Marsdyが6.8億円を調達──ハイブリッド型DX支援の開発・組織体制を拡充へ

Marsdyが6.8億円を調達──ハイブリッド型DX支援の開発・組織体制を拡充へ

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自動+手動ハイブリッドのDXソリューションを開発する株式会社Marsdyは、シリーズAラウンドで6.8億円の資金調達を実施した。調達手段はエクイティおよびデットファイナンスで、フェムトパートナーズ、三菱UFJキャピタル、ユナイテッドなどが引受先となった。

2018年設立のMarsdyは、法人の数値管理業務を効率化するDX(デジタルトランスフォーメーション)ソリューション「AutoDate(オートデート)」を主力事業としている。AutoDateは、法人の数値管理業務を対象としたハイブリッド型DXソリューションだ。自動化可能な部分はAIやツールで処理しつつ、判断や個別対応が必要な業務には人手を組み合わせる構成である。これにより、既存のエクセルフォーマットなどをそのまま活用しながら業務に導入できる柔軟性がある。営業、経理、マーケティングなど幅広い領域で、数値管理や集計、帳票作成などにも対応可能。現場の業務負担を軽減し、精度とスピードの両立を目指している点が特徴である。

代表取締役CEOの武藤大揮氏は、2012年にディー・エヌ・エー(DeNA)へ新卒入社し、マーケティングおよびプロモーションの戦略立案とディレクションを担当。2015年にはGunosyに参画し、セールス・マーケティング部門のマネージャーを務める。2018年に独立し、Marsdyを設立した。

武藤氏は、「労働生産人口が減少し、多くの企業が既存システムでのDXに限界を感じる中、AIを活用して個別最適化されたDXを提供する我々にとって、まさに『今が一番面白いタイミング』 だと確信しています。調達した資金をもとに、プロダクト開発、組織基盤強化を加速させ、この変革期に新たな組織文化を築きながら、全ての働く人々が創造的なコア業務に集中できる社会の実現に向け、より一層邁進して参ります。」とコメントしている。(一部抜粋)

DX関連市場は拡大傾向にあり、2023年度には4兆197億円、2030年には8兆350億円に達すると予測されている。中堅・中小企業を含む幅広い法人層で、業務効率化やデジタル活用の需要が高まっている。一方で、SFAやCRMなどのSaaS製品が浸透する中、システム横断での情報統合や現場レベルでの運用の定着といった新たな課題が顕在化している。特に中堅企業では、IT人材不足や現場の業務プロセスにデジタルツールが馴染まないこと、あるいはデジタル化によって逆に運用負担が増えるといった課題が指摘されている。AIや生成AIの導入が進む一方で、エクセルや手作業が依然残る現状を受け、個社ごとに最適化された「半オーダーメイド型DX」への要望が高まっている。

この分野ではUiPath、BizteX、サイボウズ、SmartHRといったSaaSベンダーが自動化や業務改善のソリューションを展開している。しかし、これらのサービスでも全業務領域をカバーできないケースや、現場ごとの個別対応に追加コストや労力が必要となるケースが多い。2020年代以降は、API連携によるシステム間のデータ連携やアウトソーシングサービスの併用も普及したが、「現場密着型」の支援については新興企業の参入余地が残されている。

業界全体では、デジタル化後の次の課題として、属人的な業務知識の形式知化や、ハイブリッド型プロセスの設計・運用担当者の確保、育成が重視されている。今後は人口減少による生産性向上だけでなく、AIと人手を組み合わせた品質維持や業務定着ノウハウが、BtoBサービス提供企業の競争要素になるとみられている。

今回の資金調達は、直近1年余りで「AutoDate」導入企業が増加し、年間経常収益(ARR)が倍増、組織規模が約100名規模に拡大するなど、事業成長が加速したタイミングで行われた。

調達資金を活用し、プロダクトの開発力強化やAI技術の活用拡大、採用や組織体制の強化、マーケティング活動の推進を計画している。今後も企業ごとに異なるDXの課題に対し、画一的なツール導入にとどまらず、個社ごとに最適化されたDXを実現し、日本全体の生産性向上を目指す構えだ。

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