SDPジャパン、45億円を調達——手術特化型医療支援モデルの全国展開へ

SDPジャパン、45億円を調達——手術特化型医療支援モデルの全国展開へ

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手術特化型医療機関の支援を手がけるSDPジャパン株式会社は、総額約45億円の資金調達を実施した。

今回の調達はシリーズDラウンドの第三者割当増資、既存株主による株式譲渡、銀行融資、アセットファイナンスを組み合わせた形式で行われ、JPインベストメント、T&D Innovation Fund、三井住友信託銀行、戸田建設など複数の投資家・金融機関が参加した。

SDPジャパンは2014年の設立以来、整形外科(人工関節・脊椎)や循環器内科(不整脈治療)に特化した手術専門医療機関の開業支援や運営支援を中核事業としている。事業内容は、患者獲得のためのマーケティング支援、手術部材や医療機器の調達、不動産選定、バックオフィス業務の代行など多岐に及ぶ。現在までに首都圏を中心に7つの医療機関をプロデュースし、累計約14,000件の手術実績を支えている。

同社の事業モデルの特徴は、医師が診療や手術に専念できる環境を整え、医療機関の業務効率化や経営支援を行う点である。従来、病床や医療機器の初期投資負担が医師個人に重くのしかかり、高度な専門性を持つ医師でも独立開業を断念するケースが多かった。SDPジャパンは資金負担を抑える仕組みや、患者と医師のマッチング、ブランディング、患者獲得の支援サービスを提供し、医療供給体制の再構築を目指している。また、運営コストの圧縮によって医師報酬水準を高く維持可能な点も特徴とされる。

代表取締役社長の永用万人氏は、大学卒業後、建設会社に勤務。その後、外食業界のWDI&JEMに入社し、店舗支配人や取締役を務めた。続いてボイスメールにて営業職を経て取締役に就任。その後、独立して複数の企業を創業。これまでに、スペースリンク株式会社、しまうまプリントシステム、データCAPS、きりんカルテシステム、データ・リファイナリーを立ち上げた。2014年1月には、SDPジャパンを創業し、代表取締役を務めている。

医療業界では、超高齢社会の進展に伴い、整形外科および循環器分野における手術件数は、年平均5〜8%のペースで増加しており、その需要は2050年頃まで拡大を続けると見込まれている。一方で、医師が十分な手術環境や支援体制を得にくいという構造的な課題も存在する。SDPジャパンは、こうした課題に対処するため、医師が技術に集中できる場の提供と、患者が適切な治療にたどり着ける導線づくりを一体的に支援することで、医療提供の在り方そのものの変革に挑戦している。

競合としては、各科領域の医療法人グループや大手民間病院ネットワークによる開設支援事業などが挙げられるが、SDPジャパンは特定領域に特化した全国展開型のプラットフォーム支援サービスを展開している。米国では1970年代から手術特化型クリニック(ASC: Ambulatory Surgery Center)が普及し、医療コスト削減や患者アクセス向上といった成果が報告されている。

今回の調達資金では、成長基盤をさらに強化し、次世代型医療モデルの全国展開を計画している。今後、地方都市を含めた医療インフラの再構築を視野に、各分野のステークホルダーとの連携を深め、持続可能な医療の実現に取り組むとしている。また、新規医療機関の支援開拓を加速するため、集患マーケティング、事業開発、支援先現場などの分野で採用を強化する方針である。

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