップである。CEOの増田氏は作業療法士の経験を基にノウハウを事業化し、介護業界のイノベーションを目指している。医療・介護施設向けアプリ「SAA(Sleep Activity Assessment)」はセンサーから取得した患者又は介護施設入居者の睡眠時のバイタルデータを基に運動能力や認知能力を推定し、その日ごとの最適な運動プログラムや介護事故の可能性を使用者に伝えることができる。日本で特許(特願2020-024812)を取得しており、米国、中国、欧州でも現在出願中である。
2025年5月には、ユナイテッドをリード投資家とし、リープベンチャーズ、京信ソーシャルキャピタルを引受先とする資金調達を実施した。
企業HP:https://marisleep.co.jp/info/
睡眠時無呼吸症候群の診断と治療を行う装置の開発を医療機関や在宅向けに行っている京都のスタートアップである。東北大学・京都大学・同志社大学の3大学による解析技術や非接触センシング技術の共同研究によって、睡眠障害が引き起こす重大疾患リスクの予防や治療を行う。CEO兼CTOの瀧 宏文氏は京都大学の医学部から東北大学の特任教授を経て起業した。
「VitaWatcher」は非接触で対象者の呼吸や心拍による体動をモニタリングすることが可能。従来のモニタリング手法で患者が自ら外してしまう課題や、接触測定による感染リスクに対する有効な対策として用いることができる。
2024年2月には、シリーズBラウンド(エクステンション)として第三者割当増資による1億円の追加調達を実施した。これにより、シリーズBラウンド全体で4.4億円、累計で11.1億円の資金調達となった。
医療機関と個人向けに脳波測定ウェアラブルデバイスと睡眠測定サービスを提供するスタートアップである。CEOの柳沢 正史氏は筑波大学の国際統合睡眠医科学研究機構の代表であり、同社から睡眠改善をビジネスとして拡大することを目指している。
「InSomnograf」は、睡眠時の脳波を解析し、改善提案を含めた睡眠評価レポートを提供するサービスであり、小さなデバイスを装着して寝るだけの手軽さが特徴だ。睡眠に関する製品の効果検証やプロモーション、研究にも活用できる。
2024年3月には、社会医療法人春回会井上病院および筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構との共同研究により、睡眠時無呼吸症候群の評価における在宅用睡眠時脳波測定の有効性を確認したと発表した。
企業HP:https://o-inc.jp/
企業向けに人材管理システムと睡眠管理アプリを提供しているスタートアップだ。「O:SLEEP」は、アプリとブラウザで機能する睡眠管理ソフトウェアである。タイマーをセットし腕の横に置くだけで自動で睡眠が記録され、レポートや改善提案を見ることができる。契約企業側では人事・マネジメント向けに組織の睡眠状況や生産性のレポートをダッシュボードで可視化できるので、組織改善やリスク予防に利用できる。
2024年10月には、パフォーマンス&スキルマネジメントツール「Co:TEAM(コチーム)」に新機能として、AIアシスト機能とソーシャルスタイル診断機能を追加したことを発表した。
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※矢野経済研究所「スリープテック市場に関する調査を実施(2024年)」
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